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月刊中小企業レポート
更新日:2007/11/20

特集1 第59回中小企業団体全国大会

東京都「両国国技館」

特集1 第59回中小企業団体全国大会

連携 創造 発展

第58回中小企業団体全国大会が東京渋谷「渋谷C.C.Lemonホール」において開催 10月25日(木)、第59回中小企業団体全国大会が東京両国の「国技館」において開催されました。
 「連携創造発展」のキャッチフレーズのもと、甘利経済産業大臣をはじめ大勢の御来賓の臨席の中、長野県中央会関係者116名を含め全国より2,600名の中小企業者が参加し、盛大に開催されました。
 大会では、昨今の中小企業の現状を打破し将来に向け成長する中小企業となるべく中小企業に関する11項目の決議及び大会宣言が採択されました。
 併せて、表彰が行われ優良組合(33組合)、組合功労者(70名)中央会優秀専従者(30名)が表彰されました。
 なお、次回第60回中小企業団体全国大会は宮城県仙台市で平成20年11月20日に開催されることになりました。

 

宣言

 我が国の景気回復の状況は、地域・産業・企業規模などによる跛行性が大きく、地方経済と中小企業は依然として振るわず、多くの中小企業は受注量の減少、収益の低下に苦しんでおり、未だ景気回復を実感するには至っていない。
 さらに、米国経済の減速懸念が強まり、国内の経済指標も力強さを欠いていることから、景気にも不透明感が漂い始めている。
 このような状況下、我が国経済の活力の源泉、国の礎である中小企業は、将来に対する不安を払拭できないまま、日夜懸命の経営努力を重ねている。
 今まさに、中小企業が相互に経営資源を補完し、知識と技術を結びつけ、共同で事業を行う中小企業組合が力を最大限に発揮すべきときであり、様々な分野でこれらに対する期待が改めて高まっている。
 開廃業率の逆転現象が続く中、創業・起業を促進するとともに、再チャレンジが可能な社会の実現、新連携、新事業展開の推進などの視点から、中小企業連携組織対策を中小企業政策の中核として位置づけ、抜本的に強化すべきであり、これら事業の遂行を担う中小企業団体中央会に対する強力な政策支援を講ずべきである。
 景気回復を着実なものとし、その効果を広く中小企業に及ぼし、我が国経済社会に弾みをつけるため、政府は中小企業政策を中小企業組織を活かした方向に再転換させ、大胆にかつ強力に展開すべきである。
 本日、全国の中小企業団体の代表は、ここ首都東京に集い、「連携、創造、発展」を合言葉に第五十九回中小企業団体全国大会を開催し、我が国中小企業が時代のニーズに即応して積極的にその期待に応えていくうえで不可欠な重点要望を決議した。
 政府並びに地方公共団体は、全国四百三十万中小企業が、その活力を最大限に発揮し、希望と勇気を持って、明るい展望を切り拓いていくことができるよう、本大会が決議した事項を早急に実現すべきである。
 我々中小企業もまた、本日の大会を契機に、企業家精神をさらに発揮しつつ、中小企業組合のもとに相互の力を結集させ、希望と活力に満ちた新しい経済社会の創造に向け、大きく翔くことを期する。
 右宣言する。
平成十九年十月二十五日
第五十九回中小企業団体全国大会

県内各表彰

 

優良組合

長野県種苗生産販売協同組合
長野県佐久市臼田1709番地1
理事長:井出 公陽
設立年月日:昭和38年7月4日
組合員数:34人
主な共同事業
1. 種苗の共同購入
2. 教育情報事業
3. 福利厚生事業
  エスエス自動車整備協同組合
長野県岡谷市長地出早2丁目8番7号
理事長:高山 直久
設立年月日:昭和49年12月2日
組合員数:17人
主な共同事業:
1. 共同購入
2. 共同整備業務
3. 事務代行業務
  長野県砕石工業組合
長野県長野市若里4丁目8番47号
理事長:大林 和夫
設立年月日:昭和63年4月20日
組合員数:86人
主な共同事業
1. 指導教育事業
2. 採取計画認可申請時の保証書交付事業
3. 情報及び資料の収集と提供事業
中央会優秀専従者 赤木 祐子
中信事務所主事

