Q-5 金融事業の実施について
  Q-5-①  組合員等からの資金受入について(その1)

  Q.中協法による協同組合(以下「組合」という。)が、「組合員に対する
   事業資金の貸付(手形の割引を含む。)」の事業を行うために、必要な資
   金を組合が増資する名目で一定の額(1口1万円)に達するまで日掛又は
   月掛の方法により預り金として受入れ(受入勘定科目「増資引当預り金」
   預り期間1年、支払金利は定期積金方式に準ずる)て調達すること、又は
   組合員から借受証券により借入れて(支払金利についての約定はしていな
   いが年6%を予定している)調達することは組合員よりの消費貸借と理解
   されるので、中協法第9条の2第1項第2号に規定している「及び組合員
   のためにするその借入」に違反するものではないと解してよいか?

 A.組合が、「組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む)」の事
  業を行うために必要な資金を、増資の名目で受入れ出資金として貸付ける
  ことは貸付金が回収不可能となった場合等において増資をするために預り
  入れている組合員に不測の迷惑を及ぼすおそれがあり、ひいては増資の目
  的を達成し得ないこととなるので適当でない。
     しかし、単に増資するまで経理を区分して日掛又は月掛の方法により組
  合が受け入れることは差支えないが、これに対し組合員に金利を支払うこ
  とは預金の受入れとなると解する。
   法第9条の2第1項第2号の規定の趣旨は、組合員に対する事業資金の
  貸付事業と組合員に貸付けるための事業資金の借入れを認めているのであ
  り、組合がその行う共同加工施設の設置等の共同事業のために資金を借り
  入れる場合は本号に規定する資金の借入れには該当せず、その附帯事業と
  して当然認容されるものであり、本号はあくまでも組合員の事業資金の貸
  付のために必要な資金の借入事業を認めているのである。
     又、その借入先を特定しているものではなく、その必要な資金を銀行そ
  の他の金融機関に限らず、組合員からも借入れることによって実質的に預
  金の受入れになることまでも認められるものではない。        (34-33)

  Q-5-②  組合員等からの資金受入れについて(その2)

  Q.金融事業の資金調達のため、組合員等より、3ヶ月、6ヶ月等に期間を
   限定し満期に利息を支払う契約で借入れている組合があるが、これは、出
   資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第2条に違反する行為
   であると考えられるがどうなのか?

 A.組合が「組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む。)及び組
  合員のためにするその借入」の事業を行うために、その必要な資金を銀行
  その他の金融機関に限らず、組合員からも借入れることは差支えないが、
  その借入れが預金貯金又は定期積金と同様の性格を有するものであるかぎ
  り「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」に違反するも
  のと考えられる。また、一定の期間を定め、その中途又は満期日に一定の
  金額を給付することを目的として掛金を受入れることは、相互銀行法に違
  反するものと考えられるのみならず中協法の事業協同組合の範囲を逸脱す
  るものと考えられる。                                    (37-35)


  Q-5-③ 貸付期間及び延滞期間の計算方法について  

  Q.私どもの組合で、金融事業を行っているが、このたび貸付を受けた組合
   員が期間内に償還金を支払うことができなく、そのため理事会において貸
   付期間の延長を決めた。それにより延長した日数により延滞利息を徴収す
   ることになったが、期間計算の方法について疑義が出たので原則的な期間
   計算の方法をご教示願いたい。

 A.お尋ねのように、契約期間が何月何日に終るのか、末日が何日になるの
  かが問題になることがたまたまあるが、この期間計算の方法は当事者間で
  自由に契約できるものである。
   この特約がない場合、一般的な計算の仕方に関して通則として民法上に
  規定があるのでこれによることになるので、これを簡単に説明すると、
  (1) 時を以て定める場合 この場合には、期間は即時から起算し(民法第
   193条)、所定の期間の終った時点を以て終了する。例えば、「午前
   9時から3時間」と定めたときは、この3時間の期間は午前零時に終る。
  (2) 日、週、月、年を以て定める場合 この場合には、日の端数を加えな
   い。即ち期間の初日は算入しないので翌日から起算する。そして末日の
   終了を以て期間は満了する。例えば7月10日の朝に「今日から6日間」
   といえばその日の端数は計算に入れないで16日午後12時に満了する。
   但しこの場合、「明後12日から6日間」というように、その日がまる
   まる数えられるときは12日午前0時に起算することになるから、12
   日一杯が第1日として計算に入り、7月17日の終了を以て満了となる。
      月又は年で期間を定めるときは、月の大小や年の平閨を無視して暦に従
   って計算し最後の月又は年において起算日に応答する日を求め、その前
   が末日となる。即ち前例によると7月10日に「向う5カ月間」といえ
   ば、7月11日が起算日で、最終の月である12月に応答日を求め(1
   2月11日)満期日はその前日12月10日となる。
    なお、最後の月に応答日がないときは、最後の月末日を満期とする。
   また期間の末日が大祭日、日曜日その他の休日に当りその日に取引をし
   ない慣習があるときは、その翌日が満期日となる。
       大体以上のとおりであるから、これにより貸付期間及び延滞期間を計
   算するとよいと思われる。                              (35-34)


  Q-5-④  借入金額等の最高限度の解釈について

  Q.定款例第41条第1号及び第2号の借入金額等の「最高限度」とは、次
   のいずれに解釈するのが正しいか?
   (1) 年度間の借入累計額
   (2) 借入残高の最高額

 A.最高限度を、ある期間中における増減の変化を通じての最高状態と解釈
  し、貴見(2) が正当と解する。                            (38-37)


  Q-5-⑤  組合員の取引の相手方の債務保証について

  Q.組合員が銀行に対して、その営業上の取引の相手方の債務を保証する場
   合、組合は、事業として、その債務を再保証することができるか?

 A.組合員の銀行に対し行う債務保証が、その営業上の取引の相手方の債務
  であり、かつ、その取引に直接関係する債務の保証であれば、組合がそれ
  を再保証することは、当該銀行が定款に定められた金融機関である限り、
  事業として行えるものと解する。                          (38-38)