Q-26 役員の定数に関する質疑
  Q-26-①  役員の定数について(その1)

  Q.中協法第35条において役員の定数は「理事は3人以上、監事は1人以
   上」と定められているが、その定数の上限は第何条に規定されているのか
   ?
     例えば、ABCDの4法人が協同組合を組織するに当たって理事、監事
   の定数の上限の決定の方法として、単記式投票によれば組合員1人1票の
   原則により理事、監事各々最大4人まで選出できることとなるが、連記式
   投票による場合は組合員総数を上廻る多数の役員を選出することが可能に
   なる。定款にて役員の定数は決定しているので単記、連記いずれを採用し
   ても役員の総数は同一でなければならない。故にその両方の限度内で組合
   内容に適した方法で選ぶべきであると解釈しているが如何?

 A.中小企業等協同組合の役員の数は、中協法第33条1項第11号の規定
  により、定款の絶対的必要記載事項として、必ず、何人以上何人以内とい
  う定数で定款に定めなければならないことになっているが、その数は、同
  法第35条第2項に規定する数以上であれば、何人であろうと法令違反に
  はならない。
     役員の定数を定める場合、設問のごとく単記式無記名投票によって選出
  し得る最大限の数(組合員数)を、その組合の理事及び監事の定数の上限
  として、その範囲内において、単記式、連記式の何れかを採用すべきであ
  ると解して画一的に指導することは無理がある。説例のように組合員数が
  4人である組合においても、組合の業務運営において組合員数を上廻る役
  員が必要とされる場合も考えられるので、指導としては当該組合の事業規
  模、役員の業務分担を考慮し、業務の迅速適格な遂行を妨げることとなら
  ないよう、必要かつ最少限度の役員の数を定め、その数を選出するについ
  て、単記式、連記式の何れを採用することが妥当であるか検討されるべき
  である。                                              (95-103)

  Q-26-②  役員定数について(その2)

  Q.中協法第35条第6項に「理事又は監事のうち、その定数の3分の1を
   超える者が欠けたときは、3箇月以内に補充しなければならない」となっ
   ているが、
     (1) 定数とは何を指すのか?
     (2) 本組合の定款変更案では役員の定数及び選任について「本組合の役
     員は理事25人以上30人以内、監事3人又は4人とする。」として
     あるが、この場合上限の理事30人の3分の1つまり10人まで欠け
     ても補充選挙しなくともよいと解しているが如何?但し25人と下限
     を決めているのでこの場合は5人まで欠けて25人になっても補充選
     挙の必要はないか?
         次に監事の場合上限4人の3分の1つまり1人を欠けても補充選挙
     の必要はないか?
     (3) 法定数とは何か?この場合25人と解してよろしいか?

 A.(1) 定数については従前は確定数をもって定めることとしたのであるが、
    役員の死亡等により欠員を生じた場合に、その都度選出することは、
    事実上不便を生じることが多く、実態にそぐわない点もあるので「何
    人以上何人以内」を定数としている。 
     (2) 役員補充の場合における取扱いについては、中小企業庁では定款に
    記載した下限を基準とすることにしているので、説例の場合25人の
    3分の1以上、即ち9人が欠け16人になった場合に補充選挙の必要
    が生じてくることになる。
         監事の場合も同様に下限の3人の3分の1以上が欠けた場合に補充
    義務が生ずることになる。
     (3) 上述の趣旨から「何人以上何人以内」を法定数といい、説例の場合
    は「25人以上30人以内」が法定数であって、下限の25人をもっ
    て法定数とはいわない。                              (96-104)

  Q-26-③  理事定数を減員する場合の方法について

  Q.次の役員改選を機に、理事の定数を現在の8名から7名に減員したいと
   考えていますが、どのような方法で行えばよいでしょうか。

 A.理事の定数を減員する場合には、予め、理事定数の変更に伴う定款変更
  のための総会(総代会を含む。)を開催し、そこで定款変更の決議を行い、
  行政庁の認可を受けたのち、役員改選のための総会を開催し、新定数(7
  名)による理事を選出するという方法がまず考えられます。ただし、この
  方法によりますと、短期間のうちに2度総会を開催しなければなりません
  ので、現実の対応が困難な場合も見受けられます。そこで、実務上定款変
  更決議と役員改選を同一総会において行うことが要請されるわけですが、
  これには次の2つの方法が考えられます。
   1つは、定款変更決議後、ただちに未認可の変更定款(新定款)により
  新役員を選出するが、その就任については停止条件を付し、全員が定款変
  更の認可後に就任するという方法です。
   2つは、定款変更後、現行(変更前)定款により8名の新役員を選出し、
  全員ただちに就任するという方法です。ただし、この方法による場合は、
  定款変更認可後に、定款規定(7名)と現行役員数(8名)との間に相違
  が生じますので、調整が必要となります。この調整の方法としては、超過
  する員数の役員に自発的に辞任してもらうか、あるいはその役員の任期に、
  定款変更の認可日までとする旨の解除条件をつける(つまり、一部役員の
  任期を制限する)方法が考えられますが、この解除条件は、役員選出前に、
  定款変更と同じ特別議決によって決議しておく必要があるでしょう。
                                                         (88-7-2)