11.15項目の大会決議が行われた

 わが国経済は、米国等海外の景気が急減速する中にあって、個人消費が低迷し、民間の設備投資や住宅建設も減少に転ずるなど、内外需とも落ち込みつつあるのみならず、株価が最安値を更新し、完全失業率が過去最悪の5%台となるなど、まさに経済が萎縮するデフレスパイラルの過程に入りつつある。特に中小企業においては、景気悪化の度合いが激しく、景況は一段と厳しさを増している。
 こうした中で、政府は、バブル経済の後遺症ともいうべき不良債権処理への抜本的取組みや様々な構造改革を断行しようとしているが、デフレスパイラルのもたらす経済の大きな混乱を回避し、不良債権処理をはじめとする諸般の構造改革を円滑に進めるためにも、適切なマクロ経済運営の推進が緊要である。このため、従来のパターンにとらわれない事業内容による補正予算及び来年度予算の編成・執行が行われるべきである。また、これら予算の中で、今後のわが国の活力の源泉である中小企業の前向きの努力を支援する施策についても抜本的に強化されるべきである。
 また、不良債権処理や構造改革に伴う痛みは、雇用面やわが国経済の広大な裾野を形成する中小企業に最も強く現れる恐れがあることから、雇用や中小企業金融面でのセーフティネット対策の充実及びきめ細かな運用が不可欠である。中小企業は、わが国経済の活力の源泉として、積極的にその役割を果たしていくことが強く求められており、このような期待に応えていくためには、創業・経営革新、循環型社会の構築など新たな課題に積極的に取り組み、自らの発展基盤を強化していくことが不可欠である。
 しかるに、市場原理・競争原理の流れがますます強まり、中小企業を取り巻く競争環境が一段と厳しさを増す中で、経営資源に制約のある中小企業が個々でこうした課題に挑戦していくことは必ずしも容易ではなく、中小企業組合をはじめとする同業種・異業種の多様な連携組織に結集し、そのネットワークを活かし、経営資源の相互補完やリスクの適正な分散・軽減、市場への訴求力の強化等を図っていくことが極めて重要である。
 政府は、全国500万の中小企業が、持ち前の機動性、柔軟性、創造性を活かし、企業家精神を大いに発揮し、経営の発展と活力の増進を図ることができるよう、中小企業担当大臣である経済産業大臣を中心に、国の重要施策である中小企業政策を抜本的に強化するため、本大会が決議した事項を早急に実現すべきである。

決議
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デフレ脱却のための適切なマクロ経済運営の推進
中小企業対策予算の大幅な増額
金融セーフティネットの強化等中小企業金融対策の充実
創業・経営革新支援及び中小企業連携組織対策の充実強化
IT革命への対応円滑化のための支援の強化
法人事業税への外形標準課税導入絶対反対
事業承継・第二創業促進のための税制の一層の拡充
中小企業関係税制の一層の拡充
信用組合の充実強化
雇用セーフティネット等中小企業労働対策の充実
循環型社会の構築・安全対策のための支援策の拡充
まちづくり、中小商業・サービス業への支援策の充実
不当廉売の防止、下請取引の適正化等公正取引の確保
中小企業向け官公需の増大と受注環境の整備・改善
地域中小企業活性化対策の拡充


1. デフレ脱却のための適切なマクロ経済運営の推進
 わが国経済は、かつて経験したことのないデフレスパイラル過程に入りつつある中、政府により不良債権処理や各般の構造改革が推進されているが、デフレスパイラルのもたらす経済の混乱を回避しつつ、これら取組みを円滑に進めるため、適切なマクロ経済運営を推進すること。このため、研究開発をはじめとする新たな設備投資に対する税制支援など、民需喚起策を一層強化するとともに、平成13年度補正予算及び平成14年度予算においても、総需要管理の観点から、これまでの枠にとらわれることなく、思い切った規模と内容の中小企業支援策を講ずること。特に、不良債権処理や構造改革の推進に際し、雇用や中小企業金融面でのセーフティネット対策に遺漏なきを期すること。

