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月刊中小企業レポート
更新日:2007/12/20

健康を考える

(続)むし歯もないのに歯が痛い。

健康を考える 前回(18年12月号)ではいろいろな原因で歯または顔に痛みを生じることがあることをお話しました。歯や顔の痛みは失恋、受験勉強、夫婦喧嘩、親の病気・介護そして死、子供の受験などあらゆることが原因になりえます。原因がなくなれば痛みも消えるのが一般的ですが、原因不明の歯または顔の痛みもいろいろあります。むし歯や歯周病ほど頻度は多くありませんが、すこし例を挙げてお話します。

■群発頭痛

 目の奥や上の奥歯に激痛がおこります。その痛みを患者さんは「目の中にやけ火箸を突っ込まれたような感じ」といい、耐え難い痛みにのた打ち回ります。痛みは1~2年に1度約1ヶ月間、1~3時間、1日に1回か2回周期的に現れます。病気によって痛みの程度はさまざまですが、これはまさに最大級の痛みです。また痛みを紛らわそうとお酒を飲むとさらに痛みがひどくなります。どちらか片方の目の奥や周囲に現れ、涙・鼻水・鼻づまり・目の充血・まぶたのはれなどがおきます。毎日ほぼ同じ時刻、夜中の2時とか明け方の4時とかに痛みだします。原因はわかっていませんが、目の奥にある血管が拡張して炎症を引き起こすため、目の奥が痛むようです。片頭痛が女性に多いのに対して圧倒的に男性に多い病気です。理由はわかりません。決定的な治療薬はありませんので予防が大切です。発作が起こりそうになったら窓を開け深呼吸をしたり痛むところを冷やしたりします(ほとんど気休めですが)。痛み止めも効きませんが予防薬はあります。「痛み外来」などの受診が必要です。

■非定型歯痛(非定型顔面痛)

 女性に多い病気で、急激なストレスにさらされたときに突然歯や顔に痛みが出ることがあります。CTやMRIなどの検査でも異常はなく、痛みをとるために歯の「神経」をとったり歯を抜いたとしても痛みはなくなりません。はっきりとした原因はわかりませんが、精神的ストレスを感じると歯の周囲の血管が充血して歯痛が起こる、または、嫌いな(?)歯科治療の際に歯の神経から脳へ痛みを伝える神経の伝達が混乱して原因不明の歯痛(非定型歯痛)が引き起こされる、といわれています。ですから歯科的な治療をいくら続けても痛みは消えません。原因がわからないために何軒もの歯科医院にかかっている患者さんも多いようです。原因はわかっていないのですが治療には「抗うつ薬」が有効です。しかし歯科では処方できませんので、医科・歯科の連携が必要になります。また、”わたくしは「うつ病」ではありませんから“と、服用を拒絶される患者さんもいらっしゃるようです。

■三叉神経痛

 顔面神経痛というのは誤り。顔や口の中の感覚を脳に伝える三叉神経という神経に病気があって顔に強い痛みの起こる病気です。原因は神経が圧迫されたり、炎症があったりすると起こります。その痛みは長時間続くことはなく、非常に短い一瞬の痛みです。後ろから誰かに豆粒をぶつけられたか、針でつつかれたような鋭い痛みを感じます。治療は内服が主ですが、血管が神経を圧迫している場合は圧迫を解除するための手術が必要になります。

■舌痛症

 舌がやけどをしたようにヒリヒリと痛みます。患者さんは40~50代の女性に多く男性との比率は8対1程度といわれています。原因は不明で、どちらかといえば几帳面な女性に多いようです。悪い病気ではないかと思い悩む人が多いのですが、何かに熱中しているときとか、食事中は痛みが出ないのが普通です。寝たときなど一人になると痛みが出やすいので、余計に「がん恐怖症」などに陥りやすいようです。この病気も「抗うつ薬」が有効です。まだまだ原因のわからない痛みが出る病気がありますが、あまり恐怖感を植えつけてはいけませんのでここで終了します。

 

長野県保険医協同組合
理事 鈴木信光
辰野町 鈴木歯科医院

 

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