(1) 中小企業者(組合)の機械等の特別償却
230万円以上の機械及び装置について、事業供用年度に取得価額の 100分の11に相当する金額の特別償却ができます。
(2) 中小企業新技術体化投資促進税制(メカトロ税制)
中小企業者が、電子機器利用設備の取得等をした場合には、初年度に取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(当期の税額の20%相当額を限度)の選択適用が認められ、リース資産については、リース料の60%相当額について7%の税額控除を行うことが認められています(ただし、資本金3,000万円超の法人(組合を除く)に対しては取得分の税額控除は不適用)。
(3) 中小企業等基盤強化税制
- 「中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律」に基づく組合及び組合員、
- 「特定産業集積の活性化に関する臨時措置法」に基づく中小企業者、
- 「中小企業経営革新支援法」に基づく中小企業者、
- 卸売業、小売業、飲食店業及び特定サービス業を営む者並びに、
- 「特定農産加工業経営改善臨時措置法」に規定する中小農産加工業者が、
事業基盤の強化に資するための設備又は労働時間の短縮等に資する機械・装置を取得した場合には、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(当期の税額の20%相当額を限度)の選択適用が認められています。また、リース資産については、リース料の60%相当額について7%の税額控除を行うことが認められています。なお、本制度は「中小企業創造活動促進法」の設備投資減税との選択適用となります。
(4) 中小企業技術基盤強化税制
中小企業の技術基盤を強化するため、中小企業者などの試験研究費について、その10%相当額の税額控除(当期の税額の15%相当額を限度)をすることができます。(増加試験研究費の税額控除との選択適用が認められています。)
(5) 中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法関係の措置
中小企業の創業及び技術に関する研究開発等を支援するため、「中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法」が平成7年4月14日に施行され、各種の税制措置が講じられていますが、平成9年6月5日に同法が改正され、エンジェル(個人投資家)税制が創設されました。
① エンジェル(個人投資家)税制
創業5年未満で、売上高に対する試験研究費等の割合が3%を超える等一定の要件を満たす中小企業者等に対し、個人投資家が株式投資を行い、その株式について譲渡損失が発生した場合には、その譲渡損失について、個人投資家は3年間にわたって繰越控除の特例等が認められています。
② 設備投資のための特例措置
ア.売上高に対する研究開発費比率が3%を超える中小企業者、イ.創業5年未満の製造業、印刷業、ソフトウェア業及び情報処理サービス業を行う中小企業者、ウ.同法に基づく認定研究開発等計画に従って研究開発事業を実施する中小企業者が、取得(リースも含む)する
250万円以上の機械・装置については7%の税額控除(当期の税額の20%相当額を限度)又は30%の特別償却(リースの場合、リース費の総額340万円以上の60%について7%の税額控除)が認められます(中小企業等基盤強化税制との選択適用となっています)。
③ 欠損金の繰越期間の延長
同法に基づく認定研究開発等事業計画に従って、研究開発事業を実施する中小企業者の欠損金については、7年まで繰り越すことができます。
④ 試験研究賦課金の任意償却と増加試験研究費の税額控除
同法に基づく認定研究開発等事業計画に従って、組合等が生産・販売又は役務の提供の技術に関する研究開発等事業を実施する場合に、その構成員が支出した負担金については、その支出相当額までの任意償却が、また、試験研究費が増加した場合又は中小企業技術基盤強化税制の税額控除の適用が認められます。
⑤ 賦課金により取得した資産の圧縮記帳
組合等が、同法に基づく認定研究開発等事業計画に従って、取得する試験研究用資産を、構成員の負担金により取得した場合には、1円までの圧縮記帳を行うことができ、また、その圧縮した額の損金算入が認められます。
⑥ その他
組合等が、同法に基づく認定研究開発等事業計画に従って実施する研究開発事業の用に供する土地に係る特別土地保有税については非課税となります。また、新増設に係る事業所税については非課税となり、事業に係る事業所税のうち資産割の課税標準については2分の1に軽減されます。
(6) 中小企業経営革新支援法関係の措置
① 設備投資のための特例措置
