MENU

 月刊中小企業レポート
> 月刊中小企業レポート

月刊中小企業レポート
更新日:2007/06/20

ビジネスの視点

志高く、大地踏みしめて生きる(2)

開成経営学院理事長 滝澤恵一

 「経営とは、ともにビジョンを語り合い共有し、このビジョンを実現するために、ともに行動して現実を変えていくことである。」
 経営理念とともに、会社の将来像をつくることも必要となります。経営ビジョンです。自分たちの会社がめざす将来像です。経営理念にしたがって経営し、事業を推進していくことにより、会社はどのようになるのか、あるいはどのようになることをめざすのか、ということを明らかにすることが経営ビジョンを描くということです。
 ビジョンの実現をめざして行動するとは、現実を変えるということです。理想の方向に向かって、今、目の前にあることを変えるということです。目の前の現実を変えることの連続により、理想に近づくことができるようになります。
 変えていく目の前のことは、何でもいいというものではありません。『荀子』がいうように、「着眼大局、着手小局」するのです。長く、広く将来を考え、イメージして描き、これを実現するために効果的なできること、小さなことから着手するのです。着眼大局、着手小局においては、布石を打つこと、種を蒔くことも大切です。めざす将来、実現する理想、志を持ったら、今は効果が現れないかも知れないけれども、その時が来たら現れてくるだろうと考えたことを、今、行っておくことです。
 さまざまな機会に行っておくことです。蒔いた種は、その時になれば縁が実らせてくれます。
先を読み、将来あわてなくてもいいように布石を打ち続ける、種を蒔き続けるということが、人生を実りあるものにしてくれます。
 ビジョンを描くためには、目標と方向を明らかにします。ビジョンですから、短期的なもの、すぐに実現できるものではありません。長期的、あるいは中期的な視点から自社の将来像を、めざす姿として描くのです。ビジョンは短期的な未来予測ではありません。長期的な未来の姿です。自分たちが、わが社がめざす姿です。
 このビジョンの実現をするために、マネジメントの機能である目標の明確化や行動プランなどの計画がなされていくのです。
 経営ビジョンがないと、何をやったらいいのかわからなくなってしまいます。
 経営者もマネジメントもスタッフ、メンバーも汗水流して仕事をしていても、毎日毎日、毎月毎月、毎年毎年、同じようなことの繰り返しで、より以上の会社とはなれないのです。
 経営理念に基づいた経営ビジョンがあるからこそ、この実現をめざして経営者はじめ社員は行動するのです。自分を磨くのです。経営理念や経営ビジョンに社員が共鳴することにより、心を一つとして社員が仕事をするのです。職務を遂行するのです。
 ビジョンを語るとは、未来予測を語ることではありません。長期的な未来は予測するものではなく、創るものです。経営も仕事も人の行為であり、人は意志を持つことができるのですから、ビジョンを語るとは、意志を語ることです。今よりも進化した未来という夢を語り、思いを語ることです。
 このビジョンの実現に向かって、プロセスを描き、人と経営資源を組み合わせて活かし、実践実行を積み重ねていくのです。
 社員が共鳴するビジョンができあがると、経営に新たなエネルギーが湧いてきます。自分たちがめざすものを持つことにより、人は活力に満ちてきます。

信州ビジネスコンサルタント協同組合顧問
中小企業診断士 

「ビジネスの視点」(6回掲載 5月号、6月号、7月号、10月号、11月号、12月号)は5月号、6月号、7月号の3回に亘り滝澤恵一氏が執筆いたします。尚、10月号、11月号、12月号は関信一氏(信州ビジネスコンサルタント協同組合理事長)が執筆いたします。

このページの上へ