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月刊中小企業レポート
更新日:2007/07/20

イノベーション

会計不信

 エンロン事件で、歴史と伝統のあるアメリカの大手会計事務所アンダースンが崩壊した事と同じ事が日本でも起きました。カネボウの不正会計事件で信用失墜し、中央青山監査法人から、みすず監査法人へと名称も変更し再スタートしたのですが、日興証券の不正会計事件で、今年の7月を目途に事実上解体する事になりました。松本市の偉大な会計士が、代表のときもあった大手会計事務所なので大変残念です。投資家や債権者が、その投資判断等の際に、最大の拠り所とする財務諸表が信頼できない状態だというのは、関係者は処罰されるべきですが、会計士がきちんと監査できる制度が整っていない部分も大きいと言われています。会計制度の根本が、問われる時代に日本も突入したという実感です。
 現在の会計制度は、今から500年前、中世イタリアのベニスの商人により開発され、文豪ゲーテが「人間精神のもっとも立派な発明の一つだ」と絶賛し、日本では福沢諭吉がアジアでは、いち早く本格導入しています。このゲーテ曰くの「人類最大の発明の一つ」の活用により経済社会は、発展してきました。会計の目的は、その組織体の経営状態、すなわち安全性や収益性などを関係者に公開し、信任を得る事にあります。自己責任の時代になり、いろんな組織について、自分で判断しなくてはいけない時代になったのに、その一番、判断のもととなる会計制度が、信頼できないようなモノでは困りますという社会的メッセージが現在の数々の会計を巡る事件なのかなと感じます。
 三井物産では、3年前から新入社員全員に日商簿記3級の取得を義務づけています。日商簿記3級の受験者数は2000年から増加し続けています。これは、経理現場で無い人たちが会計に目覚め活用しだしている事の現れだと思います。会計を一部の経理畑の人だけでなく、税金計算のためだけでもなく、日常の仕事や家庭やいろんな組織の様々な場面で会計の発想を活用していく時代の到来ではないでしょうか?

貯蓄率アップ!?

 貯蓄好きと言われた日本人ですが、アメリカからの外圧と高齢化の進展により貯蓄率が下がり続け、アメリカより高いにしても、ドイツやフランスなどには負けているのが現実です。
 この貯蓄ですが、『信用というものも貯蓄』だという概念があります。アメリカのフォーチュン誌、上位100社中82社をリーダーシップなどの指導をするコビー社のベストセラーの本、『7つの習慣』の中で『信頼残高』という定義で紹介されています。礼儀正しい行動、親切、正直、約束を守るなどの行動をとおして、信頼残高の蓄えが出来て些細なミスをしても許される事が多く良好な人間関係が継続しやすくなるのに対して、無礼な態度や無関心などの信頼残高を引き出す行動をするとやがて信頼残高が無くなり借金生活になり、攻撃しあう関係や全く無関心の関係などマイナスの関係に落ち入るのだそうです。企業や組織で言えば、あそこの商品・サービスなら安心という『ブランド』とも言えるのではないでしょうか?
 顧客満足度(CS度)調査を専門とするコンサルタントによると、顧客満足度を上げるには、まず従業員満足度(ES度)が上がらないといけないのだそうです。まずES度がアップすると、遅れてCS度が上がり、最後に売上が上がるのだそうです。顧客満足と従業員満足というのは、顧客と従業員からの信頼と言えると思います。したがって、収入を伸ばし貯蓄を増やすには、『信頼残高』を増やす事が一番大切だという事になるのだと思います。お金の収支と同様に、行動についても、信頼を得る事ができた行動なのか、逆に引き出したり借金する事になった行動なのかを振り返る習慣を持ちたいものです。

バリアフリー支援制度を賢く利用し安全な住宅を!!

 新聞等で高齢化という言葉をよく耳にします。長野県でも高齢化がすすんでおり人口の24.7%が65歳以上の高齢者と過去最高の数字となりました。一人暮らしや夫婦暮らしをしている高齢者が多く、家庭内での事故も増えており問題となっています。
 その事故を調査すると浴室内の事故や階段から転落するケースが目立ちます。そのため浴室、階段をバリアフリーへリフォームする方が増えています(下図参照)。
 バリアフリー工事は比較的低額のため多くの方が行っていますが、そんな方を支援する制度として今年4月に所得税を軽減するバリアフリー改修促進税制が創設されました。その他にも支援制度がありますので今回は、その支援制度をご紹介します。

バリアフリーへリフォーム

  1. バリアフリー改修促進税制
     バリアフリーのための借入金残高の2%を5年間にわたり所得税から控除できます。しかし、住宅ローン控除(借入金残高の1%)との併用ができないため選択適用となり、どちらが得か個々の所得によって異なるためシミュレーションが必要になります。
    (1) 対象となる工事(工事費用30万円超~)
     ① 廊下の拡幅
     ② 階段の勾配緩和
     ③ 浴室の改良
     ④ トイレの改良
     ⑤ 手すりの取り付け
     ⑥ 床の段差解消
     ⑦ 出入口の戸の改良
     ⑧ 床の滑り止め
    (2) 対象者
     ① 50歳以上
     ② 要介護又は要支援の認定を受けている者
     ③ 障害者である者
     ④ ②もしくは③に該当するもの又は65歳以上の者のいずれかと同居している場合
    (3)バリアフリー改修促進税制の軽減額
     例)借入金残高が500万円あった場合は所得税が10万円安くなります。
       500万円×2%=10万円
     
  2. 固定資産税が1/3減額
     平成19年4月1日から平成22年3月31日までの間に65歳以上の方、上記Ⅰ.(2)②又は③に該当する方が平成19年1月1日以前から存在していた家屋につき工事費用30万円以上(補助金等の部分を除きます)の一定の改修工事を行った場合には翌年分の固定資産税が1/3減額されます。
  3. 介護保険から18万円支給
     一定の改修工事を行った場合、工事費用(上限20万円)の9割が支給されます。ただし、要介護認定後でなければこの制度は適用できません。
     ※原則として受給者1人につき1回の適用ですが、要介護度が3階級以上あがる場合や転居した場合には再給付を受けることができます。
  4. 助成金の活用
     市町村によって受給金額や対象条件が異なります。例えば受付予定数など限られている所もありますので早めの申請が必要です。
     高齢化に伴い今後益々耐震工事やバリアフリー化の受注増加が予想されます。リフォームをしたいと考えているけれど思い切れない方も多いのではないでしょうか。リフォームを考えた際に最初に悩むのが「どこに相談しようか?」ということです。工務店等の方々はこういった個人の良い相談相手になりリフォームのニーズを発掘してみてはいかがでしょうか?
     高齢者や障害者だけでなく、妊婦や幼児などすべての人が無理のない生活が送れる快適な空間を創ってみてはいかがでしょうか。。
※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました
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