 

第59回回中小企業団体全国大会スローガン

  1. 中小企業連携組織対策の充実強化
  2. 中小企業金融対策の一層の拡充
  3. 事業承継税制の抜本的確立等中小企業に配慮した税制の充実
  4. 中小企業の活力を活かす労働対策の推進
  5. まちづくりと中小商業対策の充実
  6. 独占禁止法改正による優越的地位の濫用等不公正取引の根絶

 

第58回中小企業団体全国大会決議

I.生産性向上を目指して頑張る中小企業に対する支援

1.中小企業対策・中小企業連携組織対策の拡充強化、組合制度のさらなる改善

 中小企業対策予算の大幅増額など、中小企業対策全体を拡充すること。
 国・地方公共団体は、中小企業連携組織対策を中小企業対策の重要な柱として位置付けを強化し、同対策の拡充・強化に万全を期すること。
 中小企業組合制度のさらなる改善のための検討を開始すること。

【具体的な要望事項】

  1. 中小企業対策・中小企業連携組織対策の拡充強化
      我が国中小企業が創業・経営革新・新連携に果敢に取り組んでいけるよう、中小企業対策予算の大幅増額など、中小企業対策全体を拡充すること。
      特に、地域経済の活性化を図るため、伝統工芸品をはじめとする地域資源を活用した新たな取組みに対する対策を一層拡充・強化するなど、地域中小企業対策全体を拡充・強化すること。また、中小製造業の競争力の維持・強化及び技術・技能の継承のため、中小企業のものづくり対策を一層拡充・強化すること。
      さらに、全国各地の中小企業が事業協同組合等の連携組織に結集して取り組む経営革新・新事業展開等を全面的に支援する中小企業連携組織対策について国・地方公共団体は、中小企業対策の重要な柱として位置付けを強化するとともに、同対策の実施を担う中小企業団体中央会の機能強化に万全を期すること。
  2. 中小企業組合制度のさらなる改善
      中小企業組合が創業、新連携等の受け皿として最大限活用できるよう、また、昨今の社会経済情勢の変化に適確に対応するため組合制度のさらなる改善のための検討を開始すること。

2.中小企業の情報通信技術(ICT)活用支援策の拡充

 中小企業の経営の効率化と生産性の向上を図るための有効な手段であるIT化を一層進展させるため、中小企業に対する情報化相談・支援、中小企業の情報担当者の育成、組合等が行う電子商取引システム開発等基盤整備への支援を拡充するとともに、個人情報保護法への対応、情報セキュリティ対策に対する支援策の創設、拡充を図ること。

【具体的な要望事項】

  1. 中小企業に対する情報化相談・支援、中小企業の情報システム担当者の育成支援等の支援事業を拡充するとともに、組合等が行う情報ネットワークシステムの構築やASP、SaaS型による業務用アプリケーションの企画・開発、提供などについての支援を拡充すること。
  2. 中小企業の取引コストの削減や生産性を高めるために有効な方策である電子商取引を拡大するため、標準化・共通化されたEDIシステムの方式を国が指定して推進するとともに、それを利用したシステムの構築を行う中小企業に対する支援策を創設すること。
  3. 個人情報を保護するため、組合等による業種・業態に応じた講習会の実施など、中小企業における個人情報保護の普及・対応の促進や情報セキュリティに対する支援を強化すること。。

3.中小企業の活力を活かす労働・教育政策の展開

 最低賃金の引上げには、生産性の向上や取引環境の改善による中小企業全体の底上げが不可欠であり、中小企業の経営実態や支払能力を無視した引上げは行わないこと。また、産業別最低賃金は早急に廃止すること。
 外国人研修・技能実習制度の見直しに当たっては、運用の適正化を図りつつ、現行の研修・実習制度の枠組みを維持・充実すること。
 学校教育において、中小企業とふれあう実践教育を一層強力に推進すること。
 中小企業の人材育成と人材確保への支援を強化するとともに、ジョブカード制度を推進すること。
 障害者の雇用について、中小企業が受け入れやすい環境整備を早急に行うこと。
 労働時間規制の適用除外制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入など積み残された労働基準法制の見直しを行うこと。
 中小企業におけるワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を促進するとともに、次世代育成支援対策を強化すること。
 雇用保険二事業関係の助成金制度について、要件の設定・緩和や手続きの簡素化など、活用面の見直しを行うこと。

