4.中小企業の課題と対応
<中小企業の創造的革新>
(2) ネットワークを活用した経営が有効であると考えられる。アウトソーシング、地域産業・商業集積活用、異業種交流、産学連携、アジア大の国際分業等、様々なネットワーキングが望まれる(3頁目)。

 平成2年に結成されたB異業種交流グループ(東京都、加入企業数20社)は、開発テーマごとに分科会を作り、共同研究開発に取り組んでいる。グループ結成当初は、メンバー全体で話し合って開発テーマを決めていたが、意見の統一が図りづらく、費用や利益の配分の問題もあるため、分科会を作ることにした。各自が、関心のあるテーマ、開発したいが自社単独では難しいというテーマを持ち寄り、それに賛同する企業だけで分科会を作っている。この方式により、これまで、数々の新製品開発に成功した。
 また、これまでの交流を通じて、各メンバーの事業内容がよく分かっているために、加工の依頼や仕事のあっ旋等もメンバー間で行われるようになってきている。メンバーは異業種交流グループが結成されるまで全くつながりはなかったが、グループのネットワークにより、互いの経営資源を補完しつつ、メンバー全体の経営の向上に結びつけている。

 金型部品・附属品を製造するB社(東京都、従業者数70人)は、製品納入先の機械商社が独自に開発した「通信カタログ販売」方式の順調な伸びとともに発展してきた。この方式は、受注単位は1個から、また、出荷は原則として受注後3日目という極めて小ロット、短納期を特色とするものである。このシステムを円滑に推進するには、機械商社と製造業者との間で正確・迅速な情報伝達が行われることが必要であり、5年前にEDIを使った情報ネットワークが構築された。現在、機械商社から同社への発注は、1日平均800~900 件に達しており、これだけの件数を正確に処理するには、情報ネットワークによらなければ不可能である。

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