Q-3-① 小規模事業者でない者の発起行為について
Q.中協法による事業協同組合の設立を計画して認可申請したが、設立発起
人中に、従業員383名を有し資本金が1億円以上のいわゆる小規模の事
業者でないものが加わっているので、実態調査したところ止むを得ないも
のがあると考えられたが、中協法は、小規模の事業者でないものの加入に
関しては法第7条第3項に規定しているが、発起人に関しては何等規定が
ない。小規模の事業者でないものは発起人となり得ないと解すべきか?又
は発起人として設立の手続を完了し成立した日から30日以内に所定の届
出を公正取引委員会に行い、その認定をまってよいと解すべきか?ご質問
する。
A.発起人は、中協法第24条第1項の規定により、組合員になろうとする
者でなければならないことになっているので、組合員資格を有する者であ
れば発起人となることができる。
事業協同組合の組合員資格を有する者は、中協法第8条第1項に規定す
る小規模の事業者であり、設例の事業者がこの小規模の事業者に該当する
かどうかは、専ら実態判断によるべきで、300人を超え、資本金が1億
円を超えているからといって直ちに小規模の事業者でないと速断すること
は適当でない。
貴方の判断でその事業者が小規模の事業者であり、定款の資格事業を行
う者であるならば当然組合員資格を有することになり、したがって組合の
設立の発起人になり得るのである。 (81-83)
Q-3-② 創立総会における発起人の議決権行使について
Q.中協法第27条(創立総会)第5項は中小企業等協同組合の創立総会の
議事について「創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者で、その会
日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席して、
その議決権の三分の二以上で決する」と規定されている。この規定によれ
ば創立総会において議決権を行使する者は設立同意者のみで、発起人の議
決権の行使は認められないものと解される。
したがって、設立同意者が数名以上ある場合は問題を生じないが、たと
えば、組合員たる資格を有し、かつ設立と同時に組合員になろうとする意
思のある者が、法第24条(発起人)第1項の規定により全員発起人とな
り、しかも他に設立同意者がない場合は前記法第27条の規定による設立
同意者の出席は不可能となり、したがって創立総会における議事決定は不
可能となるものと解釈される。
以上のような全員発起人による組合設立の場合には会社の発起設立の場
合と同様創立総会の開催を必要としないものと解されるが、この見解が正
しいかどうか?もし正しくないとすれば、この場合の創立総会における議
事及び運営の取扱についてご教示をいただきたい。
A.中協法第24条第1項並びに第27条第3項及び第5項の趣旨からして、
発起人も設立同意者として創立総会において議決権を行使することができ
るものと解される。
また、創立総会が設立行為における不可欠の要件ともなっているので設
問のように、発起人のみによる組合の設立に際しては、創立総会の開催を
必要としないとする解釈は成り立たないと考える。 (83-87)
Q-3-③ 組合設立手続中の事業実施について
Q.設立認可申請中の協同組合は、その期間中、発起人又は役員の名におい
て、組合としての業務の全部又は一部を実施することができるか?
A.認可申請中の組合の発起人及び認可後設立登記完了前の組合の理事(以
下「設立中の組合の発起人及び理事」という。)の権限は、組合の設立そ
れ自体を直接の目的とする行為に限られるものと解する。
したがって、その範囲を超えた行為によって設立中の組合の発起人及び
理事が取得又は負担した権利義務は設立後の組合にその効力は生じない。
ただし、設立後の組合がその行為を追認した場合にはその効力は設立後の
組合に生ずるものと解する。 (86-92)
Q-3-④ 組合設立に係る先進地等視察経費の取扱いについて
Q.協業組合等では事前に先進地の視察が必要な場合があり、これらを創立
費に含めると多額になるが、創立費の額は無制限に認められるものか?ま
た、創立費の範囲についても回答頂きたい。
A.創立費の範囲については、商法及び財務諸表規則等から類推すると設立
趣意書、定款、諸規程類作成の費用、設立同意者の取纏め費用、創立事務
所の賃借料、創立事務に携わる使用人の手当給料、創立総会に関する費用、
その他組合成立事務に関する必要な費用と考えられる。
したがって、創立費はあくまで設立準備に必要な範囲内での支出に限ら
れるが、事前の視察経費等は一切創立費に含ませることはできないとする
のは適当でないと考えるが、視察費等はどちらかといえば事業開始のため
の準備費用を組合成立前に支出したとみることの方が適当な場合が多い。
よって、このような内容の費用は、創立費に含ませない方が適当であり、
当該費用は開業費として組合成立後に追認することにより組合の負担とす
ることが適当と考える。 (87-93)
|