(1) 消費税及び地方消費税の中小企業関係特例措置
消費税法においては次のような中小企業関係特例措置が講じられています。
① 事業者免税点制度
基準期間の課税売上高が3,000万円以下の事業者については、納税義務が免除されます。
② 簡易課税制度
基準期間の課税売上高が2億円以下の事業者については、納税事務を軽減させるために課税売上高から税額を計算する制度を選択することができます。
- 納付すべき税額は、次の算式で求められます。
(課税期間の課税売上高)×{1-みなし仕入率(0.9、 0.8、 0.7、 0.6、0.5) }×0.05(税率)
- みなし仕入率は、事業別に次の5種類が設定され、事業別の課税売上高にそれぞれのみなし仕入率が適用されます。
第1種事業(卸売業)……90%
第2種事業(小売業)……80%
第3種事業(製造業、建設業等)……70%
第4種事業(飲食店業、金融・保険業等)……60%
第5種事業(不動産業、運輸・通信業、サービス業)……50%
ただし2事業以上の兼業者については次のような特例措置が講じられます。
- 兼業者のうち1事業の課税売上高割合が75%以上である事業者は、当該1事業に係るみなし仕入率を他の事業の課税売上高に対しても適用できます。
- 3以上の事業の兼業者で2事業合計の課税売上高割合が75%以上である事業者については、当該2事業のうち低い方のみなし仕入率を当該2事業以外の事業の課税売上高に対しても適用できます。
(2) 国際化の進展に対する措置
中小企業者等の国際化の進展に対する特別措置としては、平成2年度から、製造業者が、輸入促進対象製品の輸入を基準年度に比べて5%以上増加させた場合に、5%の税額控除(当期の税額の10%(中小法人は15%)相当額を限度)を認める「製品輸入促進税制」が講じられています。
(3) 総合経済対策に伴う特別措置
平成10年4月24日に策定された政府の総合経済対策の実施に伴い、次の中小企業の投資促進のための減税措置がとられています。
① 中小企業投資促進税制
平成10年6月1日から12年5月31日までの間に一定の機械装置、器具備品、車両及び内航船舶を取得した場合には、取得価額の30%の特別償却又は取得価額(リースの場合はリース料の60%相当額)の7%の税額控除(当期の税額の20%相当額を限度)が認められます(ただし、資本金が3,000万円超の法人(組合を除く)に対しては取得の場合の税額控除は不適用)。
② 中小企業技術基盤強化税制の拡充
中小企業が支出する試験研究費については、その支出額の6%の税額控除(当期の税額の15%を限度)が認められているが、平成10年4月1日以後の事業年度にあっては、この税額控除率が10%に引き上げられています。
(4) 阪神・淡路大震災に関する主な税制措置
平成7年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」に関して、
① 国税関連
- 被災代替資産等の特別償却
- 特定事業用資産の買換えの場合の課税の特例
- 土地譲渡所得課税の特例
- 被災建物に代替する建物の取得する場合の登録免許税の特例
- 政府系金融機関等が通常より有利に貸し付けた場合の印紙税の非課税措置
② 地方税関係
滅失・損壊した家屋・償却資産に代わるものとして取得した家屋・償却資産に係る固定資産税の特例
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