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月刊中小企業レポート
更新日:2007/04/20

健康を考える

歯科インプラントを治療の選択肢に

健康を考える歯が抜けてしまったらどうしますか?

 歯を失う原因の80~90%はむし歯と歯周病であるといわれています。後の10~20%は歯の外傷(転んでぶつけたなど)や破折(長年の歯軋りで歯が割れてしまうなど)とのことです。歯を失う原因のほとんどを占めるむし歯と歯周病は、今ではきちっとした管理を行えばその発生率は極めて低く抑えることが可能となってきています。では、すでに失ってしまった歯はどう対処すればいいのでしょうか?歯が無くなった部分をそのままにしておいても差し支えない場合や、そのままにしておくと悪影響が生じてくる場合など、個別の状況によって違うので、担当の先生とよくご相談いただくことが必要ですが、ここでは無くなった歯を補う1つの方法として、最近話題になることが多い歯科インプラントをご紹介したいと思います。

歯科インプラントってどんなもの?

 歯科インプラントとは、チタン合金でできたスクリュー(太いネジをイメージしてください)を顎の骨の中に埋め込んで、それを根っこにしてその上に歯になる部分を連結して、歯を失って顎だけになってしまったところにまるで歯がもう一度生えてきたかの様にするものです。これには多くの場合2回の手術が必要で、その手術はまずインプラントを埋入する部分の歯肉を切開し骨を露出させ、そこに太さ3~5㎜(いろいろな太さがあります)の穴を一般的に10㎜以上の深さにドリルを使って開けて、そこにチタン合金のスクリューをねじ込んで埋めます。そして、切開した歯肉を元に戻し縫合し、1回目の手術は終了します。一般的に上顎では6ヶ月、下顎では3ヶ月程そのままにし、埋め込んだインプラントの周囲にしっかりと骨ができるのを待ちます。その後再度歯肉を切開し、インプラントに頭になる部分を連結し、歯肉を貫通させ必要な形態に歯肉の形を整え、切開した部分が治癒したところで歯になる部分を取り付けるといった手順となっています。ですから歯が入るまでの期間は手術から上顎で約7ヶ月、下顎で約4ヶ月程度かかるのが一般的です。最近では手術したその日に歯が入るタイプの歯科インプラントも出てきていますが、まだまだ学術的根拠が乏しいと危険視する声も多いのが現状で、その場合は担当の先生とよく検討していただき、よく理解した上で治療を受けられるべきと考えられます。

歯科インプラントはどんな人にもできる?

 歯科インプラントは手術が必要になりますので、基礎疾患つまり傷の治りに影響するような病気や心臓に負担がかかってはいけない病気の方などは注意が必要です。つまり糖尿病や狭心症、心筋梗塞を患ったことのある方などは、全身の状況をよく申告していただき担当の先生に手術が可能か判断してもらうことが必要です。その上で、歯科インプラントをしたい部分にインプラントの太さ、長さに対応した十分な顎の骨があるかどうかが問題になります。十分な骨が無い場合、骨を他の部分から持ってきて移植したり、骨を増大させる手術を行う必要があります。その場合手術の傷が大きくなったり、骨を取ってくる部分をインプラントの手術の傷とは別に手術する必要がでてきますので、手術後の痛みや腫れが強くなる可能性も考えておかなければいけません。

歯科インプラントはどれくらい持つの?

 歯科インプラントの歴史は約30年ほどで、予後(どれくらい持つか)が確認されているのはこの年数程度となります。今後どれくらい持つかは検討が続けられていくことになり、本当のところはまだわかっていません。ただ、皆さんが30年程度は必ずもちますというのではなく個別の患者さんによって、骨がしっかりしている人、しっかりしていない人、骨移植や骨を作る手術をした人、しなかった人、体に病気のある人、健康な人、歯軋りが強い人、歯軋りのない人、自分の歯がたくさん残っている人、そうでない人など条件が異なりますので、それによってどれくらいもつかは変わってきて当然ですので、その点も理解が必要です。また、大前提としてお口の中の衛生管理が十分にできている方であることも予後に重要です。大概の場合歯を失った原因がむし歯や歯周病ですから、お口の中の衛生管理に元々問題のある方が多いわけで、基本的な歯周病治療や虫歯の治療を受けた上で、ご自分のお口の中の衛生管理に関しての今までの習慣の改善や意識の向上が、歯科インプラントを長持ちさせる大きなポイントの1つとなります。

歯科インプラントを治療の選択肢に

 歯科インプラント治療は、比較的歴史の浅い治療方法であり、場合によっては手術し埋め込んだインプラントがうまく骨とくっつかず手術失敗となる可能性があったり、手術が成功して歯をとりつけて食事ができるようになったとしても、噛む力が強すぎたり、歯軋りで過剰な力が加わったり、お口の中の衛生状態が非常に悪い場合などに、長持ちしなかったりする可能性があります。その場合の対応や清算方法をあらかじめ確認しておくこと。自分にとっての必要性とそれに対するコストが妥当であるかなど、他の治療方法に関しても比較検討し、十分に理解した上でこの治療を選択していただくことが大切だと考えられます。
 以上、多少否定的な事柄もご説明しましたが、実際に歯科インプラント治療を受けられた方々、特に今まで入れ歯を使われていた方ではその使用感が全く違和感無く、まるで自分の歯がもう一度生えてきたかの様な感触で、非常に快適に過ごされていらっしゃることをお知らせしておきます。あなたも歯科インプラントを治療の選択肢に入れてみてはいかがですか?

長野県保険医協同組合 
理事 小塚 一芳
(茅野市 たんぽぽ歯科クリニック)

 

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