ホーム > 月刊中小企業レポート > 月刊中小企業レポート(2007年3月号) > 特集 新しい中小企業組合制度の概要
MENU

 月刊中小企業レポート
> 月刊中小企業レポート

月刊中小企業レポート
更新日:2007/03/20

新しい中小企業組合制度の概要
~中小企業組合制度が改正されました~

 平成19年4月1日から中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律(平成18年6月15日、平成18年法律第75号)が施行されます。また、この改正された法律を施行するための関係政省令等も施行されます。
 これにより、中小企業等協同組合法に規定する事業協同組合・連合会、事業協同小組合、火災共済協同組合・連合会、企業組合、中小企業団体の組織に関する法律に規定する商工組合・連合会、協業組合の運営方法が大きく変わりますので、改正法及び政省令の内容をご理解いただき、適切に対応することが必要です。

改正法の概要を3月号、4月号、5月号の3回に亘って順次掲載します。

I.一般組合が対応しなければならない改正点(一般組合改正点)

  1. 決算関係書類等の作成・手続の明確化

    決算関係書類等に関する手続が明確化されました
     これまで、理事は、①通常総会の1週間前までに決算関係書類を監事に提出しなければならない、②通常総会の1週間前までに決算関係書類を主たる事務所に備え置かなければならない、とされていました。
     今回の改正により、
    ①決算関係書類(及び事業報告書)は、監事の監査を受けた上で理事会の承認を受けなければならない
    ②理事は、理事会の承認を受けた決算関係書類、事業報告書及び監査報告を、通常総会の通知とともに組合員に提供しなければならない
    ③組合は、通常総会の2週間前までに決算関係書類及び事業報告書を主たる事務所及び従たる事務所(従たる事務所へは写し)に備え置かなければならない、とされました。

    決算関係書類を通常総会の招集通知と併せて組合員へ提供する必要があります

     これまでは通常総会の招集に当たっては会議の目的たる事項、すなわち議案を示すことで足りていましたが、平成19年4月以後に通常総会の招集通知を発出するに当たっては、決算関係書類と事業報告書、監査報告を併せて提供(書面の場合は郵送)しなければならないことに留意する必要があります。したがって、決算関係書類、事業報告書は事業年度終了後に、できるだけ早く作成することが必要です
     また、監事は、組合から決算関係書類(業務監査権限を有する監事は事業報告書を含む)を提供されてから原則4週間を経過した日までに監査報告を行う義務が課せられます。
     このこと及び通常総会の2週間前までに決算関係書類及び事業報告書を事務所へ備え置くことが義務づけられたことから、年度末終了後に速やかに決算関係書類、事業報告書を作成する必要があります。
     ただし、監事が決算関係書類(業務監査権限を有する監事は事業報告書を含む)の提供を受けてから4週間を経過する日以前に監査報告を行うことは可能です。このため、監事の監査能力と監査に要する実際の期間を見極め、関係書類の作成期限を予め決定することが肝要です。
     以上を踏まえて、決算関係書類(及び事業報告)の監事への提出時期、理事会の開催時期、通常総会の通知とともに決算関係書類及び事業報告書を組合員に提供する方法等について、個々の組合で検討することが必要です。
     なお、組合員全員の同意がある場合には、総会の招集手続を省略することができますが、この場合には招集手続そのものを行う必要がないことから法令上、決算関係書類、事業報告書を組合員に事前に提供する必要はありません。
     また、事前に提供することが必要なものは、決算関係書類、事業報告書であり、通常総会の議決を要することとなっている収支予算や事業計画などは事前提供の対象になっていません。以上の改正内容を踏まえた通常総会招集の流れは次のとおりです。

<平成19年4月以後に招集される通常総会の手続きフロー図>

「決算関係書類「事業報告書」の作成」
組合は「決算関係書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案は、損失処理案」及び「事業報告書」を作成しなければならない(40条② 。) )

監事への「決算関係書類「事業報告書」の提出」
・組合は「決算関係書類「事業報告書」について、監事の監査を受けなければ、」ならない(40条⑤ 。)
・監事は、受領した「決算関係書類「事業報告書」について、監査方法・内容等」を記した監査報告を作成し、理事に対し「決算関係書類「事業報告書」の【※1】、」全部を受領した日から4週間経過した日、もしくは理事との合意により定めた日のいずれか遅い日 【※2】までに監査報告の内容を通知しなければならない(規則91 条① 。)

【※1】:監事の監査権限を会計に関するものに限定した組合の監事は、「事業報告書」の監査権限がないことを明らかにした監査報告を作成しなければならない。
【※2】:監査期限は、監事と理事の合意があっても4週間を下回る期間を予め定めることは不可(ただし、4週間を下回る日までに監事が理事に監査報告を通知すれば、その時点で監査を受けたこととなる。)

理事会招集通知の発出【※3】
理事長は、理事会の会日の1週間前【※4】までに、各理事【※5】に対し、理事会招集 通知を発出しなければならない(36条の6⑥ 。)

