Q-8 融合化組合に関する質疑
  Q-8-①  融合化-中小企業等協同組合法の特例

  Q.融合化が中小企業の重点施策として取り上げられ、その中で組合法の特
   例が設けられたと聞きます。融合化は今後の企業経営に資するもので協同
   組合の主旨に沿うものと思いますが、何故特例が必要なのでしょうか。

 A.この問題は、組合員企業の事業と組合の共同事業との関係からくる問題
  です。ご意見のように、協同組合は、組合員の企業経営に資する活動をす
  る組織です。いいかえれば組合は組合員の企業経営に関係のない事業活動
  はできない組織です。したがって、組合の行える事業活動には、その対象
  である組合員の企業経営の範囲の明確化・確定が必要であり、協同組合法
  ではそれを組合員の事業においています。一方、組合員の事業=業種は、
  組合員となれる資格の要件にも用いられています。そこで、定款で定める
  組合員資格要件としての業種=事業は、あくまでもそのためのものであっ
  て、組合の事業の対象である組合員の事業とは異なるという見方。現に組
  合員である企業の経営に必要な部分のすべてを対象として良いのではない
  かという見方があります。例えば、資格業種以外の兼業部門あるいは将来
  進出したい新たな分野などです。確かに企業経営にとってこれらは必要な
  ことですが、これを組合事業の対象にすると、極く特定の組合員だけの事
  業になるとか、とめどなく事業の範囲が広がり範囲が不明確になるなど、
  種々弊害等が想定されます。そこで、組合事業の対象である組合員の事業
  は、組合員となれる資格として定めた組合員の事業=業種というように解
  されています(組合事業は定款で定められた組合員資格事業に関するもの
  に限られる)。
   ところで融合化は、新分野の開拓を目指すため組合員資格事業以外の分
  野を対象にすることも多いわけですが、それは上記の組合事業の範囲内を
  越えてしまうことになります。そこで、それが可能となるためには、協同
  組合法の特例が必要になったわけです。
   なお、特例は「融合化法」によって認定を受けた協同組合に適用されま
  すが、融合化はご指摘の通り事業機会の確保等組合員の企業経営に資する
  ものであって組合の主旨に沿うものと理解しており、構造変化等に対応す
  る組合の新しい機能として位置づけるべきと考えます。       (88-5-2)

  Q-8-②  融合化法の適用要件と手続き

  Q.私の組合は、中小企業等協同組合法により設立した異業種の協同組合で
   す。現在5業種8人の組合員で、主に研究開発事業を中心に活動していま
   すが、融合化法の適用を受けるといろいろな施策の対象となると聞きまし
   た。私の組合も融合化法の適用を受けることができるのでしょうか。また
   その場合どんな手続きが必要となるのでしょうか。

 A1.融合化法の適用条件
   融合化法の適用を受け、いわゆる知識融合開発事業を行うことができる
  のは、中小企業等協同組合法上の事業協同組合に限られますが、それでは
  すべての事業協同組合が適用を受けられるかというと、そうではなく、組
  織として満たしていなければならない要件があります。融合化法ではこの
  要件を満たしている組合のことを特定組合と呼んでいます。次に特定組合
  の要件について説明します。
   要件の1つは、当該組合の組合員のうち、異分野中小企業者が総組合員
  の2分の1以上を占めていなければならないことです。またこの場合、同
  業種の中小企業者が複数いる場合は、一異分野中小企業者と数えなければ
  なりません。これを貴組合を例に考えてみると次のとおりとなります。
           (業種) (組合員) (異分野中小企業者数)
            A         2                1
              B          2                1
               C          1                1
               D          2                1
               E          1                1
   (5業種のうち3業種に2人ずつ組合員がいることとしています。)
   ここで組織の要件は、
   異分野中小企業者数                                                
 ─────────── ≧ 1/2ですから、貴組合の場合5/8>1/2
      組 合 員 総 数                                                   
   となり、要件を満たしていることとなります。

   もう1つの要件として、最低4業種4異分野中小企業者以上の参加が必
  要となりますが、これも要件を満たしており、貴組合は特定組合の要件を
  備えていることとなります。なお、ここで異分野中小企業者とは日本標準
  産業分類の細(4桁)分類で事業が異なることを原則としますが、同一分
  類に属する場合でも製品の加工技術及び用途若しくは販路又は機能若しく
  は性能を著しく異にすることにより技術・経営管理等に関する知識を異に
  する場合は該当します。これは役務の場合も同様です。
 A2.適用を受けるための手続き
   融合化法上の特定組合であっても、そのままでは法の適用を受けること
  はできず、行政庁の認定を受けて(認定特定組合という。)はじめて法の
  適用を受けられることとなります。認定のための手続きとは、具体的に実
  施しようとする知識融合開発事業計画に関する目標、内容、実施時期、事
  業実施に必要な資金の額及びその調達方法等について記載した申請書を行
  政庁に提出し、計画が適当である旨の認定を受ける必要があることで、そ
  のためにも、計画を十分考慮した組織づくりを行うことが肝要です。
     なお、融合化法による「協同組合法の特例」による研究開発を行おうと
  する場合、つまり組合員の資格事業に関係しない研究開発を行おうとする
  場合は、従来の研究開発に関する定款規定のままでは、当該研究開発の実
  施は定款違反となってしまいます。そのため、次のような事業の規定を盛
  り込む必要があります。
  〈規定例〉
   異分野中小企業者の知識の融合による新分野の開拓の促進に関する臨時
  措置法第4条第1項の認定を受けた知識融合開発事業に関する計画に定め
  る知識融合開発事業
   以上のような手続きを経てはじめて融合化法の適用を受ける認定特定組
  合となる訳です。なお、認定特定組合となっても、既存の経済事業や、教
  育情報事業、福利厚生事業等の非経済事業が実施できるのは言うまでもあ
  りません。                                             (88-10)