調査結果
1. 競争力について
2. 競争力と雇用、設備、及び借入金の状況
3. 経済のグローバル化について

1. 競争力について

1.1 競争力に対する自己評価
1.1.1 全産業の動向〔図表1・2〕
自社の競争力に対する評価をみると、全産業では「現在、今後とも競争力には自信がある」とする企業が25.3%、「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」とする企業が49.1%、「現在は自信がないが、競争力の強化に努めるので将来は自信がある」とする企業が15.8%、「現在、今後ともあまり自信がない」とする企業が9.8%となっている。
これを、過去の調査と比べると、「現在、今後とも競争力には自信がある」(1998年11月:29.1%→2002年2月:25.3%)とする企業が減少、「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」(同:43.6%→同:49.1%)とする企業が増加、「現在は自信がないが、競争力の強化に努めるので将来は自信がある」(同:21.4%→同:15.8%)とする企業が減少、「現在、今後ともあまり自信がない」(同:5.9%→同:9.8%)とする企業が増加している。
現在の競争力に自信を持っている企業(「現在、今後とも競争力には自信がある」、「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」の合計。以下では、『現在自信がある』と言う)は、やや増加している(1998年11月:72.7%→2002年2月:74.4%)。
一方、将来の競争力に自信を持っている企業(「現在、今後とも競争力には自信がある」、「現在は自信がないが、競争力の強化に努めるので将来は自信がある」の合計。以下では、『将来に自信がある』と言う)は大きく減少している(1998年11月:50.5%→2002年2月:41.1%)。これと裏腹の関係であるが、将来の競争力に自信がない企業(「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」、「現在、今後ともあまり自信がない」の合計。以下では、『将来に自信がない』と言う)は大きく増加している(同:49.5%→同:58.9%)。
以上から、中小企業全体においては現在の競争力には自信を持っている企業はやや増加している。一方、将来については自信を持っている企業は減少しており、競争力の維持・向上に不安を感じている企業が増加している。

1.1.2 業種別の動向〔図表1〕
製造業、非製造業ともに全産業と同様の傾向を示している。すなわち、「現在、今後とも競争力には自信がある」とする企業が製造業(1998年11月:27.2%→2002年2月:23.1%)、非製造業(同:30.8%→同:27.0%)ともに減少、「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」企業が製造業(同:45.1%→同:50.9%)、非製造業(同:42.3%→同:47.7%)ともに増加、「現在は自信がないが、競争力の強化に努めるので将来は自信がある」企業が製造業(同:21.6%→同:16.7%)、非製造業(同:21.1%→同:15.0%)ともに減少、「現在、今後ともあまり自信がない」とする企業が製造業(同:6.1%→同:9.3%)、非製造業(同:5.7%→同:10.3%)ともに増加している。
『現在自信がある』企業は製造業(同:72.3%→同:74.0%)、非製造業(同:73.1%→同:74.7%)ともにやや増加している一方で、『将来に自信がある』企業は製造業(同:48.8%→同:39.8%)、非製造業(同:51.9%→同:42.0%)ともに減少している。裏腹に『将来に自信がない』企業は製造業(同:51.2%→同:60.2%)、非製造業(同:48.0%→同:58.0%)ともに大幅に増加している。


図表1 自社の競争力に対する評価(業種別)


図表1 自社の競争力に対する評価(業種別)


図表2 自社の競争力に対する評価(全産業)


図表2 自社の競争力に対する評価(全産業)


1.2 競争力の源泉(注3)
1.2.1 製造業・建設業〔図表3・4〕
「現在、今後とも競争力に自信がある」製造業・建設業について競争力の源泉として第1位に挙げたものをみると、「品質」(23・7%)が最も多く、以下「技術力」(22.8%)、「製品開発力」(16.0%)等がこれに続いている。
 なお、過去の調査と比較すると、上位5項目の順位にも変動はみられないが、「製品開発力」(98年11月:14.6%→2002年2月:16.0%)、「低コスト」(同:9.1%→同:11.0%)、「企画・開発力」(同:7.5%→同:9.6%)がやや増加している。
「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」製造業・建設業について競争力の源泉として第1位に挙げたものものをみると、「技術力」(27.3%)が最も多く、以下「品質」(20.7%)、「低コスト」(16.3%)等が続いている。
  過去の調査と比較すると、「品質」(98年11月:23.4%→2002年2月:20.7%)、「製品開発力」(同:9.0%→同:7.3%)、「納期」(同:8.8%→同:5.7%)を挙げる企業が減少している。一方、「低コスト」は増加しており(同:8.6%→同:16.3%)、順位も第5位から第3位に上昇している。
製造業・建設業では競争力の源泉は引き続き「品質」、「技術力」であるとする企業が多い。現在、今後とも競争力に自信のある企業ではこれらに加えて「製品開発力」も引き続き多い一方、競争力の低下を懸念している企業では「低コスト」が急上昇している。


