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月刊中小企業レポート
更新日:2009/1/20

健康を考える

夜尿症について

健康を考える

Q 夜尿症とは?
A 夜尿(おねしょ)とは睡眠中に無意識に排尿することです。5、6才を過ぎても月に数回以上おねしょすることを夜尿症といいます。多くは発育に伴って徐々になくなってきます。6才児では10~20%、小学校高学年では約5%程度にみられます。

Q 夜尿症の原因は?
A 95%以上は機能的原因で起こります。すなわち夜間膀胱に尿を溜める機能が十分にないためです。残りは器質的原因によるものです。すなわち膀胱尿路奇形、脊髄の膀胱を調節する神経病変、尿路感染症、糖尿病や尿崩症のように多尿をおこす疾患、てんかん発作による尿失禁等です。

Q 夜尿症にはどんなタイプがありますか?
A 夜尿症には多尿型、膀胱型、混合型があります。
多尿型
多尿型は夜間の尿量および昼間のがまん尿量(膀胱容量)が多いタイプです。すなわち夜間尿量および昼間のがまん尿量が6~9才で200ml以上、10才以上で250ml以上のタイプです。
混合型
混合型は夜間多尿型であるが、昼間のがまん尿(膀胱容量)が6~9才で200ml以下、10才以上で250ml以下のタイプです。
膀胱型
膀胱型は夜間尿量および昼間のがまん尿量が6~9才で200ml以下、10才以上で250ml以下のタイプです。

多尿型は身長が小柄で習慣的に水分を多くとっている傾向があります。膀胱型は昼間もおしっこが近く、ちびったり、冷え性を伴っていることが多いようです。

Q 夜尿症の治療はどのようにしますか?
A まず夜尿症の診断のために夜尿日記を記録してもらいます。
夜尿の時間、回数や尿量、尿の濃さ、昼間のがまん尿量、飲水量等を記録してもらい、タイプを判断します。また機能的か器質的か診察、血液・尿検査、尿路系の超音波検査を行います。器質性の異常があれば泌尿器紹介や原疾患の治療を行います。機能的なものであればタイプにかかわらず基本は生活指導です。まず本人に夜尿症について理解してもらい、保護者に対してはあせらないこと、怒らないこと、睡眠中起こしてトイレに連れて行かないことを指導します。
 夜間起こしてトイレに連れて行くと、睡眠リズムが乱れ、抗利尿ホルモンの分泌も乱れます。また膀胱に尿を溜める力が発達せず、トイレおねしょになるだけです。
 普段から水分をとりすぎないこと、睡眠3時間前からは特に水分制限すること、塩分制限(うす味にすること)、冷え性の子は就寝前にゆっくり入浴したり、保温に注意することが大事です。
 薬物療法としては抗利尿ホルモンの点鼻、三環系抗うつ病薬や抗コリン薬の内服、冷え性に対して漢方薬内服があります。その他にアラーム療法、干渉低周波電流による膀胱電気刺激療法等があります。
 多尿型で夜間尿が低浸透圧(薄い尿)であれば抗利尿ホルモンの点鼻が有効です。多尿型正常尿浸透圧の場合は三環系抗うつ薬内服、アラーム療法が行われます。
 膀胱型には昼間排尿の我慢訓練、抗コリン薬内服、アラーム療法、干渉低周波電流刺激療法等が行われます。
 アラーム療法はパンツの水分感知センサーを取り付けて、夜尿があるとアラームが鳴ります。子どもはアラームで目覚め、排尿を抑制します。その後トイレに行かず、再び睡眠することによって膀胱容量が増えてきます。最近ではアラーム療法の有効性が強調されています。

最後に
 夜尿症はありふれた症状です。 ご家族で子どもを励まし、けっして怒らず必ず治るのだと安心させてください。また詳しくはインターネットでおねしょナビ、日本夜尿症学会ホームページにアクセスしてみてください。


長野県保険医協同組合
新川 一雄
(長野市 あらかわ子ども医院)

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