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月刊中小企業レポート
更新日:2007/10/20

イノベーション

中小企業こそ、商品やサービス開発にチャレンジ

 国税庁から赤字法人の比率が発表されました。全国で約72%の法人が赤字であります。その中でも長野県が最悪で約79%と3年連続ワースト1位の申告状況です。納税の心配は無いかもしれませんが、2年連続赤字になりますと借金のある会社については、銀行側としては要注意先としての評価をせざるを得なくなります。多くの経営者は、銀行には利子も元金も払っているので迷惑をかけてないとおっしゃいますが、銀行側としては、要注意先に対しては貸出債権の3%から5%の貸倒引当金を積まないといけません。もし5千万円を銀行から借り入れしていて、2年連続赤字ですと銀行側としては150万円〜250万円の損失を計上せざるを得なくなるのです。これが、さらにランクが要管理先などへと悪くなっていくと積み増しが求められていきます。したがって、赤字をだすということは国にも法人税が入ってこないだけでなく、銀行にとってもマイナス要因となります。

 倒産状況を見ても、関東では0・9%ダウンですが北陸で80%アップを代表に格差社会のなぞらえ方どおり、都会が伸びても地方が伸びない、大企業が伸びても中小企業が伸びないといった地域間、業種間、規模間などの格差が非常に目立ち、地方の小さい伝統的な業種は総じて赤字が続き苦しく、限界に達しつつあるというのが現在の多くの中小企業の直面している状況です。伝統的なビジネスモデルが崩壊している一番は、中国などのアジア諸国の追い上げであり、日本の企業がそれ以上の革新を出来ていないことにあります。魅力的な商品、サービスを中小企業こそが開発していくべき時代の到来です。付加価値のある商品サービスを開発して自社提供出来なければ、赤字が継続する状態は解決出来ません。では、どのようにしたら魅力的な商品、サービスを開発できるのでしょうか?元ソニー会長の井深大氏は「重要なのは、発明よりも革新なのだ。その革新は実は、たわいもない夢を大切にすることから生まれる」と述べています。経済産業省が支援して大成功した中小企業の商品開発の成功例、二酸化炭素ドライアイスを噴霧するタイプの消火器開発も、最初から消火器を開発しようと思ったわけではなく、メッキ屋の経営者が「無公害のメッキ屋さんに成りたい」との想いからスタートしています。この二酸化炭素の消火器は電気製品やIT系は水に弱いので水を使わずに、かつ冷やしていくので二次災害の恐れも少ないという理由で大手自動車メーカーも採用を決めています(詳しくは、立教大学教授山口先生著『現場に解あり』を参照ください)。「尊敬される会社になりたい」でも何でも良いですから自分の夢と新たな人との出会いによって新しい付加価値が生まれるはずです。中小企業こそ商品やサービス開発にチャレンジしましょう。その要諦は、自分の夢と人脈の見直しにあるのではないでしょうか。

経営者の皆様、夢と人脈で新事業始めませんか!

 経営者の皆様、頭の中で描かれている夢(アイデア)が眠ったままになっていませんか?その夢を実現できる画期的な制度があります。それは、「新連携」です。
 この制度は、複数の異分野業者がお互いの強みを持ち寄り、アイデアを実現するため共同開発し、それを経済産業局が企画から市場に出るまで全面的に支援してくれるものです。ただ補助金を出すだけでなく販路開拓まで支援するところが今までにない特徴です。
 平成19年2月末現在では、全国で300件を超える新商品が開発されています。対象者は、中小企業者のみならず、大学、NPO等も含まれます。

(1) 新連携の3つの特徴

特徴その1…事業計画の策定から販路開拓まで支援
経済産業局に属する民間大手企業の出身者が、事業計画の策定段階から市場に製品やサービスが提供され事業が軌道に乗るまで、商品開発、販路開拓等の支援を行います。彼らの長けた交渉技術で中小企業者では難しい大手企業との交流も行ってくれます。
特徴その2…国のお墨付き
国の認定を受けるためのお墨付きがもらえ、さすがの大手企業もマネをしないようです。
特徴その3…補助金による支援
補助金は下表の2つに分けられます。

(2) 新連携の事例紹介

  1. 『消棒(しょうぼう)』瞬間小型消火器具
    『消棒(しょうぼう)』瞬間小型消火器具
     最先端のメッキ技術を有する(株)YPシステムが超精密加工部品洗浄に使用する高圧ガスの冷却能力に着目し消火器の製造に着手しました。しかし、自社の技術だけでは実現できないと判断し”新連携“の活用を決めました。
     設計担当のバルブメーカーやデザイン会社など計5社と連携することで、軽量・小型の新機能消火器『消棒』の誕生となりました。
     そして、国の販売支援により大手自動車メーカーとも取引ができ年間10億円の売上を確保しました。
     この消棒は、従来にない冷却機能を付与し、薬剤を使用しないためパソコン等の情報保全や電化製品等、水を嫌うOA機器を使用するオフィスや一般住宅にうってつけの商品です。
     ちなみにこの『消棒』を長野県で唯一、代理店契約している会社が安曇野市にある有限会社シマダです。
    有限会社シマダのホームページアドレス
    http://www.nagano-mall.jp/list.cgi?id=G002000300001

  中小企業者は、製造技術はありますがマーケティング=売れる仕組みがないと言われています。そのマーケティングを支援してくれるのが新連携です。
 経営者の皆様が思い描いている夢(アイデア)を自社だけで成し遂げることが難しい時は、多くの人脈と国が支援する新連携を活かして実現されてはいかがでしょうか。

※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。

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