Q-6 共同事業と関連法令
  Q-6-①  共同受注と一括下請負の禁止について

  Q.事業協同組合が建設工事等を共同受注しようとする場合、建設業法第2
   2条「一括下請負の禁止」の規定が適用されているが、同条第3項の但し
   書きの規定により発注者の承諾を得た場合に限り共同受注が同条本文の適
   用の除外となることとなっている。
     しかし、同条の主旨は一括下請負により工事施工の責任が不明確となる
   こと、あるいは商業ブローカー的不良建設業者の出現等を排除するために
   規定されたものであることからすると、建設業関係の事業協同組合は建設
   業法の許可基準の要件を満たし、組合にしかるべき有資格者が設置されて
   いるとして建設業の許可を受けており、組合の管理、監督のもとで工事施
   工する場合、責任の所在は明らかである。また、協同組合の特殊性を考慮
   すればブローカーを排除するための規定には該当しないものと考えられる
      したがって、事業協同組合の共同受注は、建設業法第22条「一括下請
   負の禁止」の条項に該当しないものと思われるが、これに関してご見解を
   お示し頂きたい。
     また、測量関係組合が共同受注する場合の測量法第56条の2「一括下
   請負の禁」条項に関しても建設業法と同様に解釈してよろしいか併せてご
   見解をお示し頂きたい。

 A1.建設工事について
   建設業における組合の共同受注については、建設省計画局建設業課と協
  議したところ、次のとおり解釈される。 
     1.建設業法第22条で一括下請負をいかなる方法をもってするかを問
    わず原則禁止している趣旨は、①発注者の保護②中間搾取の排除であ
    る。
   (注)① 一括下請負は実際上の工事施工の責任の所在を不明確にし、
             ひいては工事の適正な施工を妨げるおそれがある。
      ② 中間搾取を容認すれば、工事の質の低下、商業ブローカー的
             不良建設業者の輩出のおそれがある。
     2.組合の場合、通常中間搾取のおそれはないとしても、受注した案件
    を単に組合員に配分するだけでは、発注者側として具体的にどのよう
    な者が工事を行い、技術的な管理を行うのか不明であるため、上記1.
    ①の観点から一括下請負に該当するといわざるを得ない。
     3.しかしながら、組合はもともと建設業法に基づき、しかるべき資格
    を有する技術者がいること等について審査のうえ、建設業の許可を受
    けているはずであり、組合として受注した案件について組合として責
    任ある管理、監督のもとに施行する場合には一括下請け負いには該当
    しないと考えられる。
     4.したがって、組合としては、
       (1) 組合として責任ある管理、監督のもとに施行するか(この場合に
     は、一括下請負には該当しないと考えられる。)
       (2) しからざる場合においては、一括下請負に該当するため、書面に
     より発注者の承諾を得て施行するか(建設業法第22条第3項参照)
     いずれかによることが必要である。
 A2.測量業について
   測量業における組合の共同受注についても、同省測量業課と協議した結
  果、測量法に基づき登録を受けた組合が責任ある管理、監督のもとに施行
  する共同受注については、建設業の解釈と同様に「一括下請負」には該当
  しないものと考えられる。
 A3.以上のとおり、いずれの場合にせよ発注者としては、当該組合の具体
  的内容、信頼性等について不明な場合、「一括下請負禁止」をもち出して
  いることも考えられ、上記1の4.を踏まえつつ、各組合において発注者
  と協議されたい。                                         3-25)


  Q-6-②  チケット事業に対する割賦販売法適用について

  Q.組合の行うチケット事業は、割賦販売法の適用をうけるか?

 A.事業協同組合のチケット事業については、割賦販売法の全部は適用され
  ないが、一部が適用されている。但し、適用条文は日常業務にそれほど関
  係はないので、その影響は極めて僅かなものとなっている。即ち組合のチ
  ケット事業は、同法第31条の登録をうけなければならない同法第2条第
  5項の割賦購入あっせんに該当するが、同法第31条但し書の規定により
  登録が免除されている。
     適用される条文は、同法第30条(証票の譲受け等の禁止)及び第43
  条(報告の徴収)である。                                (26-27)


  Q-6-③  組合が行う税務相談等と税理士法との関係について

  Q.事業協同組合において行う組合員の税の申告、申請書類等の作成の事務
   代行は、税理士法に違反するとの抗議をうけたが、はたして税理士法違反
   か?

 A.協同組合の行う事業でも、その事業に関し他の法律の定めがあれば、特
  に適用除外がない限りこれに従わなければならない。税の申告等の税務官
  公署に提出する書類の作成業務として行われる税務相談等は税理士の独占
  業務であり、税理士以外の者がこれを行うことは税理士法違反となる。
     ただし、組合員多数のために行う税務講習会、経理指導に付随し、たま
  たま行う税務相談等はその対象にはならない。又日常の記帳、決算の指導
  代行を行うことも差支えない。                            (34-32)

  Q-6-④  損害保険代理業務の実施

  Q.事業協同組合の事業として損害保険の代理業務を実施したいが、可能か
   どうか?

 A.事業協同組合の事業として損害保険の代理業務は可能かどうかについて
  は、中協法上では実施することに問題はないが、損害保険協会では、事業
  協同組合への損害保険代理店委託に関する方針として、一般代理店を圧迫
  するおそれがある等の理由から、代理店委託を自粛することとしているた
  め、実施することは困難であると解される。                 (39-39)


  Q-6-⑤  団体協約締結事業を主目的とする組合設立について

  Q.卸売業者の協同組合の設立が計画されているが、設立の目的が共同経済
   事業は名ばかりで小売商に対する団体協約を主たる目的としている。この
   ような目的をもった組合の設立は適当か?

 A.協同組合は経済事業を行うのが最も望ましいのであるが、業種によって
  は設立後直ちに着手し得ない事情もあるので、金融事業、福利厚生事業、
  又は教育情報事業或いは団体協約締結事業を当面の事業として行う場合が
  あり、これは適法といえる。                              (39-40)