2. 中小企業対策予算の大幅な増額
 平成13年度補正予算及び平成14年度予算の編成に当たっては、創業経営革新やIT化推進、循環型社会の構築・安全対策等に積極的に取り組む中小企業に対する支援を抜本的に強化するため、中小企業対策予算の大幅な増額を図ること。
 その際、地方財政が逼迫化している状況に鑑み、事業費について国の補助要件の弾力化を図ること。
 さらに、現下の厳しい経営環境の中で、中小企業施策に係る受益者負担の強化は行わないこと。

3. 金融セーフティネットの強化等中小企業金融対策の充実
(1) 景気の急速な減速を主因に、中小企業の業況は極めて厳しい状況にある中で、今後、構造改革、不良債権処理が推進され、また、ペイオフ解禁も予定されていることから、健全に事業を営んでいる中小企業の連鎖的な破綻や、不当なしわ寄せが生じることのないようセーフティネット対策の充実強化を図るとともに、創業・経営革新に前向きに取り組む中小企業の資金調達手段の多様化等を積極的に支援するため、以下のような金融支援措置を講ずること。
1. 中小企業の金融セーフティネット対策強化のため、セーフティネット貸付制度、信用保証協会によるセーフティネット保証制度の充実を図ること。また、資金調達手段を多様化するため、売掛金債権担保保証の創設や私募債による資金調達を一層推進すること。さらに、再建途上にある中小企業を支援するため、DIPファイナンス(再建企業向け融資)を推進すること。
2. 創業に積極的に取り組む中小企業を支援するため、無担保・無保証(本人保証もなし)の創業融資制度を創設するとともに、新事業への挑戦や新たなビジネスモデルの展開等を推進するための経営革新支援貸付のさらなる充実を図ること。
3. ペイオフの解禁を控えて、預金のシフト等金融システムに混乱を招来することのないよう、金融機関に対する所要の検査・指導支援等の事前の対策に万全を期すること。なお、今後の情勢の推移により金融システムに対する混乱が予想される場合には、ペイオフ解禁についても弾力的に対応すること。
4. 中小企業総合事業団の高度化融資については、都道府県と同事業団が協調して貸付を行う現行の仕組みを維持すること。また、事務手続きの簡素化・既往借入の金利の見直し、返済期間の延長等の改善を図ること。
5. 中小企業倒産防止共済制度について、最高掛金の引上げ、共済貸付手続の簡素化、申込みから貸付実行までの期間の短縮を図ること。
6. 小規模企業者等設備導入資金助成法に基づく設備資金貸付制度及び設備貸与制度の適用対象に、小規模企業者を中心として構成される事業協同組合及び小規模の協業組合を加えること。
(2) 商工中金をはじめとする政府系中小企業三金融機関について、現在果たしている中小企業に対する民間金融の補完機能を今後とも維持すること。

4. 創業・経営革新支援及び中小企業連携組織対策の充実強化
(1) 新市場・新産業育成のため、個人を含む中小企業及びその連携組織による創業・経営革新への取組みに対する支援策を抜本的に強化すること。このため、創業融資制度の創設などの支援措置を講ずること。
(2) 経営資源に制約のある中小企業が相互に補完し合い、連携により創業・経営革新に積極的に取り組むことを促進するため、次の措置を中心に中小企業連携組織対策の充実強化を図ること。
1. 個人創業のための有力なツールである企業組合に対する税制・金融面での支援策を抜本的に強化するとともに、「組合創業」を促進するため、中小企業組合制度を改善すること。
2. 循環型社会の構築・安全対策など社会的課題に対する業界単位でのきめ細かな対応を図るため、商工組合等による取組みに対する支援策を強化すること。
3. 地方財政が逼迫化している状況に鑑み、国は、一般財源化された都道府県中小企業団体中央会職員の人件費について、交付税面での所要の手当て等に万全を期するとともに、都道府県においても、中央会の指導体制の整備・充実、事業の円滑な実施等について特段の配慮を行うこと。

