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月刊中小企業レポート
更新日:2007/07/20 |
ビジネスの視点
志高く、大地踏みしめて生きる(3)
開成経営学院理事長 滝澤恵一
未来をともに創るためには、ビジョンの実現に向かって、メンバーが動くように自己組織化(self organization)を促すことです。自己組織化とは、複雑系と呼ばれる分野では、よく使われる言葉ですが、個人、個の自発性が全体の秩序を生み出すというプロセスを創り出すことです。
ビジョン実現のために、メンバーに、自発的積極的に経営や業務に参加してもらうことです。共有されたビジョン実現のための計画はトップダウン的につくってしまうのではなく、メンバーが自発的に自らの計画をつくるようにすることです。
自らが自立しながらも、組織の中で、あるいは組織外の人とも協働することの大切さを気づくような環境を創り出すのです。メンバーが個性を発揮して、他の者とお互いに協働できるプロセスをつくることです。
メンバーに権限を与えて、意志決定ができるようにすることも必要です。権限が無ければ、意志決定できません。行動ができません。管理をするのではなく、自らが的確に活動できるように、育てるのです。
ビジョンの共有化を行った上で、情報の共有化を進めるのです。情報を共有化するには、情報を一人や少数の人が独占してしまうのではなく、トップダウン的な情報も、ボトムアップ的な情報も、組織横断的な情報も全体に伝わり、ファイルできる仕組みを創ることが求められます。そして、このファイルを活用できるようにすることです。
自己組織化をすすめるためには、メンバーが自主的に動くことができるように人間性と能力の成長を促す環境を創ることです。ものごとの考え方、具現化の仕方を習得させるのです。教育、研修をして、成長する機会をつくるのです。そのためには、メンバーにはテーマをもたせることです。テーマを意識して生きるようになると、情報の感受性が高まり他からの情報に敏感になります。
情報をお互いに活かして、協働して新しいものを創り出すと、組織にゆらぎを生じさせます。
このゆらぎが組織全体に影響をおよぼします。少しずつかもしれませんが、小さなゆらぎ、これが望ましいものならば、少しずつ、少しずつ大きくなり、組織全体に浸透していきます。組織が、新しい方向に向かって動き出します。
めざすことをイメージし、描いたら、後は、今やるべきことを積み上げていくことです。日常の仕事や次から次に生じることを片付ける。そうしていることによって、描いていたことが目に見えないなにかの縁で実現するのです。なるがままにありがたく生きていれば、時が実らせてくれるのです。あたりまえのことをやり続ける。今あることに感謝して、これらを活かし続ける。大きな成果をすぐに実現しようとして行動するよりも、時が実らせてくれることを信じて、自分ができることを積み重ねていくことです。
ドカーンと派手に打ち上げ花火を上げるように、一気に実現してしまったものは、その時にエネルギーを使い果たしてしまいます。それよりも、自分の人生観、経営観から生じた理想の実現を求めて、実際にできることをひとつずつ実現していく。
遠くをめざしながらも、足下からめざす道、歩む道を描いて、大地を一歩一歩踏みしめながら歩んでいく。
一見、平凡に見えることでも、理想に向かっての小さなステップを積み重ねていくことが大切です。今、ここから一歩一歩、歩むことです。志高く、大地を踏みしめて生きることです。
信州ビジネスコンサルタント協同組合顧問
中小企業診断士
滝澤恵一氏の「志高く、大地踏みしめて生きる」は今回で終了いたします。尚、10月号から3回に亘り関信一氏(信州ビジネスコンサルタント協同組合理事長)が執筆いたします。
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