装飾の歴史

カーテンの歴史
「カーテン」の語源は、ラテン語の「cortina」から変化したと考えられ、古くはエジプト時代にさかのぼります。もっとも当時は現在のような窓に掛けるような形ではなく、寒さを防いだり、プライバシーを守ったり、また安息の場を作る目的で、ベットの周囲を布で覆ったものであったと考えられます。建築物や家具などと違い、カーテンの耐用年数は比較的短いため、当時の原形をとどめるものがほとんどなく、わずかに絵画や写真などで推測するしかありませんが、実際にカーテンとして使われたもっとも古い例は、ローマ時代の絵画に見ることができます。しかし、それも壁の装飾や、室内の間仕切りとして使われていました。
現在のようなカーテンがいつ頃から使用されたかという事はよく分かっていませんが、一説によると、ルネッサンス時代の初期頃からであったのではないかと考えられています。
日本へ渡ってきたのは江戸時代の事で、長崎の出島に外国公館ができた頃だと思われますが、その後明治に至るまで日本人がカーテンを使用することはほとんどありませんでした。日本古来の生活様式になじまなかったのです。ところが明治に入り文明開化が訪れると、上流社会における西洋化が急速に進み、しだいにカーテンが使われるようになりました。
そうして現在では、部屋の装飾として、また壁や家具とのコーディネートをした使われ方をされるようになり、現代生活の中で欠かすことのできない必需品となってきました。

壁紙の起源
古代遺跡の洞窟の壁に、動物などが描かれた写真を目にすることがあります。これもひとつの壁の装飾と考えられ、中世のヨーロッパでは絢爛たる壁装飾文化が花開きました。このように人間の生活の中の壁と装飾には深い関係があるようです。
ここでは壁紙の起源に言及しますが、そのルーツは中国の壁画が元になったと考えられています。壁紙としては14世紀にヨーロッパで誕生し、日本には平安時代頃に伝来したと言われています。もっとも日本では、壁というよりも襖や屏風などとして親しまれてきた歴史がありますが、明治に入り大蔵省印刷局が「金唐草」と呼ばれる美術壁紙の製造をはじめたのが本格的な壁紙製造の始まりとされています。しかし一般的には広まらず、現在のように一般建築に使用されるようになったのは終戦後の復興期に入ってからです。当時は麻布などを壁に貼って仕上げていましたが、その後、ビニール壁紙などの登場で需要が大幅に増え現在に至っています。

世界最古のカーペット
1949年、ロシアとモンゴルの国境近くのアルタイ山地の氷河の中、地中4メートル、300本の丸太を積んだスキタイ系民族の首長の墳墓から、凍結状態の原型をよく保ったカーペットが発掘されました。その時出土した4種類の織物の内のひとつが世界最古のカーペットで、推定で紀元前5世紀頃に織られたということです。ウールを素材とした、約2メートル四方の大きさで、中央には花模様、その周りに、鹿や馬に乗った兵士などが織りこまれています。ちなみに他の3種類は、祈る女性の姿を描いたウールのつづれ織りだったり、騎乗の戦士をアップリケしたフェルトだったり、鳳凰を刺繍した白絹だったり、いずれもペルシャや中国の影響を深くみることができるそうです。
この世界最古のカーペットは「パズルクカーペット」と呼ばれ、現在、ロシアのエルミタージュ美術館にあるということです。インターネット上にはこの写真をupしているところがあるそうなので、興味のある方はぜひ探してみて下さい。