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月刊中小企業レポート
更新日:2007/05/20

健康を考える

住宅と住まい手の健康はかなり深い関係にあります。

健康を考える死亡や重大な後遺症に直結

 主に高齢者にみられる家庭内での転落(階段)・転倒(風呂)事故や、風呂場・トイレの寒さによって血圧の変動がおきるための脳卒中や心臓発作がよく知られています。

発がん性物質

 特定の建材に含まれていたアスベストのことは読者のみなさんの記憶に新しいと思います。一方、日本全国どこにでもみられる物質として放射性ガスのラドンがあり、崩壊してポロニウムになります(ロシアの元情報局員変死事件で使われた毒性の極めて高い物質)。ラドンは岩盤・土壌・むき出しになったコンクリートから発生しています。その室内濃度が高い場合に肺がんの発症リスクが高くなるとされており、特に最近の住宅は気密性が向上しているので、コンクリート基礎の床下から室内に空気が流れ込む構造で、居室の空気がよどみやすい場合は要注意です。

カビ

 住宅内の3大アレルゲンといえば、カビ、室内ペット、ダニです。住宅壁面や窓の断熱不良、石油ストーブやファンヒータの使用、また加湿器の過剰使用による結露や、室内に植物の鉢を多数置くことによって室内に深刻なカビ汚染を引き起こすことがあります。多くはアレルギー性鼻炎、時に副鼻腔炎を引き起こし、梅雨時から夏に咳が目立つ例やぜん息を発症する例もあります。

室内ペット

 室内犬、ネコ、ハムスターなどによって、アレルギー性鼻炎、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎の発症・悪化が年齢問わずみられます。飼育して数ヶ月以内の発症が多いのですが、もともとぜん息をもっていた人が飼育を始めた場合、原因として見落とされていることがあります。
 ペットの毛が主犯だと誤解されていることが多いのですが、ペットの体から発生するものすべてにアレルゲンが含まれているため、床に落ちた毛を掃除で取り除くだけでは効果がありません。ペットが移動する空間の壁面や家具・調度品の表面に目に見えないアレルゲン微粒子が付着しているため、どれだけ掃除をしても、また空気清浄機を使用しても取り除くことは不可能です。同じフロアに飼っている限り、病状の根本的改善は期待できません。

ダニ

 最近の住宅ではじゅうたんをあまり使用しなくなったことにより居間のダニはやや減少していますが、寝具の方は外に干す程度しか行われず、必要な対策はほとんど行われていないため、小児のぜん息発症を防げるほど低減されてはいません。ダニアレルゲンは、アレルギー性鼻炎の発症、アトピー性皮膚炎の治りにくさにかなりの頻度で影響しています。

住宅の寿命

 日本の住宅の寿命は25年前後で欧米の半分以下ですが、これは日本の住宅の品質の悪さとメンテナンスの不足が原因とされています。その結果、室内アレルゲンの増加や温熱環境の不良が生じています。特に長野県の暖房事情は国内の寒冷地の中では非常に立ち遅れた水準にあるといわれています。

長野県保険医協同組合
理事 蓑島 宗夫
(松本市 みのしまクリニック)

 

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