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月刊中小企業レポート
更新日:2008/3/20

トピックス東西南北

「環境保護・食の安全性確保を考慮した取り組みスタート」

中小企業が連携により食品廃棄物の資源循環システム構築へ

信州eループ事業協同組合

 環境問題に配慮した循環型社会の形成のための食品リサイクル法等への対応を含め、食品製造業が処理しなければならない格外製品、製造外産物、製造廃棄物等の食品廃棄物となる食品残渣等を利用して飼料を製造し、それを活用する。異業種の中小企業が連携による組織化を図り、食品廃棄から飼料化・肥料化を経て食品製造まで食品資源をループ(循環)させる取り組みを開始した。また、同時に食の安全性確保のためのトレーサビリティ(食品とその情報の追跡)の仕組みづくりも構築していくことになる。

■組合設立の趣旨

 近年、食品製造業から排出される動植物残渣は年々増加し、日常生活に不可欠な食品について、食品循環資源の再利用や食品廃棄物の発生抑制などの取り組み推進が必要な状況にある。また、現状ではこれらの社会的問題についても見過ごすことはできず、地域の中で関係する業者間の連携による対応が求められている。そのような状況の中、食品製造業者、飼料製造業者、畜産業者等の異業種の中小企業14社が組織化を図り、環境保護や食の安全性確保を考慮した食の循環資源利用に伴うeループネットワークシステム構築に向けた取り組みをスタートした。

高野保雄理事長
高野保雄理事長

 「もったいない」を合言葉に、食品の自給率UPが図れればと声をかけ、設立ができました。
 多くの方々に参画して頂き、食の「安心・安全」を確保して、このループシステム構築を拡大推進し、地域と共にネットワークの活用による事業展開を図っていきたい。

 

■食品循環資源活用事業とは

 組合が取り組む食品循環活用事業(eループネットワークシステムの構築)とは、構成する組合員のうち食品製造業が処理しなければならない格外製品、製造外産物、製造廃棄物等の食品廃棄物となる「食品残渣」等を利用し、その循環資源を飼料製造業者が酵母菌を使って「飼料」を製造する。畜産生産業者がその飼料を活用して良質な養豚を飼育。その豚肉を材料にした料理をレストラン等が提供。また糞は肥料原料として「肥料」を製造し、それを農家の野菜・果物生産に活かす。農家の作った「野菜・果物」から食品製造業者が「食品加工・製造物」を製造する。食品廃棄物から飼料化・肥料化を経て農業・食品製造までの食品循環資源をル―プ(循環)させるシステムのことである。これに食の安全性確保のために、食品製造業が処理する食品残渣等を特定し、どの食品残渣等から飼料づくり、肥料づくりが行われ、そして養豚が行われたか、のトレーサビリティ(食品とその情報の追跡)の仕組みづくりも同時に構築していくことになる。

■今後の方向性について

 最終的な目的は、上記のシステム図の通り、食品循環資源をループさせるシステムの構築である。しかし、当面は、組合員の(有)神農素を中心として中野市内で行っている食品製造業から排出される蕎麦や菓子類などの食品残渣等から酵母菌を加えた飼料の製造、その飼料を活用した畜産生産業者による養豚の飼育を行い、その良質な豚肉を提供・販売するまでのシステムの管理・運営を組合が行うこととなる。課題は、(1)飼料づくりのための飼料原料となる食品残渣等の安定的な確保、(2)飼育された良質な養豚等のブランド化・販路の確保、などである。中央会としては4月以降に行政庁、大学、試験場等の関係する機関を含め、このシステムを運営していくための組織を立ち上げ、事業の具現化に向けた支援を行っていくことになる。
(構成:連携支援部 開発課)

信州eループ事業(協) 概要
組合住所 長野市川中島御厨5-2
◎養豚場((有)神農素)中野市内
◎飼料製造((有)神農素)中野市内
連絡先 TEL 026-213-4067
FAX 026-213-4089
設立 平成20年1月15日
組合員数 14名
出資総額 700,000円
代表者名 理事長 高野保雄
主な事業 (1) 格外製品、製造外産物、製造廃棄物、飼料等の食品循環資源活用事業
(2) 食品循環資源ネットワークシステムに関する新商品又は新技術の研究開発事業
(3) 外国人研修生の共同受入事業
(4) 教育情報事業
(5) 福利厚生事業

 

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