1. 「化学物質をしっかり管理して、環境問題が起きないにしよう。」
PRTRは様々な効果が期待できる仕組みです。

PRTRは化学物質の管理の改善と環境の保全上の支障の未然防止のための新しい仕組みです。

事業者は、環境中への排出が規制されている化学物質を含め、様々な化学物質について、環境への排出口に限らない様々な箇所からの排出量 を自ら把握し、行政に届け出ることになります。そのような把握を通じて、また、同業他社等のデータと比較することにより、化学物質の自主的な管理の改善を進めることができ、ムダな排出を抑え、原材料の節約などを行えます。

国や地方公共団体は、PRTRのデータを環境保全施策、化学物質管理施策の基礎的なデータとして用いることができます。例えば、化学物質対策の優先づけや対策の進捗状況の把握に、また国や地域レベルでの環境リスクの評価などに活用することができます。

国民は、化学物質の排出の現状や環境リスクに関する理解を深め、行政や事業者が有する情報の提供を求めたり、自ら有害性のある化学物質の使用を削減したりすることもできます。

このように、PRTRは、事業者や行政はもちろんのこと、国民のみなさんにも役に立つ情報やその活用の方途を提供してくれるのです。



●PRTRのデータをどう読むか

 PRTRで公表される物質名や排出量を見て人の健康や生態系への影響を心配する方がいらっしゃるかもしれません。
 環境中に存在している化学物質が人の健康や生態系に悪影響を与える状況にあるかどうかは、PRTRで得られる排出量 のデータに加え、環境中の存在状況、環境中での分解性や挙動、物質固有の有害性など、さまざまなデータを併せて解析する必要があります。ですから、排出量 の大きさだけで問題があるとは言えません。
 PRTRのデータを利用しながら、化学物質による環境リスクの評価を進めるとともに、化学物質の性質やその管理について、さらに科学的知見を充実したり、理解を深めていくことも重要です。

PRTRは他の先進国でも法制化されています。

 現在、化学物質について、環境問題が起きないように適正に管理していくための国際的な取組みが進んでいます。PRTRはその有効な手法として注目され、1992年の地球サミットで採択されたアジェンダ21にも取り上げられています。先進国の集まりであるOECDでは、1996年に加盟国に対してPRTR制度の導入に取り組むよう勧告を出しました。
 すでに、アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、オーストラリアなどで、それぞれの国の実情に応じたPRTRが法制化されています。

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