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月刊中小企業レポート
更新日:2008/5/20

ビジネスの視点

お客様が選ぶ価値を創る
~マーケティング志向の経営(1)~

開成経営学院理事長
滝澤 恵一

 会社は生きものです。会社を取り巻く経営環境は変化を続けています。会社内部も変化を続けています。過去のもの、過去の商品、サービス、仕組みにとらわれていては、変化の中で会社は生きていけません。
 会社は事業を行って、社会の中で役割を果たしていますから、「事業なくして、会社なし」です。事業をするとは、自社が持つ能力や資源の可能性を活かして、お客様が認める価値を創り出すことです。価値はお客様が認めるものであって、会社側がどんなに素晴らしい商品だ、我が社の技術力で開発したものだから売れるはずだといっても、お客様にとって価値がなければ売れません。ここで大切なことがマーケティングです。「マーケティングなくして事業なし」です。
 マーケティングについては時代の変化とともにさまざまに定義がなされていますが、「お客様に選んでいただける商品やサービスを自社の能力や資源が持つ可能性を活かして創り出し、対価を得るための、市場における効率的活動である」といえます。
 経営環境は変化を続けていますので、事業は市場の変化をしっかりとつかむことが必要です。市場は需要と供給から成り立ちますので、需要側の変化、お客様が求めているもの、社会の要請はどのようなものなのか、社会の課題を解決するものはどのようなものなのかを的確につかむことが求められます。同じように競合他社を含めて供給側の変化をつかむことも大切です。技術の変化、売り方の変化をつかみ、自社で取り入れるものはないかと考え、必要ならば獲得することです。
 需要側の変化、供給側の変化をつかむには、情報が必要です。情報の収集、分析、整理、活用ができているかどうかを見直してみることが重要です。特に、情報源の偏りがないかどうか、情報源は信頼できるかなども含めて、自社の情報マネジメントを見直してみることです。
 情報には、データもあり、生の声もあります。情報誌紙から入手する伝聞情報もあり、現場で自らの五感によって得ることができる現場情報、実感情報もあります。情報マネジメントを的確に行うことにより、情報を事業の中で活かすことができるようになります。
 たとえば、小売業が同じ問屋と長い間取引をしていて、売上が伸びないという事実をデータで把握したら、この問屋に売れるものを卸すように指示をするか、売れている商品を扱っている他の問屋を探して取引をしないと、ますます売上がダウンしてきます。飲食店でしたら、メニューごとの売上はどのように変化しているのかをつかみ、売れていないものはメニューからはずし、お客様が求めているものを新メニューとして取りそろえることです。
 取引先にしても、商品やサービスにしても、過去にとらわれていてはお客様から選ばれない会社、店になってしまいます。変化するという意志を持って、経営すること、行動することです。思考と行動をかえることです。経営環境の変化の中には、過去にとらわれない限り、会社が充実、伸長するチャンスは必ずあります。

信州ビジネスコンサルタント協同組合理事長
               中小企業診断士

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