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月刊中小企業レポート
更新日:2008/02/20

健康を考える

スポーツに伴う中高年の膝関節痛

健康を考える 還暦を迎えた運動嫌いの妻がメタボ予防の為にと仲間に誘われて、ウォーキングを始めたのですが、3日も経たぬうちに膝が痛いといって中止しました。階段の昇降と正座が出来ず、椅子から立ち上がって歩き始める時に痛いと騒いでいます。

Q:どうしたんでしょうかね?

A:奥様の身長は156cm、体重が72kgでしたね。腹囲はあえて聞きませんが立派なメタボリック症候群ですね(笑)。ウォーキングがきっかけになっているようですが、加齢とともに増加してくる変形性膝関節症と思いますよ。

Q:変形性膝関節症とは?

A:膝の関節軟骨の加齢・変性に機械的負荷が加わって発症しますが、やはり発症しやすい因子があります。1.女性が男性の2倍ほど多く、2.肥満、3.内反・外反(O脚・X脚)の下肢変形、4.過去に膝を傷めたことのある人、5.膝を酷使する人等の5因子です。お花やお茶の先生、旅館や料亭の女将さん、仲居さんのようによく正座をする女性に特に多く見られます。

Q:家内もお茶とお花を教えていて正座しています。O脚気味で太っています。5つのうち4つがあてはまりますね。ウォーキングはやりたいようですがどうしたらよいでしょう?

A:スポーツに伴う中高年の膝関節症の治療は原則的には保存的療法です。最低レントゲン検査は必要ですが診断確定後、痛みに対しては1.経口的、経皮的(湿布、軟膏など)消炎鎮痛剤、2.ヒアルロン酸、時にはステロイド剤の関節内注入、3.理学療法として、レーザー線や赤外線、ホットパック等の利用、4.膝を安定させるためにサポーターや足底板などの装具療法があり、整形外科医が対処してくれます。

Q:日常生活で心がけることは?

A:沢山ありますし大変重要な事ですが、「知るは易し、持続的実行は難し」です。
 進行予防の為、1.膝への負担を軽くするために、階段は手すりを利用し、杖を使い、長時間の正座をさけます。肥満解消もお忘れなく。
 2.運動療法としては太ももの筋肉、ことに前面にある大腿四頭筋の強化と膝関節の可動域訓練です。要は脚の筋肉をきたえ、関節を動かす事です。言ってることは易しいですね。しかし、実行は難しいです。「継続は力なり」です。お二人で早速始めて下さい。

Q:運動療法を具体的に教えて下さい。

A:椅子に座って、ゆっくりと膝の屈伸を行い太ももの前の筋肉をきたえます。入浴中温まったところで湯船の中で正座を3~4分やってみましょう。
 ウォーキングも結構ですが、プールの中でのウォーキングは、浮力の働きで膝への加重が少なく、水の抵抗で筋力増強に効果的です。自転車こぎも有効です。あまり焦らずに翌日強い痛みが残らない程度の運動量からはじめて下さい。

長野県保険医協同組合
理事 張 洛善
(松本市 あずさ整形外科医院)

 

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