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月刊中小企業レポート
更新日:2007/04/20

トピックス東西南北

温泉は鮮度が命。
「ORP検査」温泉に科学のメス温泉を地域ブランド商品へ

野沢温泉で行われた源泉調査の模様。
野沢温泉で行われた源泉調査の模様。

 温泉って何だろう―。こんな素朴な疑問がいま温泉関係者の間で問い直されている。数年前、日本中を騒がせた「温泉偽装問題」はいまだに消費者の信頼を回復したとはいえず、国、県などの行政や業界の対応が注目されていた。
 こうした中、野沢温泉旅館ホテル事業協同組合(森行成理事長)は「ORP(酸化還元電位)分析」という新しい検査法を用いて温泉の本質に迫った。その結果、その源泉は日本屈指の「還元作用の強い温泉」であることが判明。同時に実施した大掛かりなモニター検査でも、肌の若返りを示す「アンチエイジング(抗老化)効果」を実証した。
 検査を担当したのは、水の権威者で知られる法政大学工学部大河内正一教授と㈱日本温泉総合研究所。野沢温泉の源泉21箇所と共同浴場(13箇所)、それに旅館・民宿などの宿泊施設28箇所。ほかに入浴効果を測定する肌モニター(約60人)検査。期間は3ヶ月におよぶ日本初の大掛かりな調査となった。

日本屈指の泉質を証明

 「ORP(酸化還元電位)分析」は、物質(温泉水)の酸化還元反応による電子の濃度(活量)変化を測定することによって「温泉の鮮度、新鮮さを測る」という新しい科学的手法。温泉が湧き出ている源泉と浴槽の湯口、そして浴槽の3箇所を同時に測ることによって、生まれたての源泉の泉質が損なわれることなく、そのまま浴槽を満たしているか。つまり源泉と浴槽が同じ温泉かどうか、鮮度が良好に保たれているかが分かる。いわば「温泉の健康診断」を図表に示すという画期的な方法だ。
 その結果、温泉街に点在する共同浴場(13箇所)はすべて”優良“。「源泉の性質が浴槽(湯船)でも極めて良好に保たれている」ことが証明された。また旅館ホテル・民宿では約70%が”認定“、同研究所から「還元系温泉の認定書」が交付された。「良好」と判定された施設は昔ながらの「源泉かけ流し」方式が多かった。
 もともと「酸化」と「還元」の相対する言葉は、金属と酸素の化学反応を示す。酸化とは金属ならば錆びること。生ものなら腐敗。人に例えれば老化(エイジング)する。温泉なら鮮度を失う劣化。物質が電位を失った状態をいう。
 しかし還元はこの反対。酸化を抑制する特性を持ち、人に例えれば”若返り“(アンチエイジング)や本来の姿(ナチュラル バランス)に戻す効果がある。物質が自然のまま「電位を獲得している状態」をいい、塩素など消毒剤を投入すると直ちに中和(還元)するほどの勢いがあって温泉力に優れる。

アンチエイジング効果

生源泉 その効果は、大掛かりな肌モニター検査でも確認された。人間の肌は歳を重ねるほど硬く、酸化が著しい。反対に若い人ほど艶があって柔らかい。10代から60代までの約50人のモニターが入浴前、入浴後の計測で約90%に「若返り。アンチエイジング効果」が判明、温泉のさまざまな人体効果が確認された。
 森理事長は、「やはり温泉は生きている。地表に湧き出た温泉水は時間の経過とともに酸素と反応して酸化(劣化)するので、常に新しい温泉を浴槽に注ぐことが大切だ。そして温泉の命はその鮮度、新鮮さにあるということが分かった。極論すると、何千年もの昔からそうであったように源泉かけ流しという素朴な方法が一番良い。温故知新だね」と感想を語る。
 また、国が指導する温泉の消毒については「還元系温泉には、塩素など薬品が効きにくく、温泉を酸化させる全国一律の塩素消毒は好ましくない。ORP結果も表示しながら温泉利用者の信頼を回復し、温泉を名実ともに地域ブランドに仕上げたい」と強調している。

お問い合せは

野沢温泉源泉かけ流しの会 事務局
野沢温泉旅館ホテル事業協同組合
〒389-2502
長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9521
TEL.0269-85-2056
FAX.0269-85-3149
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