日本では、環境省が平成9年から一部の地域でパイロット事業を実施してきました。また、産業界でも、経済産業省の支援を受けつつ、自主的な排出量 の調査等の取り組みが進められてきました。 こういった経験を踏まえ、経済産業省と環境省はPRTR制度を盛り込んだ法律案を作りました。国会での審議の結果 、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)が、平成11年年7月に公布されました。
PRTR法は、有害性のある様々な化学物質の環境への排出量を把握することなどにより、化学物質を取り扱う事業者の自主的な化学物質の管理の改善に促進し、化学物質による環境の保全上の支障が生ずることを未然に防止することを目的として制定されました。
この法律は、人の健康や生態系に有害なおそれがある等の性状を有する化学物質を対象とし、環境中に広く存在すると認められる「第一種指定化学物質」と、それほどは存在していないと見込まれる「第二種指定化学物質」を政令で指定することになっています。 PRTRの対象は、第一種指定化学物質とそれを含む一定の製品です。具体的には、有害性についての国際的な評価や物質の生産量 などを踏まえ、専門家の意見を聴いた上、第一種指定化学物質として354 物質、第二種指定化学物質として81物質が指定されました。
PRTRの対象となるが核物質を製造したり、原材料として使用しているなど、対象化学物質を取り扱う事業者や、環境へ排出することが見込まれる事業者のうち、一定の業種や要件に該当するものが対象となり、対象化学物質の環境への排出量 と廃棄物に含まれて事業所の外に移動する量との届出が義務付けられます。業種や要件(対象化学物質の取扱量 や常用雇用者数など)は、対象化学物質と同様、政令で指定されています。
事業者は、国が定める技術的な指針(化学物質管理指針)に留意しつつ、化学物質の管理を改善・強化します。また、その環境への排出や管理の状況などについて関係者により理解してもらえるように努めます。
国は、PRTRの集計結果などを踏まえて、環境モニタリング調査や、人の健康や生態系への影響についての調査を行います。 |