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月刊中小企業レポート
更新日:2008/07/20

健康を考える

住宅と住まい手の健康のかなり深い関係(2)

死亡や重大な後遺症に直結(続編)

健康を考える 6月の岩手・宮城内陸地震など最近は大きい地震が目立ちます。耐震補強を行っていない古い住宅では倒壊して圧死・窒息死する可能性があります。
 全国的にみると住宅内にいて熱中症を発症するケースが少なくありません。「さわやか信州」なら大丈夫だろうと思う方も多いでしょうが、非常に暑い住宅では何らかの対策が必要です。
 一酸化炭素中毒の事故は、主に室内に燃焼器具があり不完全燃焼をおこすことで発生します。湯沸かし器、レンジ、風呂釜などガス器具の使用時や、ファンヒータや石油ストーブなどを密室で1時間以上使用した場合におきることがあります。
 住宅の火災で逃げ遅れる理由は、建材や家具が燃えて発生する一酸化炭素や有毒ガスを吸って意識を失ってしまうためといわれています。これを防ぐには、火災報知器の設置や新改築時の建材選定での知識が必要です。

過乾燥と加湿

 季節外れではありますが、室内が過乾燥になる仕組みについて述べたいと思います。
 まず冬の室内の湿度が低い理由です。空気中に存在することができる水蒸気の量は空気の温度によって決まっていて最大量を飽和水蒸気量といい、飽和した状態が相対湿度100%です。本年1月7日8時の松本の気温は0℃・相対湿度72%でしたが、0℃の飽和水蒸気量が4.8g/m3ですので、この時の外気中の水蒸気量は3.46g/m3。この空気を室内に持ち込んで温めて15℃にすると、この温度の飽和水蒸気量が12.8g/m3なので、相対湿度は27%にしかなりません。
 最近の住宅は乾燥しやすいといわれているのは、機械換気が義務付けられ水蒸気をあまり含まない冬の外気を持続的に取り込んでいるためと、家全体が古い住宅よりも暖かいので相対湿度では低い値を示すのが一因です。また最近は空気を汚さない暖房器具がふつうになっています。床暖房、エアコン、FF式ファンヒータなど室内に水蒸気を放出しない暖房器具を使用する際は、計画的に加湿しないと過乾燥になってしまいます。
 人体に近い場所に熱源があると赤外線により乾燥しやすくなります。また、室内に気流があると、相対湿度が同じで気流がない場合に比べて乾燥が進みます。その他、皮膚や粘膜の乾燥が増す要因として、室内に排気が出る普通のファンヒータやストーブから大量に排出される窒素酸化物や、建材や灯油燃焼ガスに含まれるホルムアルデヒドが、アトピー性皮膚炎や喉の弱い人では乾燥の原因になるとされています。
 一方、加湿器や普通のファンヒータ・ストーブなどを使用して室内に水蒸気を発生させると、住宅内の一部が低温である場合、その場所が集中的に結露するので注意が必要です。
 理想的には、風がおきず空気を汚さない暖房装置を人体から離して使い、住宅内のどこにも低温の場所をつくらないようにし、適切な加湿器を使用しておくと、過乾燥と結露を同時に防ぐことができます。

※「住宅と住まい手の健康のかなり深い関係」は中小企業レポート2007年5月号(No.366)に掲載してあります。

長野県保険医協同組合
理事 蓑島 宗夫
(松本市 みのしまクリニック)

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