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月刊中小企業レポート
更新日:2008/02/20

中央会インフォメーション

改正パートタイム労働法のポイント

~平成20年4月1日施行~(前編)

 少子高齢化、労働力減少社会で、パートタイム労働者がその能力をより一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働法が改正されました。
 本編では、パートタイム労働者を1人でも雇っている事業主の方に義務化される改正点3点について、また次号掲載予定の後編では、パートタイム労働者と通常の労働者との均衡(バランス)のとれた待遇の確保の推進に関する改正点について説明いたします。

「パートタイム労働者」の定義
 パートタイム労働法の対象である「短時間労働者(パートタイム労働者)」は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。
例えば、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であれば、「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象となります。
 ここでいう、「通常の労働者」とは、事業所において社会通念にしたがい「通常」と判断される労働者をいいます。この「通常」の判断は、業務の種類ごとに行い、「正社員」、「正職員」など、いわゆる正規型の労働者がいれば、その労働者をいいます。例えば、労働契約の期間の定めがない、長期雇用を前提とした待遇を受ける賃金体系である、など雇用形態、賃金体系などを総合的に勘案して判断することになります。
 事業所に同種の業務に従事するいわゆる正規型の労働者がいない場合は、フルタイムの基幹的な働き方をしている労働者がいれば、その労働者が通常の労働者となり、その労働者より1週間の所定労働時間が短い労働者がパートタイム労働者となります。

 
<パートタイム労働者を雇っている事業主の方に義務化される事項>
1.労働条件の文書交付等 2.待遇決定についての説明義務 3.通常の労働者への転換の推進

1.労働条件の文書交付等 雇い入れの際、労働条件を文書などで明示してください

  • 事業主は、パートタイム労働者を雇い入れる際、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書等で明示することが義務化されます。
  • 労働基準法では、パートタイム労働者も含めて、労働者を雇い入れる際には、労働条件を明示することが事業主に義務付けられています。特に、「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」「始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休日・休暇」「賃金」などについては、文書で明示することが義務付けられています。(違反の場合は30万円以下の罰金に処せられます。)
  • 改正法では、これらに加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の3つの事項を文書の交付など(3つの事項についてはパートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能。ただし、電子メールの場合、全文が見え、保存が可能なものであり、かつプリントアウトが可能なものに限る。)により、速やかに、パートタイム労働者に明示することが義務化されます。
  • 昇給や賞与の支給を事業所の業績やパート労働者の勤務成績などによって行うケースで業績などによっては行わない可能性がある場合や、退職手当を勤続年数に基づき支給するケースで、所定の年数に達していない場合は支給されない可能性がある場合は、制度は「有り」とした上で、「業績により不支給の場合あり」や「勤続○年未満は不支給」など支給されない可能性があることを明記してください。
  • 違反の場合、行政指導によっても改善がみられなければ10万円以下の過料に処せられます。
Q&A

当社では、パートタイム労働者を2種類に分け、A職種には、賞与の支給をしていませんが、B職種には、年2回業績に応じて支給することとしており、業績が悪いときは支給していません。雇入れ通知書にはどのように記載すればいいのですか? 

職種の方を雇い入れる際は、「賞与無し」と明記してください。B職種の方を雇い入れる際は、支給を「有る」としつつ、支給しない可能性があることなどを具体的に、例えば「業績により不支給の場合あり」などと明記してください。なお、「昇給の有無」、「退職手当の有無」の明示の際も同様の考え方となります。

2.待遇決定についての説明義務 雇い入れ後、待遇の決定に当たって考慮した事項を説明してください

  • 事業主は、雇い入れ後パートタイム労働者から求められたとき、そのパートタイム労働者の待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明することが義務化されます。
【説明義務が課せられる事項】
◇労働条件の文書交付等 ◇就業規則の作成手続 ◇待遇の差別的取扱い禁止
◇賃金の決定方法
◇教育訓練 ◇福利厚生施設 ◇通常の労働者への転換を推進するための措置
  • 説明に当たっては、例えば賃金の決定方法についての説明を求められた場合、「あなたはパートタイムだから賃金は○○円だ。」という説明では責任を果たしているとは言えず、例えば、通常の労働者の仕事内容に比べて、そのパートタイム労働者の仕事内容が軽易であり責任の程度も低いものであることから、「職務の内容」を勘案して賃金に差を設けているが、仕事内容が変わればパートタイム労働者であっても賃金がその仕事内容に応じたものに変わる、といったような中身のある説明が求められます。
Q&A

パート労働者からの待遇の説明を求められ、説明したのですが、いくら説明しても納得してもらえません。どうすればいいのでしょうか?