【具体的な要望事項】

  1. 最低賃金制度の見直し
    1. 最低賃金については、はじめに引上げありきではなく、生産性の向上や取引環境の改善により、中小企業全体の底上げを実現し、支払能力を高めることが先決であり、中小企業の経営実態や支払能力を無視した引上げは行わないこと。
    2. 産業別最低賃金を早急に廃止すること。
  2. 外国人研修・技能実習制度の見直し
    1. 制度の周知徹底や、ブローカー等による悪用防止策を講じるなど、運用の適正化を図りつつ、現行の研修制度・技能実習制度の枠組みを維持するとともに、高度技能実習制度(再技能実習制度)の導入など、更なる制度の充実を図ること。
    2. JITCOの指導強化や、事業協同組合等による制度の適正実施のための取組み強化に対し、強力な支援措置を講じること。
  3. 中小企業とふれあう実践教育の推進
      小中高大の各学校段階において、「インターンシップ」や「日本版デュアルシステム」などをさらに充実させ、中小企業とふれあう実践的なキャリア教育を一層強力に推進すること。
  4. 中小企業の人材育成・人材確保への支援
    1. 「日本版デュアルシステム」や「実践型人材養成システム」の全国的な普及事業を強力に展開するとともに、産業・雇用・教育に係る政策連携の推進や、企業と教育機関等の連携強化への支援等を強力に行い、全国への定着を図ること。
          また、中小企業の受入れを促進するため、受入企業に対する助成金等の負担軽減策の充実や、制度の導入に向けて共同の取組みを行う事業協同組合等に対する支援を強力に行うこと。
       
    2. 「ジョブカード制度」を推進し、我が国への普及・定着を図ること。その推進に当たっては、中小企業が受け入れやすく、活用できる柔軟な制度とすること。
    3. 中小企業の従業員や後継者の能力開発を体系的に支援するとともに、中小企業の技術・技能継承のための取組みを強力に支援すること。
       
    4. 若年失業者やフリーター、ニートの総合的な就業対策を一層推進するとともに、中小企業における若年者の採用・確保への支援を強化すること。
  5. 障害者雇用の促進
      障害者の雇用について、中小企業が受け入れやすい環境整備を早急に行うこと。また、雇用率未達成の中小企業への障害者雇用納付金制度の適用については、障害者雇用の阻害要因となりかねないので、慎重に検討すること。さらに、事業協同組合等の活用により、中小企業が共同で障害者を雇用する仕組みについて検討すること。
  6. 労働基準法制の見直し
    1. 時間外労働の割増賃金の一律引上げは行わないこと。
    2. 自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く労働者について、労働時間規制の適用除外制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)を導入すること。その際は、中小企業においても活用できる現実的な制度とすること。
    3. 「企画業務型裁量労働制」についても、業務運用の弾力化や手続の簡素化、対象業務の拡大等を行い、中小企業においても有効に機能する制度に改善すること。
    4. 中小企業も活用できる解雇の金銭解決制度を導入すること。
  7. ワーク・ライフ・バランスの推進と次世代育成支援対策の強化
     中小企業におけるワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)や、次世代育成支援を促進するため、企業の子育て支援や働き方の見直しへの取組みを支援する各種助成金の整備・拡充や税制、金融面での優遇制度の創設のほか、「次世代育成支援対策推進センター」の支援機能の強化、さらに、事業協同組合等の活用による共同の取組みに対する支援制度の創設など、総合的な支援施策を講じること。
  8. 雇用保険二事業の見直し
     雇用保険二事業については、引き続き、徹底した目標管理による不断の見直しを行い、さらなる事業の合理化、歳出削減を進めること。また、助成金制度については、中小企業への制度の浸透を図るとともに、要件の設定・緩和、申請窓口の一本化、申請書類等の簡素化などの見直しを早急に行い、中小企業が活用可能な制度とすること。
  9. 特定退職金共済の法的整備
      適格退職年金の移換先として特定退職金共済を認め、早急に法的整備を図ること。
  10. パートタイム労働者の非課税限度額等の大幅引上げ
     パートタイム労働者の所得税・住民税の非課税限度額を大幅に引き上げること。また同時に、社会保険の適用年収基準も引き上げること。

