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月刊中小企業レポート
更新日:2008/12/20

県内の生き生き組合事例
Vif穂高

Vif穂高


店内風景
 安曇野を一望する旧穂高町山麓沿いに、地元農産物の直売所「いち番館」とレストラン「味彩館」(あじさいかん)が入る建物と、体験施設を備える「ふれあい体験館」の二棟からなる「Vif穂高」がある。この農産物加工・販売センターの管理運営を行うのが、地元の主婦が中心となって設立された「企業組合Vif穂高」である。このVif穂高は、平成15年7月5日に平成14、15年度の生産振興総合対策補助事業(国庫)と県営中山間総合整備事業の複合事業により完成した。農産物直売所では、地元で育った安心・安全に配慮した新鮮な野菜・果物・特産物を販売しており、また、それらを使った加工品等も取り扱っている。レストラン「味彩館」では、地元野菜をふんだんに使った郷土色あふれる和・洋風料理や蕎麦、薬膳料理など創造的なメニューの数々を提供している。そして、多目的ホールである「ふれあい体験館」では、各種研修や団体・グループの宴会等にも利用されると共に、体験メニューでは蕎麦打ち体験や豆腐及び湯葉作り、おやき、わさび漬け、やしょうま、パン作り等の様々なコースが楽しめるようになっている。
 この施設は、多くの生産者と消費者の顔が見える、ふれあいの場として親しまれる様にと思いを込めた「vif(フランス語)=いきいきした、活発、新鮮」の通り、単に直売所としての役割を果たすだけでなく、地域の交流の場としての役割を大きく担っている。特に「いち番館」では営業開始時間の午前8時ともなると、平日にもかかわらず多くの観光客や顔見知りの地元住民で店内はごった返しているほど盛況である。

現在までの経緯

女性がいきいきとして働ける農業と農村社会の実現を目指して「穂高町いきいき活動女性協議会(会長 三澤恭子氏)」が平成8年8月発足した。農産者と消費者を如何に結びつけ、またそのために必要な施設は何かと言う事を、研究していく中で旧穂高町地域の農業従事者の自立の必要性と山麓観光発展の対応を穂高町に対し日々提案し続けた。これを受けて町では、町の政策に反映するような意見を求めるため、町長が同会議に諮問し、約1年余の検討を経て地元農産物の生産・加工・販売を一貫としたルートの中で交流できる場の設定などを町長に答申し、Vif穂高の建設につながっていった。オープン当初は穂高町加工研究会、いきいきファーマーズ(県農村生活マイスター)、穂高町生活改善協議会、穂高町そば打ち研究会からなる管理運営委員会と野菜出荷者による生産者協議会選出の理事6名、行政からの臨時職員1名の7名の理事により管理運営が行われる事となった。
 総工費4億8千万円を掛けて施設が造られたが、加工所、体験、多目的ホールの部分は高補助率の中山間総合整備事業として直売所、レストラン、事務所等は平成14年度生産振興総合対策補助事業の複合施設として完成した。総ては町の施設であり開設当初から行政主導の運営となってしまった。
 そのため女性団体時代の活動理念を経営に反映させる事が困難となり、オープン直後の営業実績も下降傾向を辿っていた。経営状態としては、平成17年の売上は、1億600万円で16万円の当期利益が出たが、これは、旧穂高町からの助成金1,200万円が加算された数字であり、実質損益はマイナスの状況が続いていた。



農作物加工作業風景(写真上下)
しかし、平成17年に安曇野市への行政合併を機に施設の指定管理者への移行が決定され、任意団体であった「信州あずみ野穂高・新鮮いち番」は、平成18年10月に企業組合法人への転換を行い、平成19年1月から「安曇野穂高農産物加工所」「こねこねハウス」の管理運営とともに企業組合vif穂高として発足した。またそれにより、民間主導型の経営を行うことが出来る形態となった。そこで、まず始めに、三澤恭子理事長以下役員は、従業員への費用管理やリスクマネージメント、原価管理を徹底的に呼びかけ、自らが行っている業務の重要性を従業員に再確認させた。また、対外的には、県内外へ、企業組合vif穂高の存在を知ってもらうべく長野県の行う「味のコンクール」に組合で販売する弁当を出展し6年連続の入賞を果たしたり、地元買い物客に野菜の旬情報や、フェア開催の情報などを提供、きめ細かいサービスを積極的行うことにより、口コミ力を向上させる経営を行った。以前は、年間800万円もの販促費を掛け、認知向上策を図ってきたが、期待するような効果は上がらず、現在のやり方になっていった。
 そうした組合活動の成果もあり、年々削減される助成金といった逆風が吹き荒れる中で、安定した経営を維持し現在に至っている。

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