法は、パートタイム労働者からの求めに対し、合理的な説明を事業主に求めるもので、事業主には誠意ある対応をしていただく必要がありますが、最終的にパートタイム労働者が納得するまでの説明を求めているものではありません。
万が一パートタイム労働者に説明しても納得が得られない場合は、事業所内の苦情処理手続で処理したり、都道府県労働局長の助言・指導・勧告や調停制度を通じて解決を図ることをご検討ください。

3.通常の労働者への転換の推進 パートタイム労働者から通常の労働者へ転換するチャンスをととのえてください

  • 事業主は、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じることが義務化されます。
【講じる措置の例】
◆通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する。
 例えば、ハローワークに通常の労働者募集の求人を出す場合、あわせてその募集案内を事業所内でも掲示し、パートタイム労働者に周知する。
◆通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与える。
 例えば、通常の労働者に係る新たなポストや空席のポストを社内公募で充足する場合、パートタイム労働者にも応募の機会を与える。
◆パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。
 例えば、パートタイム労働者から通常の労働者への転換制度を設け、定期的に試験を実施する。
◆その他通常の労働者への転換を推進するための措置
  • なお、パートタイム労働者から通常の労働者への転換の要件として、勤続期間や資格などを課すことは、事業所の実態に応じたものであれば問題ありませんが、必要以上に厳しい要件を課した転換の仕組みを設けている場合は、法律上の義務を履行しているとは言えない場合もあります。
  • 事業所に正社員等いわゆる正規型の労働者がいる場合は、パートタイム労働者をいわゆる正規型の労働者への転換を推進するための措置を講じることが義務となります。
  • パートタイム労働者から、いわゆる契約社員や「短時間正社員」へ転換する制度を設け、さらに、契約社員や「短時間正社員」から通常の労働者へ転換する制度を設ける、といった複数の措置を講じ、通常の労働者へ転換する道が確保されている場合も法律上の義務の履行となります。
  • また、転換を推進するためにも、どのような措置を講じているか、事業所内のパートタイム労働者にあらかじめ広く周知するよう努めてください。
Q&A

通常の労働者への転換措置を導入すると、パートタイム労働者の採用が優先され、採用活動に制限がかかるのではないでしょうか?

法は、通常の労働者への転換を推進する機会をととのえることが規定されていますが、これは、通常の労働者として働くことを希望するパートタイム労働者に通常の労働者になるチャンスを提供することを目的とするものであり、優先的に採用することまで求めているものではありません。
 最終的に通常の労働者への転換を希望しているパートタイム労働者を通常の労働者に採用するかどうかは、公正な採用選考である限り事業主の判断にゆだねられていますので、企業の採用活動を制限するものではありません。また、法で求められている措置を講じていれば、他社からヘッドハンティングを行うことなども問題にはなりません。なお、事業所内の全てのパートタイム労働者が通常の労働者への転換できる機会が付与されるよう公正で客観的な仕組みをととのえてください。


 

苦情処理・紛争解決の援助
パートタイム労働者と事業主の苦情・紛争の解決の仕組みがととのえられます

  • 事業主がパートタイム労働者から苦情の申出を受けたときは、事業所内で自主的な解決を図ることが努力義務化されます。
  • 紛争解決援助の仕組みとして、【都道府県労働局長による助言、指導、勧告】、【均衡待遇調停会議による調停】が設けられます。

 

◎詳細は、長野労働局雇用均等室(電話番号 026-227-0125)までお問合せください。

最低賃金法が変わります

最低賃金の決定基準や罰金の上限額、派遣労働者への適用関係などについて大きな改正が行われます。

改正の概要
  1. 地域別最低賃金はこうなります
    ・地域別最低賃金を決定する場合には、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護の施策との整合性にも配慮することとなります。具体的な金額は、都道府県ごとに決定されます。
    ・地域別最低賃金の不払の場合の罰金額の上限が2万円から50万円に引き上げられます。
  2. 産業別最低賃金はこうなります
    ・産業別最低賃金については、その不払については、最低賃金法の罰則は適用されなくなり、労働基準法の賃金の全額払違反の罰則(罰金の上限額30万円)が適用されます。
  3. 適用除外規定が見直されます
    ・障害により著しく労働能力の低い者等に関する適用除外が廃止され、最低賃金の減額特例が新設されます。
  4. 派遣労働者の適用最低賃金が変わります
    ・派遣労働者については、派遣先の地域(産業)の最低賃金が適用されます。
  5. 最低賃金額の表示が時間額のみになります
    ・時間額、日額、週額又は月額で定めることとされていた最低賃金額の表示単位が、時間額のみとなります。