II.公正な競争環境の整備

1.不当廉売等への厳正な対処と実効性の確保

 中小企業者の経営努力を無にする不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法や消費者の適正な商品選択を妨げる不当表示等の行為に対し、迅速かつ厳正に対処するとともに、実効性を確保する一層効果的な措置を講じること。

【具体的な要望事項】

  1. 不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法や不当表示、過大な景品提供等の独占禁止法及び景品表示法等の違反行為に対して、厳正かつ迅速な対処を行うこと。
  2. 不公正な取引方法を課徴金の対象とするとともに、差し止め請求について事業者団体訴訟制度を導入するなど、禁止規定の実効性を確保するための措置を講じること。

2.下請取引の適正化の推進

 下請取引の適正化を図るため、親(元請)事業者の優越的地位の濫用等の不公正取引に対する取締りを強化するとともに、下請事業者の適正な収益を確保するなど、ルールある取引環境づくりを推進すること。

【具体的な要望事項】

  1. 下請代金支払遅延等防止法や建設業法等の法令に沿って、下請取引の実態を調査・監視し、法令違反行為に対しては迅速・厳正・的確に対処するなど、親(元請)事業者の優越的地位の濫用等、不公正取引に対する取締りを強化すること。
  2. 原油・原材料価格高騰下に下請事業者が適正な収益を確保できるよう、取引価格の適正化等の万全な対策を講じるとともに、変容する下請取引環境に下請事業者が対応できるよう、実効ある経営基盤強化策を講じること。
  3. 「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の対象業種を拡大し、「建設業法令遵守ガイドライン」とともに周知徹底を図ること。

3.中小企業並びに官公需適格組合への官公需発注の増大実現

 国及び地方公共団体は、「官公需法」に基づき、地域中小企業者の経営基盤の強化を図るため、中小企業者並びに官公需適格組合への官公需発注をより一層増大すること。
 官公需適格組合の受注機会を確保するため、「入札ボンド制」「総合評価方式」の導入に当たっては、与信や実績等は組合員分を合算して行うこと。
 原油・原材料等の高騰を踏まえ、適正な積算根拠に基づいた予定価格を設定するとともに、大企業による低価格入札は不当廉売として捉え、必要な措置を講じること。

【具体的な要望事項】

  1. 中小企業者並びに官公需適格組合への発注増大と官公需施策の普及徹底
     各発注機関は、「平成19年度国等の契約の方針」に示された中小企業者向け発注目標額を上回る契約実績の確保に努めること。また、中小企業者向け発注目標額の中に官公需適格組合に対する発注目標を設定し、これを実行すること。さらに、官公需施策の普及徹底を図るとともに、地方公共団体に対し国と同様の「契約の方針」を策定するよう要請すること。
  2. 官公需適格組合の与信並びに実績等の適正な評価
     入札ボンド制度について、組合員の与信を合算して官公需適格組合の与信とすること。また、総合評価方式の導入についても組合員の技術力、施工実績等を合算して評価すること。さらに、ライフライン確保等地域社会への貢献実績についても評価し、官公需適格組合の受注機会の確保を図ること。
  3. 適正価格による発注
     国等の発注においても最低制限価格制度を導入するほか、低入札価格調査制度を厳格に運用すること。特に、大企業による低価格入札は不当廉売として捉え、必要な措置を講じること。また、予定価格の積算に当たっては、原油・原材料価格の高騰等に配慮し、中小企業の経営基盤を損なわない適正価格での発注を行うこと。
  4. 分離・分割発注の推進、地元中小企業者等の優先活用
     各発注機関は、可能な限り分離・分割発注の推進に努めること。また、地域経済活性化のため、地元の中小企業者並びに官公需適格組合を優先的に活用すること。
  5. 随意契約制度の活用
     各発注機関は、少額随意契約、組合随意契約等法令により実施が可能なものについては積極的な活用を図り、中小企業者並びに官公需適格組合の受注機会の増大を図ること。
  6. 国等の契約の方針について
     国等の契約の方針で定められている中小企業官公需特定品目の見直しを行い、中小企業者の実態に即したものとするとともに、役務については新たに「中小企業官公需特定業種」制度を設けること。また、官公需情報の収集・提供方法を抜本的に見直すとともに、必要な予算措置を講じること。
  7. 官公需適格組合制度について
     官公需適格組合の受注機会の確保を図るため、以下の項目について改善を図ること。
     