5. IT革命への対応円滑化のための支援の強化
 わが国経済の構造改革を推進し、国際競争力を高め、21世紀における持続的成長を確実なものとしていくためには、産業の基盤である中小企業がIT革命に円滑に対応し、経営の効率化を図るとともに、新たなビジネスチャンスを積極的に捉えていくことが重要である。
 しかし、中小企業においては、資本、技術力、人材等経営資源面からの制約により、大企業との情報力格差(デジタル・デバイド)が拡大・深刻化しつつあることに鑑み、早急に次の措置を講ずること。
(1) 組合等の連携組織が行うITを活用したビジネスモデルの開発や情報ネットワーク構築等に対する支援策を充実・強化すること。
(2) ITコーディネータによる情報化支援等、中小企業の情報化戦略策定への支援策を充実・強化すること。
(3) ITの導入や電子商取引等情報化推進に必要な中小企業の人材育成策を充実・強化すること。
(4) 中小企業への情報機器の導入を促進するため、関連税制を一層拡充すること。

6. 法人事業税への外形標準課税導入絶対反対
 外形標準課税は、これが人件費に課税される場合には、当面のわが国経済の最重要課題である雇用創出に逆行し、経済活力を削ぐばかりでなく、担税力のない赤字法人や平均的な黒字中小法人への課税強化となり、さらに、新規創業支援に逆行するなど、中小企業への悪影響は極めて重大かつ深刻である。
 よって、法人事業税への外形標準課税の導入は、絶対に反対である。

7. 事業承継・第二創業促進のための税制の一層の拡充
 中小企業の開廃業率が依然として逆転状態を続けていることに鑑み、わが国経済の圧倒的多数を占める中小企業の経営資源について、いわば「第二の創業」として円滑な次世代への承継と有効な活用が図られることが緊要であることから、次の改善を図ること。
(1) 相続税・贈与税の税率の引下げと税率構造の緩和を図ること。
(2) 中小企業の事業用資産に対する相続については、欧州先進国等が講じている高率の控除制度やわが国の農地等に講じられている相続・贈与に当たっての生前相続特例制度を参考にしつつ、包括的な軽減措置を認める新たな事業承継税制を創設すること。
(3) 中小会社の取引相場のない株式等に係る評価方法について、さらなる改善を図ること。
(4) 中小会社の取引相場のない株式の物納に係る運用の改善を図ること。
(5) 中小企業の小規模宅地等の相続に係る課税特例措置の減額率を80%から100%に引き上げること。
(6) 相続税の支払いに係る負担を軽減するため、延納期間5~20年を大幅に延長すること。

8. 中小企業関係税制の一層の拡充
 中小企業が現在の閉塞状況を打破し、経営基盤の強化と活力の増進を図ることができるよう、特に下記事項を中心に中小企業に係る税負担の一層の軽減等を図ること。
(1) 中小同族会社の留保金に係る重課税制度の抜本的な改革を行うこと。
(2) 中小企業投資促進税制等の拡充と適用期限を延長すること。また、中小企業及び中小企業組合を対象とした適用期限の到来する特別措置を延長すること。
(3) 中小法人の軽減税率の適用所得限度額を引き上げること。
(4) 交際費の損金算入限度額を引き上げること。
(5) 連結納税制度については、中小企業及び中小企業組合にもメリットが享受できるよう配慮した制度とすること。
(6) 固定資産税については、土地の評価額が下がっている状況を踏まえ、制度の適用改善を図ること。
(7) 青色申告者に対する勤労所得控除制度を創設すること。

9. 信用組合の充実強化
(1) 信用組合が、経営の健全性を確保し、引き続き中小企業者と地域社会の負託に応えていくことができるよう、資本増強支援と地方公共団体からの低利預託金の増額等を行うこと。
(2) 金融庁検査における金融検査マニュアルの適用に当たっては、金融機関の融資実態や特性等を踏まえ、機械的、画一的にならないよう弾力的運用に十分配慮すること。

