4.中小企業の課題と対応
<地域経済と中小企業>
(1) 街づくりと一体化した中小商業集積の活性化が重要であり、タウンマネージメント推進等による中心市街地活性化が求められる。同一業種誘致戦略の活用も考えられる(3頁目)。

    タウンマネージメントの取組の事例

 飯田市(長野県)の中心市街地は、空洞化の問題に直面する中で、市でも商店街の振興は単に商業振興策の展開だけではなく、まちづくりの側面が重要という認識が高まり、商業振興と都市計画事業を一体的に考えるようになり、その結果平成8年7月、庁内に「まちづくり推進室」を設置し、中心市街地の活性化に取り組むこととなった。取組に当たっては、商業者と自治体が協力して研究会を開催し、その結果住民が中心となった再開発事業が計画として上がり準備組合が設立され、これに行政が支援する手法で、まず、商業・公共施設・住宅等の複合機能を有する再開発ビルの事業化に着手した。また、これらの取組に合わせて市街地総合再生計画を策定しており、「市街地再開発事業」や「りんご並木整備」に見られるように、市民の手によるまちづくりの方向で各種の整備を進めている。さらに、空き店舗の活用については、空き店舗を起業家に貸し、改修費と家賃の支援を行っているが、幅広い地域から応募がなされ、活力ある商店街づくりを推進している。

    商店街を特徴付ける同一業種店舗を誘致することにより集客力を高めている事例

 E商店街(福井県)は、構成員35人という比較的小規模の商店街であり、平成3年には全体の一割強の空き店舗を抱え、地盤沈下が甚だしい状況であった。このような中、店舗賃料も低下をたどったが、同商店街では空き店舗の所有者を説得することで家賃をさらに下げていった結果、若手起業家が商店の開業場所としてこの地を選び、商店街としてもこれら若手起業家を受け入れることとなった。一方、同商店街はファッション関連業種にターゲットを絞り、より強力な競合店舗を入居させることからの競争環境の構築により商店街全体の活性化につなげていくといった戦略を採用している。この結果、同商店街ではファッション関連店舗が69%を占めるに至り、常に若者に魅力ある商品を提供している。なお、平成9年12月現在空き店舗はすべて埋められている。

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