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月刊中小企業レポート
更新日:2007/03/20

健康を考える

ペインクリニックの話。

健康を考える皆さんはペインクリニックはどの様な治療をする所かご存じですか?ペイン=痛み、クリニック=医院の外来、すなわち疼痛外来ということになります。つまり色々な原因で起こってくる痛みの治療を行う所を意味します。腰痛や五十肩の治療も行うため、時々整骨院や鍼灸と間違えられますが、医師免許を持った医師が治療を行う医院です。主として麻酔科の医師が従事していますが、整形外科でも行います。時に内科、精神科の医師も参加する事があります。治療の対象となる疾患は非常に多岐に亘り、痛みばかりでなく神経麻痺、循環障害や、パニック障害、過呼吸症候群などのストレス症候群、また花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー性疾患などの治療に神経ブロックが用いられています。整形外科や内科などでは鎮痛薬やその他の内服薬、また理学療法などで治療を行うことが多いですが、麻酔科の医師はこれら痛み以外の疾患も神経ブロックで治療を行うことが多いのが特徴です。また上記の、痛み以外の疾患の治療は麻酔科医の居るペインクリニックで行われます。
 「神経ブロック」は簡単に言えば、「局所麻酔」のことです。その違いは、麻酔がその後に手術侵襲が加わるので高濃度の局所麻酔薬を大量に用いなければならないので、患者さんに対する影響が強いのに、ブロックは弱い局所麻酔薬を用いるだけなので人体への影響は殆どありません。
 「麻酔」と聞くと、サッと顔色を変える方が大勢おられます。「麻酔」=「死」の方程式が皆さんの頭の中にインプットされているようですが、「麻酔」は本来、手術の侵襲から身体を守る働きをするもので、決して「死」をもたらすものではありません。麻酔なしで手術をやられたら大変な苦しみをもたらします。よい麻酔を受けたら、手術中は勿論のこと、術後も全く痛みを感ずることなく快適に過ごせます。麻酔は本来安全なものなのです。時たま事故の起きることがありますが、貴方が交通事故に遭う確率よりずっと低いものなのです。そのような方でも恐れずにペインクリニックでの治療を受けてみて下さい。痛みがとれる事がどんなに快適なことか分かると思います。

気軽にペインクリニック さて痛みの治療ですが、単なる頭痛肩凝り腰痛から癌の痛みまで、懐の痛みを除くあらゆる痛みに対応します。特に帯状疱疹による痛みはペインクリニック以外では治療できないと言ってもよいでしょう。
 神経の麻痺に何故神経ブロックが効くのでしょうか。血管を拡張させて血流を改善させる作用があるからです。血流が改善する事により、炎症のため起こっている神経の浮腫がとれその機能が回復するからです。ストレス症候群などへの効果は過緊張状態にある交感神経をブロックする星状神経節ブロックを行うことにより得られます。
 アレルギー状態のときには交感神経は過緊張状態になっていて、これがリンパ球減少と関連しています。交感神経をブロックするとリンパ球が増加することが知られています。そしてリンパ球が増加することによりアレルギー状態が改善されるのです。
 このように、ペインクリニックで用いている神経ブロックは痛みを取るだけのものではなく、現代医学で治療に難渋する色々な疾患にも効果が期待できる手段なのです。麻酔の注射は怖いとか痛いとかいって毛嫌いせず、気軽にペインクリニックを訪れてほしいものです。

 

長野県保険医協同組合 
監事 萱場 泓郎
(萱場医院ペインクリニック)

 

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