図表3 競争力の源泉〔製造業・建設業〕
(「現在、今後とも競争力には自信がある」と回答した企業)


図表3 競争力の源泉〔製造業・建設業〕


図表4 競争力の源泉〔製造業・建設業〕
(「現在は自信があるが、今後は競争力の低下を懸念している」と回答した企業)


図表4 競争力の源泉〔製造業・建設業〕


1.2.2 非製造業(建設業を除く)〔図表5・6〕
「現在、今後とも競争力に自信がある」非製造業(建設業を除く)について競争力の源泉として第1位に挙げたものをみると、「品揃え、サービス内容」(31.5%)を挙げる企業が最も多く、以下「営業力・アフターサービス」(24.1%)、「企画・開発力」(16.8%)、「低コスト」(12.9%)がこれに続いている。
  過去の調査と比較すると、「品揃え、サービス内容」を挙げる企業は減少している(98年11月:38.7%→2002年2月:31.5%)。一方、「低コスト」は過去の調査に比べて増加している(同:8.2%→同:12.9%)。
  なお、項目間の順位の変動はみられない(「その他」を除く)。
「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」非製造業(建設業を除く)について競争力の源泉として第1位に挙げたものをみると、「品揃え、サービス内容」(31.0%)を挙げる企業が最も多く、以下「営業力・アフターサービス」(23.9%)、「低コスト」(18.2%)、「企画・開発力」(16.6%)がこれに続いている。
  過去の調査と比較すると、「品揃え、サービス内容」を挙げる企業は大幅に減少している(98年11月:41.1%→2002年2月:31.0%)。一方、「低コスト」は増加している(同:11.9%→同:18.2%)。また、「企画・開発力」(同:11.1%→同:16.6%)も増加している。
非製造業では、品揃え、サービス内容とコストとのバランスを見直す動きが窺われる。

(注3)重要度が高いと考える順に、3項目以内で複数回答を求めた内の第1位の回答。


図表5 競争力の源泉〔非製造業(建設業を除く)〕
(「現在、今後とも競争力には自信がある」と回答した企業)


図表5 競争力の源泉〔非製造業(建設業を除く)〕


図表6 競争力の源泉〔非製造業(建設業を除く)〕
(「現在は自信があるが、今後は競争力の低下を懸念している」と回答した企業)


図表6 競争力の源泉〔非製造業(建設業を除く)〕


1.3 競争力の低下が懸念される理由

1.3.1 全産業の動向〔図表7〕
「現在は自信があるが、今後は競争力の低下が懸念される」企業について、競争力の低下を懸念する理由をみると、「デフレ・価格競争への対応が限界に近づいている」(64.6%)が最も多く、「自社が営業基盤とする地域やマーケットが衰退・縮小している」(56.1%)が第2位となっており、それぞれ半数を上回っている。以下「高齢化や退職で中核的な熟練工、社員、幹部が今後不足する」(20.0%)、「自社製品と遜色のない海外製品の流入が増加している」(17.9%)等が続いている。
競争力の低下を懸念する企業は、デフレへの対応の限界、営業基盤の衰退を強く懸念している。


1.3.2 業種別〔図表7〕
業種別にみると、製造業では、「デフレ・価格競争への対応が限界に近づいている」(67.5%)が最も多くなっている(特に、素材型製造業が69.3%と高い比率を示している)。「自社が営業基盤とする地域やマーケットが衰退・縮小している」(50.3%)が第2位となっており、上位2項目は過半数を上回っている。以下「自社製品と遜色のない海外製品の流入が増加している」(31.4%)、「高齢化や退職で中核的な熟練工、社員、幹部が今後不足する」(25.5%)等が続いている。なお、業種としての特性もあるが、「自社製品と遜色のない海外製品の流入が増加している」(31.4%)は非製造業(6.1%)に比べて高い数値を示しており、安価な輸入品の浸透による悪影響を被っている企業が多いことを示している。
非製造業では、「デフレ・価格競争への対応が限界に近づいている」(62.1%)が製造業と同様に最も多くなっている。また、「自社が営業基盤とする地域やマーケットが衰退・縮小している」(61.2%)も製造業と同様に第2位となっているが、製造業(50.3%)に比べて高い比率を示しており、地域経済の衰退の影響をより直接的に被っているものと見受けられる(特に、卸売業が63.3%と高い比率を示している)。以下「標準的能力の人材が今後不足する」(18.1%)、「環境対応等の規制強化によるコスト増が見込まれる」(15.6%)等が続いている。
製造業・非製造業ともに、全産業と同様にデフレと地域経済の衰退に対する懸念が強い。これに加えて、製造業では輸入品の流入や中核的な人材の不足への懸念も窺われる。


図表7 競争力の低下が懸念される理由(業種別:3項目以内複数回答)
(「現在は自信があるが、今後は競争力の低下を懸念している」と回答した企業)


図表7 競争力の低下が懸念される理由(業種別:3項目以内複数回答)


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