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月刊中小企業レポート
更新日:2007/04/20

イノベーション

問題設定能力、応用能力の大切さ

 自分自身を『変わり者』と自負する岡野工業の代表・岡野雅之氏が『変わり者』であることの大切さと難しさを、自分のお孫さんの例を題材に日経ビジネスに寄稿されていました。岡野社長は、痛くない注射針の開発や携帯電話のリチウム・イオン電池ケースの製造に成功したりと、伝説的な技術者で、その技術は世界中の企業のみならずNASAからも注目され続けているので、その名前を耳にした方も多いのではないでしょうか? 痛くない注射針のケースだとテルモが100社以上に依頼しても出来ない企画を、岡野社長は実現されています。
 その岡野社長の大学生のお孫さんですが、築地でアルバイトをしていたのだそうです。朝は早いし重労働だけど、ちっともきつくないと思っているのだそうです。なぜなら、将来、自分がサルベージ船(沈没などした船の救助を行う船)の船員になりたいから、そこで必要な人になるために、魚の扱い方などを覚えられる築地でのアルバイトが最高なのだそうです。技術を覚えるのなら、お金と時間を作って学校へ行くという考え方が普通の考え方だと思いますが、将来、何が必要とされるから、その経験や知識を今のうちにつけておこうと、人から指示されなくても気づくあたりが、さすが『人の出来ない事をするのがモットー』という岡野社長のお孫さんだと感じました。
 さらにすごいと感じたのは、サルベージ船の船員になろうと考えたときに、魚の扱い方や調理方法などといった直接、救助には必要ないけれども、船の上で必要とされるであろう技術を想定して身につけようという考え方です。ゴールド・ラッシュのときに一番儲けたのが、金を掘った人ではなく、金を掘りに来た人達にGパンを開発したリーバイス社であるという逸話を思い起こさせるような応用力だと思います。
 人間、何か問題に直面すると、その解決に必要な即効性のある手段(薬、学校、各種道具ツール、マニュアルなど)を追い求め、その問題ごとに手段が必要となってしまいます。生活が便利になっているので解決に必要な手段がすぐに手に入るので、日常の中に既に別の目的で存在しているモノやサービスを代用手段として考える力、応用能力というか問題設定能力、解決能力を磨く機会が逆に減っているのかもしれません。フォードが食肉工場を見て自動車の流れ作業による大量生産法を思いついたように、創意・工夫すること、違ったモノやサービスの中に共通点を見いだす力こそ経営者やリーダーにもっとも必要な能力ではないでしょうか?問題を自ら設定し、予測し、付加価値を想像できる人間に自らがなり、スタッフを啓蒙できる人間でありたいものです。

40年ぶりの減価償却大改正!!
~固定資産の購入は今年4月以降がお得!?~

 平成19年度の税制改正の目玉として、減価償却方法が大改正されたことが注目されています。その中でも一番注目されているものが減価償却資産の全額償却です。これまでは購入金額の95%までしか償却ができませんでしたが、平成19年4月以降に取得する資産については全額償却可能になります。その結果、固定資産を購入する時、耐用年数が短い資産になればなるほど今までより前倒しで償却できる額が増えて、利益や税金の負担が変わってきます。
 この改正が行われた背景として、欧米諸国では全額償却が一般的であることや、現在の日本で定められている耐用年数は実態より長いものが多く、耐用年数を過ぎた資産について5%を計上することは過大評価で実態にあっていないことなどがあるようです。
 今回は減価償却改正による利益、キャッシュフロー、税金への影響についてご紹介致します。

~資産の購入時期がポイント!!~

 減価償却の計算方法には定額法と定率法がありますが、今回の改正で見直しが行われました。特に定率法については大幅な変更になっているため、今年3月までに資産を購入するか4月以降にするかで、償却費や償却期間が大きく変わります。そのため利益や税金、キャッシュフローに影響がでます。今までの減価償却と比較すると以下のようになります。
 事例では4月以降に購入した場合、2年間で約15万円、今までより前倒しで償却ができます。また税率を40%と仮定した場合、キャッシュフローは約6万円の増加になります。
 コピー機やファックス、自動車などは耐用年数が4年~6年と短いため、購入時期についてご検討されてみてはいかがでしょうか。
 また、今回の改正で、既に持っている資産も最終的に全額償却できるようになりました。改正前の償却計算で95%まで償却を行い、残りの5%を5年間で均等償却することになります。
 その他、平成20年4月以降に契約するリース設備について資産計上を行い減価償却処理することや、来年度税制改正では耐用年数の見直しが検討されています。今後の動きに目が離せません。

 

減価償却費の比較事例:取得価額100万円、耐用年数5年の備品を購入し、   定率法で償却した場合   ①……平成19年4月以降に購入した場合の償却費   ②……平成19年3月までに購入した場合の償却費     ※ たて軸 償却額(単位:万円)

※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。

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