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月刊中小企業レポート
更新日:2008/08/20

イノベーション

デジタル化、
ネットワーク社会に対応する

 平成19年の終わりに世界一のネット書店アマゾンが、アメリカで電子書籍の端末『キンドル』を発売しました。まだまだ、書籍や新聞の世界では紙媒体を中心としていて、アナログ社会の最後の砦などと比喩されていますが、このアマゾンの『キンドル』は、紙媒体の本や新聞に変革を迫る存在になるかもしれません。
 このアマゾンの『キンドル』は、携帯電話などのネット環境を別に用意しなくてもアマゾンの9万冊の在庫に容易にアクセスし、紙媒体の本よりも60%~70%も安く本を入手でき、週刊誌や新聞まで安く提供されるのだそうです。納品も、ネットですから宅急便を待つ時間も必要なく、待っても1分間で、その場で読む事が出来ます。端末自体も本1冊よりも軽い292グラムで、マーカーや付箋をつける機能までついていて工夫がされています。値段が400ドル(約4万3千円)と、高いのがネックですが、もし日本に上陸するような事があれば、アップルのアイポッドのような、革命を起こす存在になるのではないでしょうか?
 音楽の世界で考えてみれば、その媒体はレコード全盛時代を経てCDに移り現在はネット配信中心に移行しています。レコードを作る元となるマスターディスクを作る会社は、上伊那郡宮田村のパブリックレコード1社だけとなってしまいました。一部のマニアに評価され、残る会社となるという選択もありますが、多くのレコード関係の会社(例:レコード針の会社など)が市場から退場していった事実を見過ごす事はできません。音楽を日常でいつも聞きたいというニーズを喚起し世界的な製品に仕上げたのは、ソニーのウォークマンですが、現在はアップルのアイポッドが主流となっていますから、ネットワークとの連携は、はずせないものになっていると感じます。今回キンドルによって電子書籍の普及拡大を狙うアマゾン自体にしても、大量の本の在庫とネットワークでの受注環境の整備を結びつける事により成立していると言えると思います。通常の本屋さんに無い本があり、かつネット環境
なので探し選ぶ手間も楽な事が支持され続けているのではないのでしょうか。
 町から本屋さんが、どんどん無くなっていますが、本屋さん同士の戦いに敗れて市場から退場するのではなく、他業種・他業態の会社に攻めこまれて存在理由を失っていきます。本屋さんならアマゾンのようなネット上の書店や回転の良い週刊誌を扱うコンビニエンス・ストアの存在が大きいのだと思います。
 さらに、時計の世界で考えますと携帯電話などで確認できるので時計自体を持たない人も出てきています。その一方で、高価な時計ロレックスが売れています。ファッションといった消費者の価値観による支持であり、時計という機能自体の支持では無いと思います。
 医療や福祉といったサービス業の世界でも、ネットで情報収集してから来院される患者がとても増え、ブログなどでホームページを通した情報発信をしている医療機関は経営が順調な所が多いように感じています。ネットワークでカルテの情報共有も進みつつあります。ますます、加速するデジタル化、ネットワーク化の波の中で自分の組織にどのような影響が及んでくるのか、どのような対処をすべきなのか、経営の最重要課題として検討したいものです。

※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。

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