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月刊中小企業レポート
更新日:2007/06/20

経営と労務管理

海外出張・派遣または海外旅行中の労災・健康保険の適用について

 日本の企業も海外に工場を設けるようになり出張や派遣が増えました。また旅行会社が海外旅行を格安で組んでいるため気軽に行けるようにもなりました。海外で仕事中怪我をしたとか病気になったとき労災保険や健康保険が適用されるのでしょうか。

労災の扱いについて

海外出張者
 「海外出張者」とは”単に労働の提供が海外にあるにすぎず、国内の事業場に所属していて、その会社の使用者の指揮に従って勤務する者“のことをいいます。万一海外で仕事中、事故を起こしたら労災保険が適用されます。また出張の全過程について事業主の支配下にあると考えられ、特別の事情がない限り全過程を業務行為とみることになります。具体的には出張である以上、車中はもちろん旅館に宿泊中といえどもこの間はなお業務行為中であるということです。この他、長期出張中の風土病とか食事の違いの事故もあります。「出張の過程における宿泊施設、取引先との取引上の会食等出張業務に必然的に付随すると考えられる食事が原因で中毒になったとするならば業務上として取り扱われる」という行政解釈もあります。
 主な業務内容は次のものをいいます。
 ①商談 ②技術・仕様等の打合せ ③市場調査・会議・視察・見学 ④アフターサービス ⑤現地での突発的なトラブル対処 ⑥技術習得 等のために海外に赴く場合。

海外派遣者
 「海外派遣者」とは”海外の事業場に所属し、その事業場の使用者の指揮命令に従って勤務する者“のことをいい、この場合は海外に行く前に労災保険に加入していかないと適用になりません。
 具体的な業務内容は次に通りです。
 ①海外関連会社(現地法人、合弁会社、提携先企業等)へ出向する場合 ②海外支店・営業所等へ転勤する場合 ③海外で行う据付工事・建設工事(有期事業)に従事する場合(総括責任者、工事監督者、一般作業員等として派遣される者)等。
 ですから海外派遣者は事前に労災保険に加入した方がよいでしょう(昭和52年4月より適用)。加入する人を第3種特別加入者といい給付基礎日額は3、500円から20,000円まで自由に選べますが現在の給料水準に見合った額に加入するのがよいと思います。
 保険料は4月から翌年3月までの1年単位となります。例えば6月から12月の7ヶ月間の派遣でも1年分納付します。日額10,000円に加入するということは月額30万円となり保険料は30万円×12月×0.5%=18,000円(年間)となります。
 長期派遣の場合は更新を忘れないようにしてください。補償内容は、業務災害、通勤災害とも国内の一般労働者と同じ扱いを受けます。ただし特別支給金のうち「ボーナス特別支給金」はありません。

 海外出張者または第3種特別加入者(派遣者)の海外赴任途中の事故、例えば行き帰りの飛行機、船等の事故は業務災害です。現地で戦争の巻き添えにあったとか、風土病、伝染病に罹ったときは特に業務内容と関連が深いと認められるものは前述した通り業務災害となります。

本文は松本市渚の竹内労務管理事務所(所長竹内良司社会保険労務士)のご好意により掲載させていただきました。

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