特集
平成9年度中小企業白書の要点
0.あらまし
1.平成9年度の中小企業の景気動向
- 中小企業の景況は総じて低迷しており、特に平成9年度後半以降の低迷が顕著になっている。
- 設備投資の先行き不透明感も増大している。
- 金融ビックバンの本格化を控え、金融機関の貸し渋りの深刻化が懸念される。
- 製造業では大企業との格差が拡大するとともに、これまで比較的堅調であった機械関連業種も低迷している。
- 非製造業では建設業、小売業が特に低迷している。
- 製造業では同一業種内の企業間格差が明確化している。
- 非製造業も同一業種内の企業間格差が明確化している。
- 雇用面では、近年、規模別雇用構造に変化が見られる。また、中小企業は大企業と比較して不足感が強いが、年齢別では高齢者の過剰感が強くなっている。
2.中小企業を巡る環境変化
<経済構造変化の進展>
- グローバリゼーション進展の中で、国内下請分業構造の流動化、国際分業の進展等、企業間関係の変化が進展している。
- 我が国経済における情報化の進展の中で、中小企業の情報化の遅れが懸念される。
- 卸・小売業の構造変化が進展している。
<地域経済の変容>
- 中心市街地の空洞化が進展している。消費者ニーズの変化も進展している。
- 多くの中小企業が集積している産業集積の衰退が懸念される。
<制度環境変化等の進展>
- 金融ビッグバンの進展が中小企業にとって脅威とチャンスの両面を生み出している。
- アジア通貨不安が中小企業に与える影響が懸念される。福岡商工会議所の調査では、調査した中小企業の約半数に何らかの影響が生じている。
3.内外の中小企業と中小企業政策の変遷
4.中小企業の課題と対応
<創業と企業成長>
- 新たな企業の創出や新分野進出等による一層の成長が求められる。エンジェル予備軍の顕在化も重要。
<中小企業の創造的革新>
- 中小企業の財務体質強化が求められており、公的金融支援も重要。
- ネットワークを活用した経営が有効であると考えられる。アウトソーシング、地域産業・商業集積活用、異業種交流、産学連携、アジア大の国際分業等、様々なネットワーキングが望まれる。
- モノづくりを支える熟練技術・技能の維持強化が求められる。
- 経済構造改革(高コスト是正、規制緩和等)の進展の中で経営力強化が求められる。
<地域経済と中小企業>
- 街づくりと一体化した中小商業集積の活性化が重要であり、タウンマネージメント推進等による中心市街地活性化が求められる。同一業種誘致戦略の活用も考えられる。
- モノづくりを支える地域産業集積の活性化が重要。高付加価値化、新分野進出等の積極化等の開発型戦略が求められる。
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