中小企業事業活動活性化法の改正
-中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律の概要-
1.趣旨
近年の中小企業を巡る経済環境の変化に鑑み、中小企業の事業活動の活性化を図るため、中小企業の事業活動に必要な資金の供給の一層の円滑化、事業協同組合等の組織の活性化、中小企業者の行う技術に関する研究開発等に対する支援の強化等を行う必要があるため、関係法律の改正を行う。
2.一括改正される関係法律の内容
中小企業信用保険法及び信用保証協会法の一部改正
1.制度の概要と今次改正の目的
現行の中小企業信用補完制度(信用保険制度及び信用保証制度)は、銀行等の金融機関から貸付を受ける中小企業者に対し、信用保証協会がその借入債務を保証するとともに、当該保証債務について中小企業総合事業団が保険を付すことにより、中小企業者の信用力・担保力を補完し、その金融の円滑化を図る制度。
中小企業金融の一層の円滑化を図るとともに、資金調達手段の多様化を図るため、社債(私募債)に係る信用補完制度の整備、保証付き債権の譲渡の円滑化を図る。
2.改正の概要
- 一定の財務内容(純資産額5億円以上等を想定)を有する中小企業者が5億円程度の限度額の範囲内で発行する社債(私募債)について、信用保証協会が90%程度の部分保証を行い、当該保証債務について中小企業総合事業団が保険(てん補率80%)を付すこと。
- 信用保証協会の保証付き債権(融資、私募債)が金融機関等(特定目的会社を含む)に譲渡された場合においても、信用保証の効果が及ぶとともに保険関係が存続すること。
等を内容とする改正を行う。
中小企業金融公庫法等の一部改正
1.制度の概要と今次改正の目的
中小企業金融公庫は、中小企業の事業を振興するために、その事業活動に必要な資金を貸し付ける業務を行うこととされている。
今次改正により、担保は乏しいが成長が見込まれる新事業を行う中小企業者の資金ニーズに対応した的確かつ機動的な資金供給を可能とするよう、同公庫の業務範囲の拡大等を行う。
2.改正の概要
- 成長性ある企業を対象に、担保が乏しくとも一定の資金調達が可能な新しい資金供給制度を中小企業金融公庫に創設するために、無担保社債の引受も活用できるよう同公庫の業務範囲を拡充
- 中小企業者の資金ニーズに対応した的確かつ機動的な資金供給を可能とするよう、同公庫の資金調達・運用方法等に関する規定を改正(資金調達手段に短期借入金を追加する等)
※沖縄振興開発金融公庫についても、上記同様の社債業務の追加を行う。
中小企業近代化資金等助成法の一部改正
1.制度の概要と今次改正の目的
- 中小企業の設備の近代化を図るため、国並びに都道府県が資金を拠出し、これを原資として以下の2つの制度を運用。
- 設備近代化資金貸付―都道府県が中小企業者に無利子資金を直接貸付
- 設備貸与制度―都道府県の貸与機関が中小企業者に設備を割賦販売又はリース
- 創業者及び小規模企業者等のための使いやすい設備資金無利子融資制度、設備リース制度を創設
2.改正の概要
- 創業と経営基盤強化に資する設備投資を支援する制度を創設
- 創業者を新たに対象にする
- 業種・設備指定(38業種、741設備)は原則として廃止
- 小規模企業者等の経営基盤強化のための設備投資を幅広く支援
- 制度の利便性を向上
- 無利子貸付も貸与機関へ一元化し、民間への業務委託の活用等により、手続の迅速化・効率化など、利便性を向上
- 償還期間を延長(5年→7年等)
- その他
- 国から都道府県への助成方式を補助金から貸付金に変更
- 中小企業構造改善事業計画に関する規定の廃止等
中小企業団体の組織に関する法律の一部改正
1.今次改正の目的
- 中小企業が創業、新事業展開、経営革新を円滑に進めていくためには、お互いの経営資源を相互補完し、連携していくことが重要であり、事業の成長発展段階に応じて、多様な連携組織形態を選択し、柔軟な経済活動を可能にする必要がある。
- このため、組合を活用した研究開発成果の事業化や組合形態での創業や新事業展開、経営革新の事業をさらに大きく成長させることができるように、中小企業組合(事業協同組合、企業組合、協業組合)から株式会社、有限会社への組織変更規定を創設する。
- 現行制度の問題点:組合を一度解散して新たに会社を設立せざるを得ない
- 解散・設立の手続が煩雑な上、事業活動が数ヶ月停止
- 組合の資産を会社に引き継ぐコストが大
2.改正の概要
- 組合を解散して別法人を設立するのではなく、組合に蓄積された資源・資産を活用し、会社への柔軟な組織変更ができうるように、組織変更計画書の総会議決(議決権の3分の2以上の多数)による承認等の組織変更規定を創設する。
- 市場機能を一時的に停止させる商工組合の安定・合理化事業(カルテル事業)は廃止し、一方で、環境リサイクル、安全問題、経営革新等への業種ごとの効率的な対応できる組織として位置づける。
中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の一部改正
1.制度の概要と今次改正の目的
中小企業の創業及び技術に関する研究開発等創造的事業活動を促進するために、資金面等の支援措置を規定。こうした企業は高い技術力を有するものの、知名度・信用力に欠けるため資金や人材等の経営資源の確保が困難であることが多いので、資金調達、人材確保を円滑化するための措置を講ずることとする。
2.改正の概要
- ストックオプションの付与上限の特例を追加。
- 現行商法の付与上限である1/10を1/5に引き上げ。
- エンジェル税制の対象拡充
- 現行の対象は、設立5年以内の売上高に対する研究開発費等比率が高い企業であるが、設立10年以内の売上高に対する研究開発費等比率が高い企業に拡大。
3.対象となる企業
- ストックオプションの付与上限の特例については、技術に著しい新規性を持つものとして研究開発等事業計画の認定を受けた株式会社。
- エンジェル税制については、設立10年以内の売上高に対する研究開発費等比率が高い株式会社。
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