※施行期日は公布日(平成19年12月5日)から起算して1 年を超えない範囲内において政令で定める日です。

最低賃金法の一部を改正する法律Q&A

 改正によって最低賃金はただちに改定されるのですか

 改正法の施行の際に有効である最低賃金については、次の改定までの間は改正法に基づいて決定された最低賃金とみなされることから、改正法の施行の際にただちに改定は行いません。
 地域別最低賃金については毎年10月頃、産業別最低賃金については毎年10月~2月の間に改定されていますので、厚生労働省HPなどでご確認下さい。なお、現在決定されている長野県の最低賃金額は以下のとおりとなっています。

長野県最低賃金 669円(時間額)

 現在、産業別最低賃金には時間額の他に日額によって定められているものがありますが、改正法によって日額はなくなるのですか

 当該最低賃金について施行日後最初の改正の際に、時間額のみによって定められることになります。
 最低賃金額が時間額のみになった後、支払われる賃金が日給である場合に、その支払額が最低賃金以上かどうかを調べるには、賃金額を1時間当たりの金額に換算して比較することとなります。(なお、産業別最低賃金の金額等については、厚生労働省HPや都道府県労働局HPでご確認下さい。)

 労働者派遣事業を行っていますが、注意すべきことは何でしょうか

 派遣労働者については、派遣先事業場に適用される最低賃金が適用されることになります。したがって、派遣元事業者は、労働者を派遣している事業場に適用される最低賃金額を把握する必要があります。
 金額は、厚生労働省HPや都道府県労働局HPで確認することができます。

 現在、最低賃金の適用除外許可を受けた人を雇っていますが、今後どのような取扱になるのですか

 改正法の施行の際、既に都道府県労働局長の許可を受けて最低賃金法が適用除外となっている労働者については、施行日から1年の間に、新たに最低賃金の減額特例の許可を受ける必要があります。なお、減額特例の許可の対象となる労働者は、1.精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者2.試の使用期間中の者3.職業訓練を受けている者4.軽易な業務に従事する者等となります。

詳しくは 長野労働局労働基準部 賃金室(電話026-223-0555)まで


ポジティブ・アクションを積極的に推進している企業
ファミリー・フレンドリーな企業を表彰します!!

 厚生労働省では、「女性労働者の能力発揮を促進するための積極的な取組」(ポジティブ・アクション)及び「仕事と育児・介護との両立支援のための取組」について、他の模範となる取組を推進している企業を対象に「均等・両立推進企業表彰」を実施しています。
 平成20年度の各賞の候補を公募しますので、ぜひ御応募ください!
 応募の受付期間は平成20年1月1日から3月31日までです。

  1. 表彰の種類
    (1) 均等・両立推進企業表彰
     ○厚生労働大臣最優良賞
    (2) 均等推進企業部門、ファミリー・フレンドリー企業部門(*部門ごと)
     ○厚生労働大臣優良賞  ○都道府県労働局長優良賞  ○都道府県労働局長奨励賞
表彰の候補となるのはこんな企業です

均等推進企業部門

  • ポジティブ・アクションを企業の方針として示し、積極的に取り組んでいる
  • ポジティブ・アクションの取組として「採用拡大」、「職域拡大」、「管理職登用」または「職場環境・職場風土の改善」について取り組んでいる
  • ポジティブ・アクションの取組のうち「女性のみを対象」または「女性を優遇」するものは、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない場合(雇用管理区分ごとにみて女性労働者の割合が4割を下回っている状況)に限られている

ファミリー・フレンドリー企業部門

  • 法を上回る育児・介護休業制度や勤務時間短縮等の措置を規定し、よく利用されている
  • 男性労働者の育児休業取得実績がある
  • 時間外労働が概ね年150時間未満である
  • 年次有給休暇取得率が概ね50%以上である
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく認定を受けている、または認定を目指している

