Q-22 役員に関する質疑
  Q-22-①  役員(理事)と組合との関係について

  Q.理事と組合との関係は民法第643条の委任によるものか?

 A.中協法第42条において準用する商法第254条第3項の規定により、
  組合と役員(理事又は監事)との内部関係は民法上の委任契約に関する一
  連の規定が適用される。
   従って、組合と理事との関係は当然に民法第643条(委任関係の成立)
  の規定に拠るところになる。                            (101-113)

  Q-22-② 理事の自己契約について

  Q.中協法第38条(理事の自己契約)について、次の場合理事会の承認を
   必要とするかどうか?
     1.法人の代表者として貸出す場合
     2.第三者の保証人として貸出す場合

 A1.中協法第38条の趣旨は、理事がその地位を利用して組合に損害を与
   えることを防止することにあることから、理事会の承認が必要であるも
   のと解する。
 A2.理事が第三者のために保証契約を組合と結び、当該第三者に貸出しす
   る場合、保証契約については保証人たる理事は、弁済の能力あることを
   必要とし(民法第450条第1項第2号)、この要件は、組合が保証人
   を指名しない限り必要とされている(同条第3項)。
      このように理事と組合との保証契約が組合に不利益となる場合もあり、
   理事と組合との取引によって組合に損害を与えることを防止しようとい
   う中協法第38条の趣旨から、理事会の承認を受けるべきものと解する。
                                                          (123-136)

  Q-22-③  理事の辞任届の効力について

  Q.理事が辞任届を提出し、理事会に出席しないとき、その理事は理事会の
   決定事項について責任を負わなければならないか?

 A.組合と理事との関係は委任関係であり、その委任関係の終了は相手方の
  承認を必要とせず一方的に終了させることができるので、理事は辞任届を
  もって理事を辞任したことになる。
     しかし、中協法第42条で準用する商法第258条第1項の関係で、辞
  任により法定数を欠くときは、辞任した理事は、後任者が就任するまでは
  理事としての権利義務をもつから、ご質問の欠席した場合は、欠席した理
  事としての責任を負わなければならない。                 (102-114)

  Q-22-④  役員の責任とその解除について

  Q1.代表理事の行った会議費及び交際費の使途につき、理事会、監事、総
    会において承認を受けたものが、その後(翌年)使途が組合に不要のも
    のであることが判明した。これにつき、組合は損害賠償の請求ができる
    かどうか?
  Q2.前項の行為は、代表理事の独断的行為であるが、損害賠償の場合は、
    当該代表理事の責任に止まるか?
     あるいは、理事、監事ともに連帯して賠償の責任があるか?
  Q3.上記の行為を行った代表理事が、使途につき捏造した理由を付し弁明
    すれば、その行為は止むを得ないとすべきか?
  Q4.理事、監事の決算書類に関する責任は総会後何年か?

 A1.会議費、交際費の支出は理事長の業務執行に属するもので、あらかじ
   め理事会で決定されるべき性質のものではなく、代表理事以外の理事に
   ついては責任がないとする見方があるが、代表理事の業務執行といえど
   も職務に違背する不当な行為については未然にこれを防止し、もって組
   合の利益をはかるいわば総合監視の義務があるので、理事としてこの任
   務をけ怠し組合に損害を与えたとするならば、連帯して賠償する責任が
   ある。
       また、監事についても、善管義務を怠り計算書類の不正を看過した場
   合には、理事と共に連帯して損害賠償しなければならない。
 A2.交際費、会議費の使途について代表理事が捏造した理由を付したか否
   かに関しては、いわゆる道義上の問題として解決する場合は別として、
   理事の忠実義務違反に係る損害賠償請求の訴に伴う問題として裁判所が
   判断するものである。
 A3.理事及び監事の決算関係書類に関する責任は民法の一般原則(第16
   7条第1項)に従い、10年の時効にかかることになっている。
       なお、理事、監事とも総組合員の同意があれば責任の解除ができるこ
   ととなっている(商法第266条第5項の準用)。        (111-126)


  Q-22-⑤  役員重任禁止の是非

  Q.役員の選挙規約に「4期連続して役員となることはできない」旨定める
   ことは差支えないか?

 A.選挙権の平等の組合原則は、一方被選挙権の平等を意味するものと解さ
  れる。したがって役員重任禁止の規定は、被選挙権を拘束するものであり
  不適当と考える。                                       (99-108)