    1. 官公需適格組合について、地方公共団体においても国と同様の「総合点数の算定特例制度」を導入し、組合の評価を適正に行うこと。
       
    2. 建設業の官公需適格組合の監理技術者について、組合員企業からの在籍出向を認めること。
    3. 建設業の官公需適格組合の証明有効期間を3年間とすること。
    4. 官公需適格組合証明を有する建設業協業組合の点数について、30%の範囲内でプラス調整を可能とすること。
  8. 電子入札の導入について
     電子入札等の推進に当たっては、中小企業者の受注機会を損なうこととならないよう説明等の徹底を図ること。また、電子入札の導入が競争性を過度に助長しないよう配慮すること。
  9. 公共調達制度の見直し
     公共調達制度全体の見直し・改善を行い、価格だけでなく、品質・安全性の確保、地域経済の活性化、地元中小企業者の育成等も踏まえて総合的に受注者を決定する制度の導入を検討すること。

III.持続的発展を図るための政策の展開

1.事業承継税制の確立など中小企業の経営基盤強化のための税制の拡充

 中小企業経営者が経営に専心できるための抜本的な事業承継税制を確立するとともに、事業後継者への円滑な交代のための民法の遺留分制度の改善など事業承継環境を整備すること。
 中小企業の経営基盤強化を図るために中小企業関係税制を拡充するとともに、喫緊の課題である企業間格差の是正や中小企業の底上げのための支援組織である中小企業組合に関連する諸税制を拡充すること。
 財政再建のための拙速な消費税率の引上げの議論は行わないこと。

【具体的な要望事項】

  1. 事業承継税制・法制の確立と環境整備
    1. 包括的に事業用資産を事業後継者へ承継するため、相続税の非課税措置を柱とする中小企業のための事業承継税制を確立すること。
    2. 取引相場のない中小会社の株式等に係る評価方法を改善すること。
    3. 事業後継者への円滑な交代を図るため、事業承継のための相続法制を整備すること。
    4. 中小企業における後継者教育をサポートするための各種支援策を拡充すること。
  2. 適用期限が到来する中小企業関係税制の延長
    1. 中小企業投資促進税制(対象設備の拡大、税額控除制度に係る資本金要件の引上げ、特別償却率及び税額控除率の拡大を含む)
    2. 中小企業者等の少額減価償却資産の特例
    3. 中小企業技術基盤強化税制(税額控除限度額の引上げ等を含む)
    4. 創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰戻し還付措置
    5. 中小法人の交際費の損金算入の特例(損金算入限度額の引上げを含む)
    6. 経営革新計画を実施する中小企業者に対する特定同族会社の特別税率の不適用措置
    7. 人材投資促進税制(中小企業に配慮した制度の改善を含む)
    8. 情報基盤強化税制(対象の拡大を含む)
  3. 中小企業関係税制の拡充
    1. 法人税法上等の中小法人の定義の引上げ
    2. 中小法人に対する法人税の軽減税率の引下げと適用所得範囲の引上げ
    3. 中小個人企業に対する事業主報酬制度の創設
  4. 中小企業組合関係税制の拡充
    1. 企業組合、協業組合を含めた中小企業組合の法人税率の引下げ
    2. 火災共済協同組合の地震火災費用見舞金、地震見舞金に対する税制措置の創設等
  5. 拙速な消費税率引上げ議論に反対

2.中小企業金融対策の拡充

 構造変化や景気変動等の外部要因の影響を受けやすい中小企業を金融面から支援するため、政策金融改革における中小企業金融の維持・強化、担保や保証に依存しない融資慣行の確立に向けての取組み、信用補完制度の適正な見直しなど、中小企業金融対策を拡充すること。
 中小企業金融の円滑化と地域経済の振興・発展に極めて大きな役割を発揮している信用組合が、相互扶助による協同組織金融機関として今後もその機能・役割を効果的に果たすことができるよう、必要な措置を講じること。。

