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月刊中小企業レポート
更新日:2008/08/20

健康を考える

本当は怖い歯ぎしりの話

健康を考える 夜間歯をぎりぎり擦り合せる歯ぎしりは周りに迷惑になるばかりではなく歯ぎしりをしているご本人の歯にとって悪い影響が大きく、強い歯ぎしりをする人ではその被害は甚大です。
 歯科では他にぎゅっと喰い縛ってしまう癖も含めて“ブラキシズム”といいます。ほとんどの人はブラキシズムをしているといわれていますが必ずしも音が出るとは限りませんし、なにぶんご本人は寝ている間の事なのでブラキシズムを自覚している人は少ないようです。咬む筋肉の力の弱い人はあまり歯に害を及ぼす事はありません。
 寝ている間にブラキシズムをしていると噛み合わせによってはいつも特定の歯に強い揺さぶりの力をかける事になるのでその歯は急速に歯周病が進行します。現象としては歯が歯周病で動くようになり駄目になるので歯科医もご本人も歯周病で歯が駄目になったと思っていますが本当の原因はブラキシズムである事がかなり多いのです。
 その他にブリッジになっている歯にブラキシズムの力がかかると支台となっている歯のセメントが溶け出してしまう事があります。1本の歯の被せや詰め物なら取れて来るので気が付きますがブリッジのように何本もの歯がつながっていると一部のセメントが外れても取れてきませんから、セメントが取れた歯は数ヶ月で虫歯が進行してしまいます。神経を取った歯では痛みが出ないため、気がついた時には歯を抜かなくてはいけなくなってしまう事もあります。この場合も患者さんは単に虫歯で歯が駄目になったと思っていますが本当に原因はブラキシズムにあるといえるでしょう。
 さらにブラキシズムで揺さぶられている歯は折れたりかけたりしやすく、朝激痛で目が覚めてみると虫歯も無かった奥歯がまっ二つに割れて歯科医院に駆け込む人もいます。私もそういう患者さんを過去2~3人経験しています。たいてい歯の根まで割れてしまうと抜歯になってしまいますがそんな場合もただ咬む力の問題ではなく本当の原因はブラキシズムにあるといえるでしょう。
 他に夜間のブラキシズムが原因で肩こりや首の痛みなどを訴える人もいます。
 もし歯ぎしりを自覚している人、音はしなくても歯がすり減り平らになっている人、過去に次々に歯周病、虫歯、歯根破折などを繰り返し歯を失った人は自分がブラキシズムをしていないか疑ってみる必要があると思います。
 治療として歯ぎしりそのものを止めさせる事は難しいですが夜間ナイトガードというマウスピースを装着する事で歯をブラキシズムから守る事ができます。一度かかりつけの歯医者さんに御相談下さい。

長野県保険医協同組合
理事 布山 徹
(安曇野市 布山歯科医院)

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