同法に基づく承認経営革新計画に従って、経営革新のための事業を行おうとする中小企業者であって、生産額又は取引額が相当程度減少している旨の確認を行政庁から受けたものが取得(リースも含む)した機械及び装置(製作した場合も含む)については、初年度に7%の税額控除(当期の税額の20%相当額を限度)又は30%の特別償却が認められます。
② 機械等の割増償却
同法に規定する中小企業者であって、経営基盤強化計画について、主務大臣の承認を受けている組合等の構成員である者が、その経営基盤強化に係る機械事業を主として営む場合、機械装置・工場用建物その他について、5年間、普通償却限度額の
100分の18 の割増償却が認められます。
③ 試験研究賦課金の任意償却と増加試験研究費等の税額控除
同法に基づく経営革新計画の承認を受けた組合等、承認経営基盤計画の承認を受けた特定組合等が新商品又は新技術の研究開発事業を実施する場合に、その構成員が支出した試験研究のための負担金については、支出相当額までの任意償却が、また、試験研究費が増加した場合又は中小企業技術基盤強化税制の税額の特別控除の適用が認められます。
④ 賦課金により取得した資産の圧縮記帳
同法に基づく経営革新計画の承認を受けた組合等、承認経営基盤計画の承認を受けた特定組合等が新商品又は新技術の研究開発に関する事業として行う試験研究の用に直接供する固定資産を構成員の負担金により取得した場合には、1円まで圧縮記帳を行うことができ、また、圧縮額の損金算入が認められます。
⑤ 欠損金の繰戻しによる還付
平成12年3月31日までの間に終了する各事業年度において欠損金が生じた場合、欠損金が生じた事業年度前1年間の法人税額の還付を請求することができます。
⑥ 特別土地保有税の非課税
組合等が、同法に基づく経営革新計画に従って実施する経営革新のための事業、または経営基盤強化計画に従って実施する経営基盤強化事業の用に供する土地に係る特別土地保有税については非課税となります。
⑦ 事業所税の非課税
組合等が、同法による経営基盤強化計画に基づく経営基盤強化事業に対する事業所税は非課税となります。
(7) 公害防止・リサイクルのための特別措置
① 特別償却
一定の公害防止用施設を取得した場合には、取得価額の 100分の16(廃棄物再生処理用設備は 100分の17)の特別償却ができます。
② 固定資産税の軽減
公害防止施設の種類・内容により6分の1、3分の1又は3分の2等の軽減の措置があります。
③ その他
環境事業団から譲り受けた不動産についての登録免許税及び不動産取得税の軽減などがあります。
(8) エネルギー需給構造改革推進投資促進税制
中小企業者等が一定の要件の下にエネルギー有効利用等に寄与する減価償却資産を取得した場合には、初年度に取得価額の30%の特別償却又は取得価額の7%の税額控除(当期税額の20%相当額を限度)の選択適用が認められます。
(9)中小企業高度化事業についての特別の措置
中小企業者の組合等が高度化事業を実施する場合には、次のような優遇措置が講じられています。
- 団地造成事業のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除
- 事業用資産の買換えの場合の圧縮記帳等
- 団地用土地又は建物の分譲の場合の登録免許税率の軽減
- 中小小売商業用の共同利用施設及び店舗用・倉庫用建物等の特別償却
- 共同施設用建物の不動産取得税の軽減
- 組合員に譲渡する場合の不動産取得税の免除
- 固定資産税の課税標準の特例
- 特別土地保有税及び課税基準の特例
(10)試験研究費に対する措置
試験研究費がある場合又は試験研究費が増加した場合は、税額控除を行うことが認められます。
(11)中小企業退職金共済制度の掛金
事業主負担が全額損金となります。
(12)中小企業倒産防止共済制度の掛金
納付した共済掛金が全額損金となります。
(13)登録免許税の軽減
これまで紹介したほか、商工中金又は信用保証協会の抵当権設定登記について税率が軽減されています。
(14)特別土地保有税の特例
これまで紹介したほか、公害防止用の土地、環境事業団より譲り受けた土地、下請 中小企業振興法に基づく共同利用施設用の土地、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法に
基づく特定分野への進出後の事業の用に供する土地、中小企業流通業務効率化促進法に基づく流通業務効率化事業の用に供する土地なども非課税となっています。また、一定面積以下の土地についても非課税となります。
(15)事業所税の特例
床面積 1,000㎡(新増設の場合は 2,000㎡)以下及び従業員 100人以下の場合は免税となるほか、特別の政策の対象となる事業所、協同組合等の事務所等は課税が減免
されます。
5.中小企業のための税制へ戻る
|