3.職業能力の開発と向上

(1) 職業訓練

職業訓練は、公的機関が行う「公共職業訓練」と事業主やその団体等が行う「認定職業訓練」が2本の柱となっています。

① 公共職業訓練

公共職業能力開発施設として、職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発促進センター及び障害者職業能力開発校があり、普通職業訓練、高度職業訓練を行っています。

② 認定職業訓練

事業主やその団体等が行う職業訓練の内容が労働大臣の定める訓練基準(公共職業訓練の基準と同一の基準)に適合している場合には、都道府県知事に申請し、その認定を受けることができます。

(2) 地域職業訓練センター

地方産業都市を中心とする地域において地域の実情に応じた多様な能力開発を促進するため、事業主等が多様な職業訓練を行うために必要な施設を提供することを目的として、地域職業訓練センターが設置されています。

(3) 事業主等の行う職業訓練に対する助成、援助

① 生涯能力開発給付金

労働組合等の意見を聞いて作成した事業内職業能力開発計画に基づきその雇用する労働者に対して職業訓練等を行う事業主に対して助成されるもので、能力開発給付金、自己啓発助成給付金の2種類があります。

ア.能力開発給付金

事業内職業能力開発計画に基づき、その雇用する中高年齢者等(中小企業に雇用される労働者は、職業訓練の内容により35歳未満(25歳未満については、導入奨励金の支給対象となった年度から3年間に限る。)を含む)に職業訓練を受けさせた事業主に対して、一定の経費の区分に応じそれぞれ一定の額が給付されます。

イ.自己啓発助成給付金

事業内職業能力開発計画に基づき、労働者に有給教育訓練休暇を与えるか、又は事業外の教育訓練施設の行う教育訓練受講の経費援助を行う事業主に対して、有給教育訓練期間中の賃金及び受講経費援助額について一定額が助成されます。受講経費の支給限度額は5万円(55歳以上の者10万円)、教育訓練期間中の賃金は1人1日当たり10、900円(平成11年4月1日現在)が限度です。

認定訓練派遣等給付金

雇用する労働者に技能を習得させるため、認定職業訓練を受講させた中小企業事業主に対して、当該認定職業訓練期間中に支払った賃金の3分の1(高度化対応職業訓練の場合、2分の1)に相当する額(1人1日当たり10,900円が限度)が給付されます。

中小企業人材育成事業助成金

中小企業事業主の団体又はその団体の連合団体が、その構成員である中小企業事業主のために事業の高度化に伴い必要となる認定職業訓練に係る計画を策定する場合、又は、建設技能労働者の育成を促進するための認定職業訓練に係る計画を策定する場合に、当該団体に対し、当該計画の策定又は当該計画に基づく認定職業訓練の実施の準備に要する経費のうち、一定の額が助成されます。
以上のほか、公共職業能力開発施設は、事業主等の行う職業訓練の振興及び内容の充実を図るため、事業主等に対し、職業訓練指導員の派遣、教材等の資料提供、職業訓練の計画、運営に関する助言、指導その他職業訓練に係る技術援助、職業訓練の受託及び施設の利用等の援助を行っています。

④ 人材高度化助成金

人材高度化に資する職業能力開発を実施する事業主団体等に以下の助成金等が支給されます。

ア.人材高度化事業助成金

人材高度化支援計画を作成し、人材高度化指針に基づき雇用促進事業団の認定を受けた事業主団体又は、中小企業労働力確保法に基づく認定組合等に対し教育訓練実施のための準備、構成事業主・構成中小企業者に対する相談援助等の活動を行う場合に経費の全額(受給資格認定日から1年間、1年間500万円を限度)が助成されます。

イ.人材高度化訓練運営助成金

人材高度化支援計画を作成し、人材高度化指針に基づき雇用促進事業団の認定を受けた事業主団体を構成する事業主又は、中小企業労働力確保法に基づく認定組合等を構成する中小企業者の雇用労働者を対象に教育訓練を行う場合にその運営費の2分の1(受給資格認定日から3年間、1年間50万円を限度)が助成されます。

ウ.人材高度化能力開発給付金

人材高度化支援計画を作成し、人材高度化指針に基づき雇用促進事業団の認定を受けた事業主団体を構成する事業主、又は人材高度化実施計画を作成し、人材高度化指針に基づき雇用促進事業団の認定を受けた事業主に対し、労働者に教育訓練を受講させる際の派遣費、運営費並び賃金、労働者に有給教育訓練休暇を与える際の賃金、負担した援助費用、能力開発のための人材交流を行う際の賃金が助成されます。中小企業事業主にあっては派遣費・運営費等の3分の2(受給資格認定日から3年間、1人1コース当たり10万円を限度)、賃金の3分の2(受給資格認定日から3年間、1人当たり1日10,900円を限度)が助成対象額となります。

エ.中小企業人材高度化能力開発給付金

中小企業労働力確保法に基づく認定組合等を構成する中小企業者又は中小企業労働力確保法に基づく認定中小企業者に対し、労働者に教育訓練を受講させる際の派遣費、運営費及び賃金、労働者に有給教育訓練休暇を与える際の賃金、負担した援助費用、能力開発のための人材交流を行う際の賃金が助成されます。派遣費・運営費等の4分の3(受給資格認定日から3年間、ただし、新分野進出等を行う場合は5年間、1人1コース当たり10万円を限度)、賃金の4分の3(受給資格認定日から3年間、ただし、新分野進出等を行う場合は5年間、1人当たり1日10,900円を限度)が支給対象額となります。

オ.地域人材高度化能力開発給付金

人材高度化支援計画を作成し、人材高度化指針に基づき雇用促進事業団の認定を受けた、地域雇用開発等促進法により労働者の技能を活用した地域雇用開発を促進する必要のある地域として指定される「高度技能活用雇用安定地域」内の事業主団体を構成する事業主、又は人材高度化支援計画を作成し、人材高度化指針に基づき雇用促進事業団の認定を受けた「高度技能活用雇用安定地域」内の事業主に対し、ⅰ)労働者に教育訓練を受講させる際の派遣費、運営費及び賃金、ⅱ)労働者に有給教育訓練休暇を与える際の賃金、負担した援助費用、ⅲ)能力開発のための人材交流を行う際の賃金について高率助成が行われます。中小企業事業主にあっては派遣費、運営費等の4分の3(受給資格認定日から3年間、1人1コース当たり5万円を限度)、賃金の4分の3(1人1日当たり10,900円を限度)が支給対象額となります。

地域人材育成総合プロジェクト事業

中小企業を中心に製造業が集積している地域や地方資源の活用や新たな産業の創出等により地域産業の発展を図っていこうとしている地域について、地域ぐるみでその育成・確保に自主的・総合的に取り組むことに対する支援が行われます。

ア.国は、都道府県に対し、「地域人材育成計画」の策定に要した経費及び「地域人材育成推進事業」に対して助成した経費の1/2を補助します。

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