Iターンで長野県にやってきた山仕事を愛する若い仲間が集まって設立。大北地域の森林をフィールドに、森林整備や間伐材などの素材生産、さらに木材利用品の製造などにも取り組んでいます。さらに森林整備コンサルティングや、森林空間を活用したレクリエーション事業を通じて、人と森とのより良い関係づくりを目指しています。 インターネットで「創業」を検索したのがきっかけ。 当企業組合は、平成12年7月に任意団体として設立した『山仕事創造舎』が原点。当初は4名(現在5名)で、個々の労力と道具を持ちよる形でスタートし、間伐材生産を中心として事業を行ってきました。 当初から発展させて行くためには法人化が不可欠と考えていましたが、全員が県外出身者であることもあり、どのような方法がよいのか考えあぐねていたと言います。そんな中、インターネットで「創業」をキーワードに検索していた折、たまたまヒットしたのが長野県中小企業団体中央会のホームページ。そこには「企業組合」という法人格のことが記されていました。 そこで中央会の指導を得ながら設立に漕ぎ着けたのが『企業組合山仕事創造舎』です。企業組合を選択した理由は、「出資金が少なくても可能なこともありましたが、それにもまして企業組合では組合員が対等の立場で事業に取り組むことができることが大きな理由」でした。 厳しい現状を克服する林業経営を追求。 法人格を取得することは、社会的責任を明確にするとともに、信用力を高めることに結びつきました。公共事業等の入札にも参加できる資格が得られたことは、その他の事業を推進して行く上でも大きいと言います。 同企業組合が現在実施している事業活動としては、大きく別けて、1.育林事業、2.素材生産事業、3.薪炭製造事業、4.支障木伐採事業、5.森林ボランティアの育成事業が挙げられます。具体的には、民有林での間伐、枝打ち等による森林整備、間伐材の販売、ストーブ用薪などの製造販売、近在別荘等での支障木伐採などに取り組んでいます。また森林ボランティア団体の依頼を受け、講習・講師派遣なども行っています。 今後は、森林整備計画などのコンサルティング事業や、森林空間を活用したレクリエーション事業なども計画しています。 「林業経営の現状には厳しいものがありますが、環境基盤としての森林を守り育む担い手として、事業の安定化を図るとともに、より多くの人に森を理解し、木材を愛用していただける取り組みを進めて行きたい」と考えています。
旧中山道は、そば文化のふるさと。その中でも、今日あまねく拡がっている「そば切り」のルーツとなっているのが塩尻市にある本山宿。俳人松尾芭蕉門下の十哲といわれた森川許六が編纂した俳文集『風俗文選』(宝永3年 1706)に収録の雲鈴作『蕎麦切ノ頌(しょう)』にも、ここをそば切りの発祥の地と記しています。 いわゆる今日の食べ方である「そば切り」はここで生まれ、中山道を行きかう人々によって伝えられ、たちまち全国に広まっていきました。 そうした本山のそば伝統の技と味わいを伝え広めることを目指して設立されたのが『そば切り発祥の地本山そばの里企業組合』です。 もともと平成五年から地元の婦人たちを中心として集まり、自己資金によってそば店を開業、営業を続けてきました。その活動は全国的にも高く評価されることとなり、平成五年度には食アメニティーコンテストにおいて「伝統技術発揮賞(国土庁長官賞)」を受賞。平成七年にはドイツデュッセルドルフで開かれた「信州そば食文化国際交流親善団」にも参加し、そば打ち実演をしています。 その実績をもとにさらに「本山そば文化」を高め、将来へ継承していくことを目指して、企業組合設立に取り組みました。 地区活性化の拠点としてさらなる充実を目指す。 法人化は平成13年12月。準備に際しては、開業時から携わっている会計事務所と相談を重ねながら、長野県中小企業団体中央会の指導を交えて進められました。 本来、地区活性化と住民の社会参画の場として運営されてきた店舗ですが、年を重ねることにより、会員の高齢化、技術と文化の将来への継承が課題となってきており、これを解消する第一歩として法人化が図られたものです。またこの法人化により、信用度の増大、組合員の基盤の安定化などのメリットも現われています。 同企業組合では、今後とも「地区の活性化」「高齢化が進展する地区内の女性の生き甲斐づくり」「地域社会の交流の場づくり」「そば切り発祥の地としての伝統文化の継承発展」を目指しています。 またこれに合わせ、従来から使用している地粉(本山産そば粉)の活用を進めることで地域農業の活性化に貢献するとともに、年間2万人に及ぶ来店客の観光行動への展開を図っています。 本山のそばは、良質な地粉ならではの風味をくっきりと持ち、しっかりとした腰と喉ごしの良さが特徴です。 「リピーターも多く、多くの方々に愛されている本場の味を守り、末長く伝えて行きたい」と考えています。
『島崎山林研修所』の研修生と卒業生が中心となって、森林整備活動に取り組む7名の仲間が設立した企業組合。美しい信州の環境基盤づくりを担う森林整備事業の拡大に向け、組合員の福利厚生と安全管理の体制づくりを通じ、確かな未来を感じることのできる林業従事者の経済基盤を確立することを目指しています。 山仕事を学んだ脱サラ有志七名が結集。 今年5月に誕生した島崎山林塾企業組合に集う7名の組合員は、全員が県外出身者。いずれも以前はサラリーマン等をしていたというユニークな経歴の持ち主たちです。 それぞれに「山仕事に携わってみたい」という憧れを持って、伊那市にある『島崎山林塾研修所』の門を叩きました。そこで出逢った研修生や卒業生が集まり、研修した森林整備の技術と知識を活かして活動しようと、任意組織『島崎山林塾事業組合』を設立したのが平成13年のこと。上伊那地域の森林整備活動の一翼を担うことを目指して事業展開を図ってきました。 しかしながら任意組織のままでは、なかなか社会的信用も得にくく、治山・山林事業等への入札に求められるような事業基盤の確保も難しいことから、何らかの対応を必要としていました。 有限会社、株式会社化も考えましたが、脱サラをして県外からやってきた組合員たちにとって、多額の資本金を確保することは困難。また同じ山仕事仲間という意識のもとでは、いわゆる会社組織が馴染みにくいという側面もありました。 こうした折、同じように林業に取り組む県内のグループが「企業組合」を設立したことを知り、彼らにアドバイスを求めたのです。 法人化で事業活動の基盤が安定。 企業組合化によって得られたメリットは、「公共事業入札等に伴う資格の取得、『林業労働力の確保の促進に関する法律』に基づく林業選定事業体としての認定により入札資格が得られたこと」が大きいと言います。また金融機関からの借入、行政からの補助等が容易になったことも挙げられます。 同企業組合が活動する上伊那地域は、その総面積の八割を山林が占める林業地帯。近年は外材需要の増加やこれに伴う木材価格の低迷、生産コストの増加などにより、採算性が悪化したことから地域林業は低迷し続けてきました。また林業従事者の高齢化などによって、その担い手自体が減少していたという背景があります。 しかしその一方で、環境保全への関心の高まりを受けて、森林整備には大きな注目が集まっており、すでにNPOや有志ボランティアなどによる活動も拡がりをみせています。 こうした中で、同組合では「未来につながる『いい山』づくり」を目指して、積極的な事業展開を図っています。研修所や地域の人的ネットワークを介して仕事を受注するほか、住宅用地の不用材の伐採、個人山主への森林整備アドバイスなど、さまざまな活動を進めています。
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