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月刊中小企業レポート
更新日:2008/04/20

農商工連携で地域活性化の実現をめざして
~平成20年度中小企業施策から~

 我が国は、都市と地方との格差拡大が顕在化してきており、それへの対応として地域経済が自立的に発展するための基盤整備が必要不可欠なものとなっております。
 こうした中で、国では平成20年度中小企業施策の中で地域経済活性化のため、地域の基幹産業である農林水産業と商業、工業等の産業間での連携(『農商工等連携』)を強化し、相乗効果を発揮していくこととなるよう、農林水産省と経済産業省は、密接かつ有機的に連携をとることとしております。
これに向けて、「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案(農商工等連携促進法案)」が現在国会に提出されておりますので、その支援策の概要をご紹介いたします。

 

1中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案(農商工等連携促進法案)の概要

地域を支える中小企業者と農林漁業者との連携により、双方の活力を取り戻し、地域経済を活性化する

  1. 新法の考え方
    • 業種の壁を越えた連携を促進するための、農水省・経産省による行政の壁を越えた従来にない法律
    • 中小企業者と農林漁業者が共同で申請した計画を認定した場合、農水省・経産省の両省が共同で支援
    • 農水省と経産省が、それぞれ100億円程度、合計で200億円以上の予算措置により支援
  2. 中小企業者と農林漁業者の連携事例
  3. スキーム・支援措置
    基本方針

農商工等連携促進法案における支援の流れ

農商工等連携促進法案における支援の流れ

農商工等連携の事例

  1. 長いもの供給・出荷体制の整備による販売網の確立
    ○農協―農機具メーカーの事例
    • 周辺の複数の農協が、長いもの共同生産体制を整備するとともに、地元の農機具メーカーと連携し、大型貯蔵施設整備や掘削機械改良等を行い、長いもの通年供給・出荷体制を構築に成功。
    • これにより、国内でのブランド化を実現するとともに、特に国内需要の少ない太物を台湾やシンガポールへ輸出するなど、意欲的な販売戦略が可能となった。
  2. IT農業支援システムの活用による低コスト、高品質作物の生産
    ○農業者―設計・測量会社
    • 地元の農業者と土木建築の設計・測量会社等が共同して、人工衛星や無人ヘリコプター等から取得した画像データを活用した農業情報の管理システムを構築。
    • これにより、農産物の収穫状況を踏まえた農作業の内容・スケジュール管理の効率化やマップ化された土壌の状況に基づく施肥作業の自動化が可能となり、生産性の高い営農体制を実現。
  3. 健康に良い高機能タマネギを地域限定生産
    ○農業者―バイオベンチャー―販売会社
    • 地元の大学発ベンチャーが、健康に良い新品種のタマネギを開発。地元の町役場、農協、商工会議所等の協力を得て、地元農業者との連携を実現し、限定生産を実施。
    • また、新品種タマネギを活用し、地域ブランドとしての商品開発や販路開拓を行うべく、地域の販売会社と連携し、首都圏での販売を展開。

  4. 乳牛の給餌を人力からIT活用によるシステム管理
    ○畜産者―農機具メーカー
    • 農機具メーカーが、農協等と連携し、乳牛1頭ごとに給餌回数・分量・飼料のブレンド、給餌時間等をITで自動制御する自動給餌システムを開発。労働時間の太宗を占める給餌時間を4~5時間から約15分(約20分の1)に短縮。
    • 経営規模大幅拡大(飼育頭数40%増)や生産性向上(1頭あたり乳量7%増)を実現し、酪農家のゆとりある暮らしの実現に貢献した。

  5. トレーサビリティシステムの活用による安全安心食材のブランド化
    ○農業者―食品加工会社
    • 複数の都道府県にまたがる数十の農業生産者・加工者がネットワークを構築し、自然健康食品ブランドを展開。
    • トレーサビリティシステムの活用により、生産者の顔が見える食材として、有機米や無農薬野菜、ハチミツバター等の加工食品を生産。
    • ブランドとしての顧客リストは、10万人を超え、コアファンの育成を図る。

  6. 美味しく食べやすい、大葉入りのヘルシー麺を開発
    ○農業者―食品加工会社
    • 従来、食物繊維入り麺製品はどうしても「ざらざら感」があり、多量の大葉粉末を取り込むことは困難であったため、製麺技術を改良し、大葉の成分や風味を損なわずに、つるつる感と腰のある食感の麺製品を実現。
    • 健康食品として注目されていたけれど、これまでは利用が制限されていた大葉が活用可能になり(100gあたり45枚相当分)、大葉の需要を拡大

 

2企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び
活性化に関する法律(企業立地促進法)の一部を改正する法律案

地域を支える農林水産関連産業の企業立地支援策を充実するなど、地域経済活性化を後押し。

  1. 法改正の考え方
  2. 法改正の考え方
  3. スキーム・支援措置

 スキーム・支援措置

企業立地促進法税制の拡充(農林水産業の活性化に資する立地への支援)(法人税、所得税)

地域の主要産業である農林水産業を支え、その活性化を図る商工業の企業立地を促進するため「企業立地促進法」に基づく税制措置(特別償却制度)を拡充する。

改正の概要

  • 企業立地促進法税制(特別償却制度:機械装置15%、建物等8%)の対象業種に、農林水産関連業種を追加するとともに、同業種における、投資規模要件の引き下げを行う。

企業立地等に対する金融支援の充実

  1. 中小企業の企業立地等に対する超低利の融資制度の創設(中小公庫・国民公庫)
    - 中小企業が承認企業立地計画又は承認事業高度化計画に従って行う企業立地又は事業高度化のために必要な設備資金に対して、政府系金融機関(中小公庫・国民公庫)による超低利の融資制度を創設する。
    ※適用金利: 特利③-0.4%(10年間の貸付(中小公庫)の場合の適用金利1.1%(基準金利2.4%、20年1月現在))
  2. 小規模企業の企業立地等に係る設備資金の貸付の充実
    - 小規模企業者が承認企業立地計画又は承認事業高度化計画に従った設備の設置等に対し、都道府県貸与機関が行う設備資金貸付について、貸付割合の上限を1/2以内から2/3以内へ引き上げる措置を講じる。(小規模企業等設備導入資金助成法の特例)
  3. 食品の製造、加工、販売事業者の立地等に対する債務保証等の創設
    - 食品の製造、加工、販売の事業者が承認企業立地計画又は承認事業高度化計画に従って行う企業立地又は事業高度化のために必要な資金の借入等に対し、(財)食品流通構造改善促進機構が債務保証等を行うことができる措置を講じる。(食品流通構造改善促進法の特例)

企業立地促進法に関する予算支援措置(金額は平成20年度予算政府原案(カッコ内は平成19年度予算額))

企業立地促進法に関する予算支援措置(金額は平成20年度予算政府原案(カッコ内は平成19年度予算額))

 

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