New 脱炭素(ゼロカーボン)経営とエコアクション21

1.ゼロカーボンとは?

最近、気温の上昇、大型台風の発生、線状降水帯の発生等、異常とも言える事象が発生し、気候変動対策の必要性が話題となっています。

 気候気候変動の原因となっているのはいわゆる温室効果ガス(GHG)の排出です。温室効果ガスにはいくつかの種類がありますが、特に二酸化炭素が一番大きな原因となっており(日本の場合は92%)、人為的な二酸化炭素の排出量を削減することが非常に重要です。

どこまで二酸化炭素の排出量を減らすということですが、空気中に放出された二酸化炭素は森林や海などに吸収される量ものもあり、自然界の吸収量と二酸化炭素の排出量をバランスすることをゼロカーボン、あるいはカーボンニュートラルと呼んでいます。

気候変動により影響を抑えるための世界的な取り決めとしてパリ協定(2016年発効)があります。参加各国が自国の削減目標を公表し、その目標達成のため努力します。日本は2013年の排出量を基準として、2030年に46%、2050年に実質ゼロ(ゼロカーボン)を目指します。

 

2.ゼロカーボン実現のシナリオ

ゼロカーボンを実現するには主に次の3つの方法が考えられます。

1.省エネ    エネルギーを無駄なく使う

2.再生可能エネルギー

(1)太陽光、水力、バイオマスなどの非化石エネルギーを使用する(二酸化炭素を出さないエネルギーです。)

*電力は使用時には二酸化炭素を出しませんが、火力発電所では石炭、重油、天然ガスなどの化石燃料を燃焼して発電するため、二酸化炭素を発生します。一方、水力発電所では二酸化炭素を発生しません。

(2)再生可能エネルギーで発電された電力を購入する

自ら非化石エネルギーにより発電をしなくても、非化石エネルギーで発電された電力を購入することも可能です。

3.森林等の吸収源を増やす

 森林や生態系が適正に保護された海は二酸化炭素を吸収します。

まず、エネルギーを無駄なく使い、必要な電力をできるだけ少なくします。次に必要電力は再生可能エネルギーをなるべく使うようにします。中小企業で導入しやすい再生可能エネルギーとして、太陽光発電があります。

中小企業ではまず、省エネに取り組むことが推奨されます。

 

3.脱炭素経営のスタート

(1)全社での意思の統一   全社でゼロカーボンに向かうことを決定し、周知します。

(2)自社の二酸化炭素排出量の実態を把握します。

(3)脱炭素時代の自社のリスクとチャンス

 社会全体が脱炭素に向かって変化していく中で自社にとってリスク(課題)とチャンス(機会)があるか考えてみましょう。下の表は一般的に考えられるものです。

リスク チャンス
気象災害(猛暑、洪水、山火事)

食料、健康、貧困、移住、紛争

規制(カーボンプライシング*

投資基準の変化

脱炭素関連市場拡大

(既存市場の代替が進む)

コスト削減(省エネ、再エネ)

公的補助(補助金、助成金)

カーボンプライシングとは化石燃料への課税であり、日本では2028年から導入が決まっています。

マイナス面だけでなく、新規事業の可能性や市場拡大の可能性についても考えてみる必要があります。

(4)ゼロカーボン戦略決定

 まずは大きな方針を決めます。例えば二酸化炭素排出量を2030年までに基準の〇〇年排出量の〇〇%削減、2050年ゼロカーボン達成などです。

目標達成の実施計画を達成するには以下の3つの切口で取り組みを策定します。

 ・リスク回避(要件を満たす)

 ・競争優位を構築する     ・新規事業機会を探す

(5)エコアクション21でPDCAを回す

ゼロカーボン達成へのシナリオができれば、環境マネジメントシステムを使って中長期、短期(1年)の目標を定め、それを達成するための計画を策定します。

 ここで大事なことはゼロカーボンに向かうための技術等は現在でもある程度は提案されているのですが、コストや導入のしやすさなども考えると今後、どの分野でどんなものが多く用いられるかは未確定であることを意識しながら進めるということです。つまり、常に顧客、同業者、サプライヤー、行政、地域とコミュニケーションを取り、自らの情報を発信するとともに外からたくさんの情報を入れるとともに内部ではPDCAを回すことです。