厚生労働大臣最優良賞

  • 過去に均等推進企業表彰(部門)の大臣賞またはファミリー・フレンドリー企業表彰(部門)の大臣賞を受賞し、さらに取組が進んでいる
  • 受賞していない部門についても積極的に取り組み、成果をあげている
  1. 応募方法・問い合せ先
     応募用紙に必要事項を記入し、自己採点の上、長野労働局雇用均等室あてに郵送またはFAXにてお送りください。応募用紙は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/)よりダウンロードするか、雇用均等室でも配布しています。

長野労働局雇用均等室 〒380-8572 長野市中御所1-22-1 TEL.026-227-0125 FAX.026-227-0126


予告
平成20年度予算に係る戦略的基盤技術高度化支援事業(中小企業技術基盤強化等委託費)の公募について

 経済産業省中小企業庁では、「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」の円滑な施行のため、「戦略的基盤技術高度化支援事業」の研究開発テーマの公募を行う予定ですのでお知らせいたします。
 なお、この事業は平成20年度予算の国会での成立を前提とするものです。従って今後、内容等を変更することがありますので、あらかじめご了承ください。
 事業の詳細については中小企業庁のホームページにて公表予定の公募要領(平成20年2月中旬公表予定)をご覧ください。

《事業概要》

  1. 目的
     我が国製造業者の国際競争力の強化と新たな事業の創出を目指し、中小企業のものづくり基盤技術(鋳造、鍛造、切削、めっき等)の高度化に資する革新的かつハイリスクな研究開発等を促進することを目的としています。

  2. 事業内容
    (1)事業対象
     「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律(以下「法」という。)」第3条に基づき定められた特定ものづくり基盤技術高度化指針に沿って策定され、法第4条第1項に基づき認定を受けた特定研究開発等計画を基本とした研究開発を対象としています。

    (2)応募資格
     本事業の対象は、事業管理者、研究実施者、総括研究代表者(プロジェクトリーダー)、副総括研究代表者(サブリーダー)によって構成される共同体を基本とし、法の認定を受けた中小企業者を含む必要があります。

    (3)応募申請者
     本事業への申請者は、事業管理者です。
     事業管理者は、研究開発計画の運用管理、共同体構成員相互の調整を行うとともに、財産管理(知的所有権を含む)等の事業管理及び研究開発成果の普及等を主体的に行うことが可能な法人又は個人事業者です。

    (4)研究開発規模等
    (4)研究開発規模等
    (5)公募期間
     平成20年4月21日(月)~平成20年5月16日(金)

《問い合わせ先》
中小企業庁経営支援部技術課(TEL.03-3501-1816(直通)
関東経済産業局産業部製造産業課(TEL.048-600-0313)

 


お知らせ
農林水産食品関係の組合ブランド支援事業の創設について

 農林水産省では、平成20年度より農林水産・食品関係の組合ブランド支援事業を開始いたします。
 この事業は、地域が「真に力のある地域ブランド」を確立できるよう、ブランド・コンセプトの設定、生産・品質管理、名称管理、マーケティング力向上等の一貫した取組みに対して支援を行うものです。
 この事業の詳細等については農林水産省企画評価課知的財産戦略チーム(TEL.03-3502-5525(直通)まで問い合わせください。


長野県信用保証協会からのお知らせ

 


長野県中小企業共済福祉事業団からのお知らせ


重要なお知らせ
長野県中小企業団体中央会 行事日程のお知らせ

 20年2月から5月下旬にかけて長野県中小企業団体中央会が行う主要行事の日程をお知らせいたします。
 なお、会議内容等の詳細については後日関係者の皆様方に郵送にてご連絡いたします。

  • 平成19年度第2回支部長会議
     開催日時:平成20年2月25日(月)13時50分より
     開催場所:長野市「ホテル信濃路」
     ※当日昼食(午前11時50分~12時20分)

  • 平成20年度第1回理事会
    開催日時:平成20年4月24日(木)12時30分より
    開催場所:長野市「ホテル信濃路」
    ※理事会終了後「講演会」(午後2時から)を予定しておりますのでお含み置きください。講師等現在検討中につき未定です。
    ※当日昼食(午前11時50分~12時20分)後理事会を開催いたします。

  • 平成20年度通常総代会
    開催日時:平成20年5月21日(水)14時より
    開催場所:長野市「ホテル国際21」
 

新連携創出フォーラム2008 in 諏訪


働きやすい職場環境づくり

 「企業の社会的責任(CSR)」を果たすとともに「あらゆる差別の撤廃と人権教育の推進」に邁進しましょう。
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