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月刊中小企業レポート
更新日:2007/12/20

特集2 めざせ! 地域資源を活かした“信州ブランド”づくり

~「信州ブランドフォーラム2007」開催される~

《策定の背景》

 なかなか好転の兆しが見えない長野県経済。その再生と持続的発展、県民の豊かな生活の実現をめざし、力強い長野県経済構築のための産業振興の指針として今年3月、県は「長野県産業振興戦略ビジョン」を策定した。そのスローガンとして掲げたのが「メイド・インNAGANOを世界へ」。地域産業の再生・自立に向けて固有の地域資源を活かしたブランドづくりが提唱されるなか、”信州ブランド“づくりを実践していくことの重要性をあらためて示したものといえる。
 長野県では「ブランドづくり」を進めるコンセンサス形成の場として、平成16年、長野県デザイン振興協会、県中小企業団体中央会など主要経済4団体、県、信州大学の産学官が協調し「信州ブランドフォーラム」をスタート。毎年、信州発のすぐれたブランドを選定・表彰する「信州ブランドアワード」を実施している。
 第4回目の今年はこれまでの講演会、プレゼンテーション、交流会、「信州ブランドアワード」の発表・表彰に加え、今年新たにスタートしたデザインコンペ「LIFE DESIGN信州」の発表・表彰も行われた。10月26日に会場の長野市生涯学習センターでは受賞作品の発表展示も行われ、多くの来場者にアピールしていた。

信州発のすぐれたブランドを選定する「信州ブランドアワード」

信州発のすぐれたブランドを選定する「信州ブランドアワード」 「信州ブランドアワード」の選考対象は、他にはない独自性と優位性を兼ねそなえ、信州全体のイメージ向上に貢献しているモノやコト。「志向性」「情報伝達性」「表現性」「地域性」「継続・発展性」の5つの指標により選ぶ。いわば「顧客志向に徹した商品やサービスを分かりやすい説明とともに、独自のデザイン(旗印)をもって地域資源を活かし、持続して発展的に行っている事業や事業主体」を選考するもの。
 選考は長野県デザイン振興協会(※)、長野県、長野県経営者協会、県中小企業団体中央会、信州大学などで構成される信州ブランドフォーラム開催実行委員会の選考委員が行う。今年は応募28点、推薦28点の計56点が集まり、約半年をかけて選考。信州発のすぐれたブランドとして10点を選定した。

※長野県デザイン振興協会

長野県の産業・社会の独創的で自立的な発展にデザイン業振興によって貢献する目的で2002年に設立。デザインを含む創造的な専門分野の約110の会員が、地域産業を担う企業・団体・自治体等と協調し、独自のブランドづくりを進める。地域に根ざした産業の振興、デザイナーやクリエーターといった専門性を有する人材の育成などの事業活動も高く評価されている。

 

今年の大賞は「長野オリンピック記念 長野マラソン」

今年の大賞は「長野オリンピック記念 長野マラソン」 大賞に選ばれたのは「長野オリンピック記念 長野マラソン」
 これは98年開催の長野オリンピックを記念して始まった大会。市民ランナーが国内外の第一線で活躍するランナーと一緒に走ることでマラソン愛好者の底辺を広げ、地域スポーツの発展につなげることをめざす。全国から集まる参加者も会を重ねるたびに増え、盛大になっている。
 参加者と住民の交流機会を随所に設け、地域に根ざした大会であろうとする志向性、メディアやインターネットでの積極的な情報発信性、オリンピック施設を巡りながら春の善光寺平を満喫して走るコース設定等の地域性、大会終了後のアンケートで9割以上が「満足」と回答する高い満足度の持続とさらなる改善の取り組みといった持続・発展性と、総合的にバランスの取れた最も高い評価を得た。
 特別賞には「かにクレーン」「須坂市動物園」「多摩川精機」「永井農場」の4ブランドが選ばれた。
 開催実行委員会は総評として、過去3回も含め「志向性」と「地域性」に比べて、「情報伝達性」「表現性」「持続・発展性」の評価が低い傾向があると指摘。ブランドとしての表現や情報を伝える専門性が十分でなく、そのような事業を持続できる仕組みが整っていないという問題を抱え、それがなかなか改善されないことを示しているとする。

創造的な専門性を持つ人材の育成をめざして新たなデザインコンペがスタート

創造的な専門性を持つ人材の育成をめざして新たなデザインコンペがスタート  そのような現状を背景に、長野県デザイン振興協会では信州発のブランドづくりを担う創造的な専門性を持つ人材の育成を重点事業ととらえてきた。その具体策を検討するなかで企画され、今年からスタートしたのがデザインコンペ「LIFE DESIGN信州」だ。
 本コンペは、信州の地域資源活用につながることをテーマにしたデザイン提案を募集、選考するもの。毎年テーマを設定し、それに沿って信州の生活を豊かにするモノ(商品・サービス)を提案する「デザイン提案部門」と、信州の魅力的な生活の発信を提案する「デザインPR部門」の2つがある。
 今年のテーマは「ECO LIFE ~信州の身近なエコ生活~」。初回にも関わらず、全国はもとより海外から130余点、いずれもハイレベルなデザインの応募があった。
 初のグランプリに輝いたのは、小森裕介氏(こもんてっく)の土壁を利用した花瓶「つちかびん」。土とともに生きるという考え方、個々が作品を創りあげるという市民参加型の教育的プロセスを提案しているとして高く評価された。
 「デザイン提案部門」は築澤大氏(東京理科大学大学院)の「入れ子の家」、「デザインPR部門」は相澤徳行氏(相澤デザイン室)の「信州りんごのPRポスター」と宮下ひろみ氏(株式会社エイブル)の「MADE IN EARTH」が、それぞれ受賞した。

「信州ブランドフォーラム2007」 2007年10月26日(金) プログラム
<午前>
 ・開会セレモニー
 ●信州ブランドアワード2007 発表・表彰式
 ●デザインコンペ「LIFE DESIGN信州2007」 発表・表彰式
<午後>
●基調講演
 「信州発サンクゼールのブランドづくり
~農・製・販・サービス一貫型モデルの歩み~」
 講師:久世良三氏(株式会社サンクゼール 代表取締役社長)
●プレゼンテーション
 「平成18年度信州ブランド力活用事業の調査報告
~観光と特産品のブランド資源の現状~」
 発表者:(株)インテージ長野 営業企画グループリーダー 矢澤伸也氏
●ミニセッション
「信州のブランドづくり、実践に向けた課題と解決策」
パネラー:
(株)サンクゼール代表取締役社長 久世良三氏
ブランドづくりネットワーク信州委員長 鈴木 進氏
長野県企業局企画課ブランド推進係 堀内昭英氏
(株)インテージ長野 営業企画グループリーダー 矢澤伸也氏
進行:
長野県デザイン振興協会事務局長 五味英紀氏
●招待講演
「ブランドづくりとアートディレクター ~魅力の見せ方、伝え方~」
講師:
水野 学氏(good design company代表 アートディレクター)
・交流会

信州ブランドアワード2007

~大賞・特別賞・入選作品~

大賞・特別賞・入選作品

(長野市にて開催した選考会の様子)
(長野市にて開催した選考会の様子)

 

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