【具体的な要望事項】

  1. 平成20年10月以降民営化される商工中金及び統合後の日本政策金融公庫については、その役割・機能が引き続き十分発揮されるような措置を講じること。特に、商工中金の新体制への移行に際しては、既存の利用者や民間出資者の利益が侵害されたり、新たなコスト負担が生じることがないよう、必要な措置を確実に講じること。
  2. 不動産担保や人的保証に過度に依存しない融資慣行の確立に向けての取組みを強化すること。 また、信用補完制度における責任共有制度(部分保証等 )の導入に当たっては、中小企業に対する貸し渋りや貸し剥がしが再燃することのないよう、小規模企業や創業・再生等に取り組む中小企業などに配慮するなど、万全の措置を講じること。
  3. 独立行政法人の融資業務として見直しが行われた高度化事業(高度化資金貸付制度)については、環境変化に対応した適切な運営の改善を行うこと。
      また、中小企業倒産防止共済制度については、中小零細事業者の利便性向上のため、制度の充実を図ること。
  4. ゆうちょ銀行の業務のあり方については、地域経済や金融において混乱をきたさないよう、信用組合をはじめとする民間金融機関との公平な競争条件を確保する観点から、以下の措置を講じること。
    1. 信用組合等民間金融機関と公平な競争条件を確保するため、ゆうちょ銀行と郵便事業会社等との間の顧客情報を遮断すること。
    2. 完全民営化移行期間中の預入限度の引上げや撤廃は行わないこと。
    3. 完全民営化移行期間中の事業性貸出業務への新規進出は行わないこと。

3.まちづくりの推進と中小小売商業支援の強化

 「まちづくり」を推進するため、中心市街地活性化基本計画の認定を受けた中心市街地に対する支援を拡充すること。
 また、中心市街地以外の市街地に位置する商店街や共同店舗、個店についても、施策の拡充と新たな支援策の創設を行うこと。

【具体的な要望事項】

  1. まちづくり推進のための支援の拡充
    1. まちづくりを推進するため、「戦略的中心市街地中小商業等活性化支援事業補助金」など中心市街地活性化基本計画の認定を受けた中心市街地に対する支援を拡充するとともに、「まちづくり交付金」等の積極的活用を図ること。
    2. まちづくりを地域で一体的に推進するため、地方公共団体はもとより、地権者などの地元関係者、中小小売・サービス業者、地域住民等に対し、まちづくり三法に基づく新しいまちづくりについて普及・周知の徹底を図ること。
    3. 大型店や大資本チェーン店、地権者などに商店街組合等への加入や活動への参加を義務付け、地域交流、商業活動及び社会貢献等への積極的な協力を求める条例の制定を促進すること。
  2. 商店街・共同店舗及び個店への支援の拡充と新たな助成制度の創設
    1. 中心市街地活性化基本計画の認定を受けた中心市街地以外の市街地や商業集積を振興するため、商店街等が行う「少子高齢化等対応中小商業活性化事業」の一層の拡充を図ること。
    2. 来街(店)者の増加策、消費者の利便性向上のために商店街や共同店舗等が行う電子マネー、ICタグに対応した機器の設置、電子看板・広告に係る「ハード事業」、アプリケーションソフトの改良や保守費用を含めた「ソフト事業」に対する助成制度を創設すること。
    3. 商店街が設置したアーケード等の公共性の高い共同施設の保守・修繕及び解体・撤去費用に対する補助制度を創設すること。
    4. 商店街等共同施設の借入金償還に係る賦課金と減価償却費との差額(所得)への非課税措置、公共性の高い共同施設(アーケード等)資金の借入に伴う個人保証の免除等の弾力的運用制度を創設すること。また、公共的施設物(アーケード)に関わる道路占有料は全額免除とすること。

4.中小流通業・サービス業振興対策の充実

 中小卸売業、中小運輸業について、物流の広域化、品揃えの強化、情報システム化などを図るための総合的な経営革新への取組みに対する支援の充実を図ること。
 また、中小サービス業や生活衛生関係サービス業に対する生産性向上のための支援策を創設すること。