10. 雇用セーフティネット等中小企業労働対策の充実
(1) 雇用情勢が悪化しつつある中で、構造改革の進展に伴い、大企業の大規模なリストラや、企業倒産の急増による非自発的失業者の増大が懸念されるため、雇用面におけるセーフティネットの整備に万全を期すること。また、雇用関係の各種助成制度が中小企業において有効に活用されるよう制度の要件の緩和・弾力化等を図ること。なお、予想される失業等給付の増大に対して事業主負担分の保険料率のさらなる引上げ等は行わないこと。
(2) 有期雇用契約の雇用期間の上限を3年から5年に延長すること。また、裁量労働制の対象となる業務・労働者・事業場の範囲の拡大を図ること。
(3) 労働者派遣法においては、26種類の専門的業務を除き、派遣期間が最長1年に規制されているが、これを専門的業務と同じく最長3年とするとともに、当分の間、適用除外とされている物の製造の業務の凍結措置を見直すこと。
(4) 産業別最低賃金の廃止など最低賃金制度のあり方を見直すこと。
(5) 外国人研修生の受入人数枠を見直し、その拡大を図ること。
(6) パートタイム労働者の円滑な就労を図るため、パートタイム労働者に対する所得税等の非課税限度額を大幅に引き上げること。

11. 循環型社会の構築・安全対策のための支援策の拡充
 循環型社会の構築・安全対策等への社会的要請が一段と強まる中で、中小企業がこれらの問題に円滑に対応できるよう、次の措置を講ずること。
(1) 循環型社会の構築・安全対策等の社会的課題に積極的に取り組む中小企業を強力に支援するため、資源有効利用のためのシステム構築や、環境負荷低減の技術開発等、広範な環境マネジメントへの予算・金融・税制・情報・技術各面における支援施策の拡充を図ること。
(2) 中小企業が共同で取り組む廃棄物処理に対する支援施策の充実・強化を図ること。また、国は、地方公共団体や民間による既設の産業廃棄物処理施設の改修及び存続に係る助成等を講ずることにより、最終処分場を確保し、新たな処理施設の設置についても強力に推進すること。
(3) 国等は、リサイクルシステムについての啓蒙を一層促進すること。

12. まちづくり、中小商業・サービス業への支援策の充実
(1) 商店街等商業集積の活性化を図るため、新業態開発・業態転換、循環型社会の構築・安全対策、福祉・高齢化対応事業及びITを活用した多機能カード、バーチャルモール事業等に積極的に取り組む商店街組合等に対する総合的な支援策を強力に推進すること。さらに、個店の競争力を強化するため、共同化や連携の推進による商品調達の効率化、新商品の開発、物流コストの削減等に対する支援策を強化すること。
(2) 大規模小売店舗立地法の運用に当たっては、国及び各地方自治体はまちづくり三法の趣旨を踏まえた中心市街地の活性化はもとより、まちづくり条例の制定など地域の実情を踏まえた、多様で個性ある魅力的な個店の集積としてのまちづくりに対する支援を強力に推進すること。
(3) 中小卸売業者が流通構造の急激な変化に的確に対応していく上で重要な、リテール・サポート、情報のマッチング機能の強化及び共同化による物流効率化などの経営革新への取組みに対する支援措置を拡充強化すること。
(4) 中小企業及び起業家が循環型社会の構築・安全対策、福祉・高齢化等近年の社会的要請に対応した新たな分野のサービス業に円滑に進出できるよう、情報、人材育成、マーケティングの各方面に対する支援策を拡充強化すること。特に、地域住民を対象に各種の生活サービスを提供するコミュニティ・ビジネス拡充のための支援策を強化すること。

13. 不当廉売の防止、下請取引の適正化等公正取引の確保
(1) 大規模小売業等が行う不当廉売、不当表示、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に対し、国は、厳正、かつ、迅速に対処すること。また、公正取引委員会は、ネットワーク上で行う電子商取引が進展する中で、中小企業のITに関する利用機会の格差是正を図るための所要のガイドラインを提示し、中小企業の電子商取引への新規参入を不当に阻害することのないよう対処すること。
(2) 下請取引環境がますます厳しさを増している中で、下請中小企業が、親企業の優越的地位の濫用等による不利益な取引を強いられ、不当なしわ寄せを受けることとならないよう、指導・監督機能を強化し、下請取引の適正化を図ること。また、下請中小企業が、事業者間取引において不利益や不公正な取引等の問題に的確に対応できるよう、「裁判外紛争処理制度(ADR)」等の
 周知・普及を一層強力に推進し、利用しやすい制度とすること。

