(1) |
景気の急速な減速を主因に、中小企業の業況は極めて厳しい状況にある中で、今後、構造改革、不良債権処理が推進され、また、ペイオフ解禁も予定されていることから、健全に事業を営んでいる中小企業の連鎖的な破綻や、不当なしわ寄せが生じることのないようセーフティネット対策の充実強化を図るとともに、創業・経営革新に前向きに取り組む中小企業の資金調達手段の多様化等を積極的に支援するため、以下のような金融支援措置を講ずること。 |
1. |
中小企業の金融セーフティネット対策強化のため、セーフティネット貸付制度、信用保証協会によるセーフティネット保証制度の充実を図ること。また、資金調達手段を多様化するため、売掛金債権担保保証の創設や私募債による資金調達を一層推進すること。さらに、再建途上にある中小企業を支援するため、DIPファイナンス(再建企業向け融資)を推進すること。 |
2. |
創業に積極的に取り組む中小企業を支援するため、無担保・無保証(本人保証もなし)の創業融資制度を創設するとともに、新事業への挑戦や新たなビジネスモデルの展開等を推進するための経営革新支援貸付のさらなる充実を図ること。 |
3. |
ペイオフの解禁を控えて、預金のシフト等金融システムに混乱を招来することのないよう、金融機関に対する所要の検査・指導支援等の事前の対策に万全を期すること。なお、今後の情勢の推移により金融システムに対する混乱が予想される場合には、ペイオフ解禁についても弾力的に対応すること。 |
4. |
中小企業総合事業団の高度化融資については、都道府県と同事業団が協調して貸付を行う現行の仕組みを維持すること。また、事務手続きの簡素化・既往借入の金利の見直し、返済期間の延長等の改善を図ること。 |
5. |
中小企業倒産防止共済制度について、最高掛金の引上げ、共済貸付手続の簡素化、申込みから貸付実行までの期間の短縮を図ること。 |
6. |
小規模企業者等設備導入資金助成法に基づく設備資金貸付制度及び設備貸与制度の適用対象に、小規模企業者を中心として構成される事業協同組合及び小規模の協業組合を加えること。 |
(2) |
商工中金をはじめとする政府系中小企業三金融機関について、現在果たしている中小企業に対する民間金融の補完機能を今後とも維持すること。 |