1 市街地の整備改善のための事業及び商業の活性化のための事業等と一体的に推進する事業に関する事項
1の1 公共交通機関の利用者の利便の増進を図るための事業
(1)事業の必要性

中心市街地について、人の往来を活発化させ、活気にあふれた街づくりを進めるためには、中心市街地へのアクセスの利便性の向上、中心市街地内の移動の利便性の向上が不可欠である。しかしながら、現在、都市部においては、鉄道や地下鉄には今なお混雑が著しい路線が存在しており、バスについても定時性が失われ、運行頻度がさらに減少している状況が見られる。このため、誰もが利用でき、交通渋滞の緩和や環境負荷の軽減にも寄与する鉄道、地下鉄、新交通システム、バス、路面電車等の公共交通機関の利便性の向上を図る必要がある。

(2)具体的事業の内容等
① 具体的事業の内容

具体的に想定される事業は次のとおりであるが、これらの事業に取り組むに当たっては、それぞれの中心市街地の規模や構造、交通体系等に即して、最も効率的で使いやすい交通システムを選択して整備することが望ましい。

ア 鉄軌道

鉄軌道については、地下鉄、新交通システム等の新線建設、延伸、高速化、車両の改善や、貨物鉄道の旅客線化等を図るとともに、路面電車の走行空間の整備、LRT(走行環境の改善、低床化等が図られた質の高い路面電車)の導入促進、パークアンドライ等の導入に必要な駐車場等の整備を図るなど、ハード面の事業を推進していくことが重要である。
また、利用者の利便性の向上に資する運行ダイヤの改善や、共通乗車券、一日乗車券等割引乗車券の充実・普及などによるソフト面の改善を促進することも重要である。

イ バス

バスについては、バスべイ等の整備や、パークアンドバスライド等の導入に必要な駐車場等の整備を図るとともに、バスの運行状況を掲示することによりバス停での利便性を高めるバスロケーションシステムの導入、コミュニティバス(小型で循環型のバス)・シャトルバス、低床式バス車両の導入を図るなど、ハード面の事業を推進していくことが重要である。
また、バス路線の維持と併せて、運行時間帯の拡大や運行回数の増加、公共施設等を巡るバス路線の設定などソフト面の改善を図ることにより、利用者の利便性に十分配慮した路線網を充実させることも重要である。

ウ 交通ターミナル

鉄道駅、バスターミナル等の交通ターミナルは、鉄道と鉄道、鉄道とバスなど公共交通機関相互の結節点であるとともに、駅前広場や交通広場を含む空間として「街の顔」としての機能も有しており、中心市街地の活性化を図るためには、その整備と機能の高度化を推進する必要がある。
このため、連続立体交差事業、橋上駅化など駅の大規模改良によるターミナルの機能強化、ターミナル内のエレベーター、エスカレーター等の整備、段差の解消や利用者への情報提供等による乗継ぎ抵抗の軽減、駅の情報化による利用者の利便性の向上等の事業を推進することが重要である。
また、その整備に当たっては、中心市街地への人や物の流れを考慮しつつ、駅前広場や交通広場に加え、公共施設、商業施設等をも有する多機能化・高度化された施設として、一体的な環境を図ることが効果的である。

② 記載事項

基本計画には、原則として、現在施行中であるか又はおおむね5年以内に着手できると考えられる事業について、当該事業の種類、実施予定者、おおむねの位置又は区域、おおよその実施時期等をそれぞれ記載するものとする。

(3)留意事項

公共交通機関の利用者の利便の増進を図るための事業を記載するに当たっては、当該事業の着実かつ円滑な実施の確保を図る観点から、関係事業者、関係行政機関等との十分な調整を図ることが必要である。

1の2 電気通信の高度化を図るための事業
(1)事業の必要性

電気通信は 国民生活の向上及び産業経済の発展の基盤となり、活力とゆとりある21世紀社会の構築を先導するものである。中心市街地が魅力ある街としての活力を得るには、市街地の整備改善のための事業及び商業の活性化のための事業とともに、電気通信の高度化を図るための事業についても、総合的かつ一体的に取り組んでいくことが重要である。

(2)具体的事業の内容等
① 具体的事業の内容

本事項で対象となる事業は、基本計画において定められた中心市街地の電気通信の高度化のための事業であり、中心市街地における情報の受発信の活発化に資するよう計画され、実施される事業である。
具体的には、電気通信拠点施設の整備、電気通信システムの開発・普及、電気通信ネットワークインフラの整備、電気通信の人材・ベンチャー育成、地域に密着した電気通信の研究開発の実施等を推進することが重要である。

② 記載事項

電気通信の高度化を図るための事業に関しては、基本計画には、原則として、当該事業の種類、実施予定者、おおむねの位置又は区域、おおよその実施時期等をそれぞれ記載するものとする。

(3)留意事項

地域の情報化に関する計画が策定されている場合は、当該計画との関連性を明確にしておくこと。

特集2の目次に戻る