【※3】:理事(監事に業務監査権限を付与している組合は、理事及び監事)全員の同意があれば招集手続の省略可(36条の6⑥において準用する会社法368条②)
【※4】:短縮可(これを下回る期間を定款で定めた場合はその期間(36条の6⑥において準用する会社法368条①)
【※5】:監事に業務監査権限を付与している組合は、各監事に対しても発出しなければならない(36条の6⑥において準用する会社法368条①)
 
理事会の開催
理事会では、通常総会の開催及び議案の議決をするとともに(49条② 、監事の)監査を受けた「決算関係書類」「事業報告書」の承認を行う(40条⑥)。
 
 
「決算関係書類」「事業報告書」の備置き
組合は、通常総会の会日の2週間前までに「決算関係書類」「事業報告書」を、主たる事務所に、それらの写しを従たる事務所に備え置き、組合員の閲覧に供する(40条⑩・⑪ )。
 
 
総会招集通知の発出【※6】・「決算関係書類」「事業報告書」「監査報告」の提供
理事長は、通常総会の会日の10日前【※7】までに組合員に到達するよう、総会招集通知を発出する(49条① )。総会招集通知には、議案のほか、会議の日時、場所等会議の目的たる事項を示すとともに理事会の承認を受けた「決算関係書類」、「事業報告書」及び「監査報告」を添付し、組合員に提供しなければならない(40条⑦ 。)

【※6 】:組合員全員の同意があれば招集手続の省略可(49条③)(この場合、招集通知発出の際に必要な添付書類も不要)
【※7】:短縮可(これを下回る期間を定款で定めた場合はその期間(49条①))

通常総会の開催

〈定款参考例〉

(理事会の招集手続)

第○条理事会を招集する者は、理事会の日の1週間前までに、各理事に対してその通知を発しなければならない。

  1. 前項の規定にかかわらず、理事会は、各理事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
  2. 本組合は、希望する理事に対しては、前項の規定による理事会招集通知を電磁的方法により行うことができる。

(注1)
 理事会の招集手続については、1週間を下回る期間を定款で定めることができる。
(注2)
 監事に理事の業務監査権限を与える組合は、第1項及び第2項中の「各理事」を「各理事及び各監事」に書き換えること。

(総会の招集)

第○条総会は、通常総会及び臨時総会とする。

  1. 通常総会は毎事業年度終了後○月以内に、臨時総会は必要があるときはいつでも、理事会の議決を経て、理事長が招集する。

(注)
 通常総会の開催時期に関する組合法上の規定は存在しない。多くの組合では「毎事業年度終了後2月以内に通常総会を開催する旨」を規定しているが、これは法人税法上の確定申告の期限との整合性から規定しているものと考えられる。したがって、法人税法第75条の2(確定申告書の提出期限の延長の特例)及び法人税基本通達17-1-4(申告書の提出期限の延長の特例の適用がある法人)に該当する場合であって、確定申告の提出期限の延長が可能な場合には、毎事業年度終了後3か月以内に招集する旨の規定を置くことが可能である。

※参考

法人税法

(確定申告書の提出期限の延長の特例)

第75条の2 第74条第1項(確定申告)の規定による申告書を提出すべき内国法人が、会計監査人の監査を受けなければならないことその他これに類する理由により決算が確定しないため、当該事業年度以後の各事業年度の当該申告書をそれぞれ同項に規定する提出期限までに提出することができない常況にあると認められる場合には、納税地の所轄税務署長は、その内国法人の申請に基づき、当該各事業年度の申告書の提出期限を1月間(特別の事情により各事業年度終了の日の翌日から3月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されないことその他やむを得ない事情があると認められる場合には、税務署長が指定する月数の期間)延長することができる。

  1. 前項の申請は、同項に規定する申告書に係る事業年度終了の日までに、当該申告書の提出期限までに決算が確定しない理由、同項の指定を受けようとする場合にはその指定を受けようとする月数その他財務省令で定める事項を記載した申請書をもつてしなければならない。
  1. 前条の規定は、第1項の規定の適用を受けている内国法人が、当該事業年度(前項の規定の適用に係る事業年度を除く)につき災害その他やむを得ない理由により決算が確定しないため、第一項に規定する申告書を同項の規定により延長された提出期限までに提出することができないと認められる場合について準用する。この場合において、同条第2項中「申告書に係る事業年度終了の日の翌日から45日以内」とあるのは「申告書の提出期限の到来する日の15日前まで」と、同条第5項中「申告書に係る事業年度終了の日の翌日から2月以内」とあるのは「申告書の提出期限まで」と、同条第7項中「内国法人は、同項」とあるのは「内国法人は、第75条の2第6項において準用するこの項の規定による利子税のほか、第1項」と「当該事業年度終了の日の翌、日以後2月を経過した日から同項」とあるのは「同条第1項の規定により延長された当該申告書の提出期限の翌日から第1項」と読み替えるものとする。

〈法人税基本通達〉

(申告書の提出期限の延長の特例の適用がある法人)

17-1-4 法第75条の2第1項《確定申告書の提出期限の延長の特例》に規定する「その他これに類する理由」により決算が当該事業年度終了の日から2月以内に確定しない法人とは、次のような法人をいう。(昭50年直法2-21 36 により追加平11年課法2-9 二十四により改正)

