1.個人事業者のための措置

(1) 青色申告事業専従者の完全給与制等

事業主の家族が事業に従事している場合、家族に支払った給与が、その労務の対価として相当であると認められるときは、青色申告者に限り、全額必要経費に参入できます。
なお、白色申告者の場合は、所得税、住民税、事業税それぞれにおいて、専従配偶者については86万円、それ以外の専従者については1人50万円の定額控除ができます。

(2) 青色申告特別控除

  • 事業所得又は不動産所得を生ずる事業を営む青色申告者で、これらの所得に係る取引を、正規の簿記の原則に従い記録している者は、45万円又は事業所得・不動産所得の合計額のいずれか低い額の所得控除が認められます。
  • 上記以外の青色申告者については、10万円又は事業所得・不動産所得の合計額のいずれか低い額の所得控除が認められます。

(3) 事業税の事業主控除

事業税の課税対象から 290万円を控除することが認められています。

(4) 小規模企業共済掛金控除

小規模企業共済制度の第1種共済掛金は、全額所得控除ができるとともに、共済金は退職所得扱いとなっています。なお、平成元年度より導入された共済金の分割支給制度により、給付される一定の分割共済金については雑所得扱いとして、公的年金等控除が認められています。また、旧第2種共済掛金は生命保険料控除として一定額の所得控除が認められます。

(5) 中小企業の事業承継円滑化のための措置

個人事業者が事業の用に供していた宅地、居住の用に供していた宅地等を取得した者の相続税の課税価格に算入すべき価額は、事業用は330㎡までの部分について、居住用は200㎡までの部分については、被相続人と同居していた親族が引き続き居住している場合、被相続人が営んでいた事業を引き続き営んでいる場合に限り、通常の方法により評価した金額から事業用、居住用ともに80%減額されます。ただし、前述の2つの場合以外の場合には事業用、居住用ともに50%が減額されます。

2.中小法人のための措置

(1) 法人税の軽減税率

資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年所得 800万円以下の部分が22%(年所得 800万円超の部分 30%)に軽減されています。

(2) 同族会社の留保金課税

同族会社の留保金については、通常の法人税のほか特別の加算課税があります。

(3) 貸倒引当金の特例

資本金1億円以下の中小法人は、業種ごとの法定繰入限度額の16%増しの繰入れができます。

(4) 交際費の損金算入

交際費は一般に損金に算入できませんが、中小法人は次の区分により、一部について損金算入することができます。

  • 資本金1,000万円以下の法人―年400万円までのうち80%
  • 資本金5,000万円以下の法人―年300万円までのうち80%

(5) 事業税・住民税の軽減

事業所税については所得金額、住民税については資本金額及び従業員数によって軽減税率が適用されます。

(6) 非上場会社である中小企業の事業承継円滑化のための措置

中小企業の事業承継を円滑にするために、取引相場のない同族会社の株式を相続した同族株主の株式評価に当たっては、純資産価額方式又は純資産価額方式・類似業種比準方式の併用による評価の選択適用が認められている他、類似業種比準方式における類似業種の採り方についても幅のある選択が認められています。

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