4.融合化開発事業(脱フロン冷却装置)

(1) 概況

組合設立までは、毎月一回講師を招いて勉強会を行い、先発の融合化組合の見学会などを実施し、組合員の知識や共同化への意識の向上に努めた。
組合設立後は、融合化開発事業のテーマ設定の検討を行った。
その考え方は、組合員が携えている技術を持ち寄って、開発費はできるだけ安くすることを主眼にし、省力化機器、環境試験機器など機械化技術を利用した装置の開発を行うことにした。
検討会を重ねた結果、研究開発テーマは、「脱フロン超低温冷却装置の開発」と決定した。
この開発計画は、平成7年度の中小企業創造活動促進法(中小創造法)の対象となり、長野県より認定され、平成7年度から平成9年度まで3年間、融合化開発促進関連技術事業補助金を受けた。

(2) 進捗状況

  1. 脱フロンによる新技術の開発
  2. 職場環境や地球環境の保全

この2点を実現するための装置開発に着手し、①調査分析、②要素開発、③システム開発、④需要開拓の4つの事業を行って、装置の開発をめざした。
平成9年に「脱フロン超低温冷却装置」のプロトタイプの試作品を完成した。この装置は、半導体の恒温試験用であり、半導体(IC)の超低温(マイナス55℃以下)に於ける信頼性試験に使用することができる。又、バイオ、冷凍食品等の分野にも広く利用することが可能である。
オゾン層を破壊する冷媒はほとんど使用しないので、地球環境を守ることに貢献できる。

更に、省エネルギー効果を大きく生み出す二元冷凍システムを開発した。この装置は、半導体に従事する人の職場を、酸欠から守るシステムである。

平成9年1月、千葉市の幕張メッセで開かれた展示会に出品したところ、予想以上の反響があり、試験装置メーカーとの実用試験等を行い、平成10年4月から5百万円で販売を開始した。用途が多いため、方々から引き合いがきている。

(3) 脱フロン冷却装置の特徴

脱フロン冷却装置

①オゾン層の破壊で問題になっているフロンを使わない。
②半導体基板の上に回路素子を組み込んだ集積回路(IC)の機能検査を低温で行うのに使う。
③ICの低温での機能検査は、零下40度から55度ぐらいであり、冷却には液体窒素を使っていることが多い。

液体窒素は高価なうえ作業員が酸欠状態になることがあり、ボンベの交換を頻繁にしなければならない。冷凍機を使えばこれらの問題はなくなるが、急激に冷やすことができない欠点があった。この点の解決に苦労しながら取り組み、異なった温度で作動する2つの冷凍機を組み合わせた「二元冷凍方式」の空気冷却装置を開発して解決した。

このシステムは、これまで無駄に放出していた冷気を循環させてエネルギーを節約させ、効率をよくするもので、冷媒には規制対象にならないフロンを使った。

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