14. 中小企業向け官公需の増大と受注環境の整備・改善
 国は、官公需法に基づいて閣議決定された「中小企業者に関する国等の契約の方針」の実効性を確保するとともに、中小企業向け官公需の発注を大幅に増額すること。特に、中小企業の受注環境を整備・改善するため、銘柄指定の廃止、分離・分割発注の推進、適正価格による発注等に努めるとともに、適正価格による発注に関しては、ダンピング入札排除の観点から物件の販売、役務の提供に最低価格制限制度を導入すること。また、組合随意契約制度を工事施工、物件製造、役務提供にも適用し、官公需適格組合をはじめとする中小企業組合の積極的な活用を図ること。さらに、地方公共団体においても国に準じた官公需施策の実施を強力に推進すること。

15. 地域中小企業活性化対策の拡充
 地域産業集積活性化法に基づく地域活性化対策、地域経済を再生させる地域再生産業集積計画の推進及び「地場産フェア」開催等の地場産業振興策の拡充・強化を図るとともに、自然・伝統文化等の地域資源を基盤とした産業の振興策の充実など、地域産業・地域中小企業振興対策の強化、ものづくり技術・技法の継承や後継者の確保・育成の強化、情報化の推進等、ソフトな経営資源の確保のための支援策を充実すること。
 また、企業活動の国際化の進展、開発輸入の増加、国内消費の低迷等に対応して、中小企業が地域又は業種全体で構造改革に取り組む際には、中小企業経営革新支援法に基づく経営基盤強化計画の機動的な発動等により、中小企業者の取組みを強力に支援すること。
 地域改善対策特定事業については、平成14年度以降は一般対策の中で措置すること。

12. 特別決議

商工中金等政府系中小企業三金融機関の民間金融補完機能の維持
 厳しい金融・経済情勢下、金融機関の不良債権処理の進展など、金融システムの先行きが極めて流動的な中で、中小企業の金融セーフティネットとして不可欠である商工中金をはじめとする政府系中小企業三金融機関の民間金融補完機能は、絶対に維持されるべきであり、商工中金の民営化は行うべきでない。

13. 宣言
 わが国経済は、個人消費の低迷、民間設備投資の減少など内外需ともに落ち込みつつある中、株価が最安値を更新し、完全失業率が過去最悪の五%台となるなど、まさに経済が萎縮するデフレスパイラルの過程に入りつつある。特に、中小企業においては、景気悪化の度合いが激しく、景況は一段と厳しさを増している。
 こうした中で、政府は、様々な構造改革を断行しようとしているが、これを円滑に進めるためにも、適切なマクロ経済運営が推進されることが緊要であり、従来のパターンにとらわれない事業内容による補正予算及び来年度予算の編成・執行が行われるべきである。また、現下の厳しい経済情勢に鑑み、雇用や中小企業金融面でのセーフティネット対策の強化に万全を期すべきである。
 さらに、わが国経済の活力の源泉である中小企業が、創業・経営革新、循環型社会の構築など、新たな課題に積極果敢に挑戦し、その役割を果たしていくためには、われわれ中小企業の自助努力が不可欠であることはもちろんであるが、こうした中小企業の取組みを強力に支援する国の施策の抜本的拡充が強く求められる。
 本日、全国の中小企業団体の代表6,000余名は、全世界に夢と感動を与えたNAGANO冬季オリンピック会場である、ここビッグハットにおいて、21世紀最初の記念すべき全国大会を開催し、「連携・創造・挑戦 新世紀に翔け中小企業」をキャッチフレーズに、IT革命が急速に進展し、経済のグローバル化が日常のものとなりつつある状況の下、わが国中小企業が、時代のニーズに即応して積極的にその期待に応えていくために必要な重点事項について決議した。
 政府は、全国500万の中小企業が、その活力を最大限に発揮し、次々に生起する諸課題を克服しつつ、明るい展望を切り拓いていくことができるよう、本大会が決議した事項を早急に実現すべきである。
 われわれ中小企業もまた、わが国社会の礎として、それぞれの地域・分野において、企業家精神を発揮しつつ、中小企業組合をはじめとする連携組織に相互の力を結集し、希望と活力に満ちた新世紀の創造に向けて、大きく翔くことを期する。
 右宣言する。

 平成13年10月25日
 第53回中小企業団体全国大会

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