【具体的な要望事項】

  1. 中小流通業対策の強化
    1. 流通構造が激変する中で、中小流通業の機能強化を図るため、組合等が行う情報システムの構築、IT化促進及び共同事業推進等のための「物流効率化推進事業」等の支援策を拡充すること。
    2. 卸商業団地の組合員の倒産・廃業等によって生じた跡地について、組合員の円滑な入替え等ができるよう、組合が一時的に買い取る場合の借入金に関わる支援措置を講じること。また、不動産取得税、登録免許税、消費税等について軽減措置を講じること。
    3. 中小運輸業の健全で安定した経営を可能とするため、原油価格の高騰に対応した燃料に係る税率の見直し、高速道路利用料金の引下げ、環境規制に対応した車輌購入等新たな設備投資に対する助成等の対策を講じること。
    4. 改正道路交通法に基づく新たな駐車違反の取締りに当たっては、積み下し業務のための駐車スペースを確保し、物流活動に支障が出ないようにすること。
  2. 中小サービス業対策の強化
    1. 中小サービス業、生活衛生関係サービス業の生産性とサービスの質の向上を図るため、サービスプロセスの改善支援、研修制度の充実、金融・税制の整備、サービス業支援体制の強化等を図ること。
       
    2. 事業支援サービス、生活支援サービスなど、事業や地域の新たなニーズに応えるサービス業の起業や事業活動に対して、積極的な支援策を講じること。

5.持続的発展を可能とする経済社会の実現のための対策

 国・地方公共団体は、循環型社会への構築に向け、中小企業における環境・リサイクル対策に対する支援を強化すること。また、中小企業の技術・資金面等の負担に対する実情を十分に把握し、環境関連法令の制定・改正を行うとともに、運用においても中小企業が確実に対応できるよう、十分な配慮や支援を行うこと。
 原材料の内外価格差の是正・安定供給対策を講じること。
 自然災害等の発生による被災中小企業者に対する万全できめ細かな災害復旧・復興支援対策を講じること。
 中小企業組合を活用したBCP(緊急時企業存続計画)策定・運用の普及を図るとともに、金融・税制上の特別措置を講じること。

【具体的な要望事項】

  1. 環境・リサイクル対策支援、原材料の内外価格差の是正・安定供給対策
    1. 環境・リサイクル対策等に対する支援
      中小企業や組合が共同で取り組む廃棄物の削減及び処理のための設備導入や再生利用の技術開発等のシステム構築に対して、助成・融資等、各種支援策を講じること。
    2. 原材料の内外価格差の是正及び原材料の安定供給対策
      原材料の内外価格差の是正及び原材料の安定供給対策を行うこと。
      また、食に関わる農産物の安全性を確保すべく、安全・安心・良質な原材料を確保すること。
  2. 災害復旧・復興支援対策
    1. 自然災害等の発生による災害復旧等のための大規模な補正予算を早期に編成し、執行すること。
    2. 地域経済再建のため、風評被害防止へ万全の対策を期すとともに、中長期的な視野に立ったきめ細かな支援策を講じること。
    3. 国は、被災者の安全確保及び生活支援について以下について積極的に関与すること。
      ①交通の寸断で物資が十分に届いていない地域への対応
      ②電気、ガス、水道、交通などのライフラインの早期復旧
      ③「被災者生活再建支援法」の支給要件の緩和、一層の弾力的運用等による家屋倒壊などで財産を失った被災者への支援
      ④仮設住宅の整備などへの積極的対応
    4. 国の来年度予算編成に当たっては、地方に任せるだけでなく、国の責任において行うべき事業を明確にして、果敢に実行すること。
  3. 中小企業BCP(緊急時企業存続計画)策定支援対策
     国及び都道府県は、「災害に強い国・地域づくりの構築」及び「国・地域レベルでの危機管理体制の整備」に早急に取り組むとともに、中小企業が中小企業BCPを効率的に策定・運用できるよう、中小企業組合を有効に活用して普及促進を図るとともに、金融・税制上の特別措置を講じるなど、積極的な支援を行うこと。
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