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月刊中小企業レポート
更新日:2009/2/20

イノベーション

農業ルネッサンス

 「食の安全性」「食料自給率」の問題などから衰退していく農業。
 長野県は工業と観光が有名で、農業も基幹産業のはずですが耕作地は年々減少。
 しかし、野菜ひとつから変えていく可能性はたくさんあると思います。
 同じ野菜でも含まれている栄養素の量が全然違う。女子栄養大学の辻村教授によりますと、ほとんどの野菜において栄養価の高い時期と低い時期があるのだそうです。ほうれん草を例にとりますと、カロテン(従来のカロチンと同じ)がもっとも多い月は12月で、少ない月が9月で12月の5から6分の1になってしまうのだそうです。栽培する温度、光、肥料、土壌などと地域による栽培時期との複合的な影響で生ずるとのことです。旬の季節野菜を楽しむことが、栄養面からも全然違うことが立証されていて驚きです。
 地産地消(地域生産地域消費・地元生産地元消費などの略で、その地域で作られた農産物・水産物を、その地域で消費すること)が、食の安全問題や食料自給率のアップの問題からだけでなく栄養面からも大切なことなのですね。さらに、輸送費用を抑え、フードマイレージ(食料が消費者に届くまでにどれくらいの距離を輸送されてきたのかを数字で表したもの。農産物の輸送による環境負荷を計る指標の1つ)の削減に結びつくことも期待できます。
 日本は、このフードマイレージが世界一です。食材が食卓から最も遠い食事をしているので環境問題から考えても真剣に見直ししないといけないのではないのでしょうか。
 さらに、遠くの食材は栄養価が低いという報告もあります。ほうれん草を例にとりますとビタミンCが収穫3日後には70%。7日後には55%まで減少してしまうそうです。冷蔵・冷凍技術で補うにしても遠くから時間を経ている野菜は、形が同じでも栄養価が低いということのようです。
 したがって、首都圏、中京圏などの大都市圏に栄養価の高い野菜を環境負荷も低く提供できるのは長野県です。地の利を大いに活かすべきだと思います。長野県の野菜や果物は、おいしくて栄養価が高いという強みをもっと活かしていくべきだと思います。
 国の政策面でも、地域の「強み」である農林水産品を中小企業者と農林漁業者とが連携し、それを支援する「農商工等連携促進法」ができ、これらの支援を活用した新しいビジネスの成功例が増えています。イトーヨーカ堂やワタミなどの異業種の大手企業が農業にどんどん参入しています。しかし中小企業者こそが、農業を自社ブランドにより差別化しやすいですから、大いに検討すべきなのではないのでしょうか。
 今後、エネルギーや水、そして安全・安心な食料の確保という面で経済が大きく変わっていく可能性があります。その中で自社が悪い影響を受けないか、逆にチャンスにできる事はないのか考えていきたいものです。

※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。

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