  1. 会計監査人の監査を必要としないが、定款において事業年度終了の日から3月以内に株主総会を開催する旨を定めている法人
  2. 保険業法第11条《株主名簿の閉鎖の期間等》の規定により、事業年度終了後4月以内に株主総会を開催することが認められている保険株式会社
  3. 外国法人で、その本社の決算確定手続が事業年度終了後2月以内に完了しないもの
  4. 外国株主との関係で、決算確定までに日数を要する合弁会社
  5. 会社以外の法人で、当該法人の支部又は加入者である単位協同組合等の数が多いこと、監督官庁の決算承認を要すること等のため、決算確定までに日数を要する全国組織の共済組合、協同組合連合会等

(総会招集の手続)

第○条総会の招集は、会日の10日前までに到達するように、会議の目的たる事項及びその内容並びに日時及び場所を記載した書面を各組合員に発してするものとする。また、通常総会の招集に際しては、決算関係書類、事業報告書及び監査報告を併せて提供するものとする。

  1. 前項の書面をもってする総会招集通知の発出は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知を受ける場所を本組合に通知したときはその場所)に宛てて行う。
  2. 第1項の規定による書面をもってする総会招集通知は、通常到達すべきであったときに到達したものとみなす。
  3. 本組合は、希望する組合員に対しては、第1項の規定による総会招集通知及び決算関係書類、事業報告書及び監査報告の提供を電磁的方法により行うことができる。
  4. 前項の通知については、第2項及び第3項の規定を準用する。この場合において、第2項中「総会招集通知の発出は」とあるのは「総会招集通知の電子メールによる発出は」と、同項中「住所」とあるのは「住所(電子メールアドレスを含む」と。)読み替えるものとする。
  5. 電磁的方法について必要な事項は、規約で定める(以下同じ。)
  6. 第1項の規定にかかわらず、本組合は、組合員全員の同意があるときは招集の手続を経ることなく総会を開催することができる。

(注1)
 役員選挙について候補者制をとる組合にあっては、第6項を第7項とし、第5項の次に次の1項を追加すること。

  1. 総会において、役員の選挙を行う場合には、第1項の通知書に、第32条第6項の規定により届出のあった立候補者及び被推薦者の氏名を記載しなければならない。

(注2)
 役員の選出について選任の方法をとる組合にあっては、第6項を第7項とし、第5項の次に次の1項を追加すること。

  1. 総会において、役員の選任を行う場合には、第1項の通知書に第32条第2項の規定により推薦された候補者の氏名を記載しなければならない。

(注3)
総会の招集については、会日の10日前を下回る期間を定款で定めることができるので、10日前を下回る期間とする場合には、当該日数を記載すること。

〈中協法〉

(決算関係書類等の提出、備置き及び閲覧等)

第40条組合は、主務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。

  1. 組合は、主務省令で定めるところにより、各事業年度に係る財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案(以下「決算関係書類」という)及び事業報告書を作成しなければならない。
  2. 決算関係書類及び事業報告書は、電磁的記録をもつて作成することができる。
  3. 組合は、決算関係書類を作成した時から10年間、当該決算関係書類を保存しなければならない。
  4. 第2項の決算関係書類及び事業報告書は、主務省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。
  5. 前項の規定により監事の監査を受けた決算関係書類及び事業報告書は、理事会の承認を受けなければならない。
  6. 理事は、通常総会の通知に際して、主務省令で定めるところにより、組合員に対し、前項の承 認を受けた決算関係書類及び事業報告書(監査報告又は次条第一項の適用がある場合にあつては、会計監査報告を含む)を提供しなければならない。
  7. 理事は、監事の意見を記載した書面又はこれに記載すべき事項を記録した電磁的記録を添付して決算関係書類及び事業報告書を通常総会に提出し、又は提供し、その承認を求めなければならない。
  8. 理事は、前項の規定により提出され、又は提供された事業報告書の内容を通常総会に報告しなければならない。
  9. 組合は、各事業年度に係る決算関係書類及び事業報告書を通常総会の日の2週間前の日から5年間、主たる事務所に備え置かなければならない。
  10. 組合は、決算関係書類及び事業報告書の写しを、通常総会の日の2週間前の日から3年間、従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、決算関係書類及び事業報告書が電磁的記録で作成されている場合であつて、従たる事務所における次項第3号及び第4号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として主務省令で定めるものをとつているときは、この限りでない。
  11. 組合員及び組合の債権者は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該組合の定めた費用を支払わなければならない。
    (1)決算関係書類及び事業報告書が書面をもつて作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
    (2)前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
    (3)決算関係書類及び事業報告書が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を主務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
    (4)前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて組合の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

〈中協法施行規則〉

(監事の決算関係書類に係る監査報告の内容)

第89条監事は、決算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。

(1)監事の監査の方法及びその内容
(2)決算関係書類(剰余金処分案又は損失処理案を除く。)が当該組合又は中央会の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見
(3)剰余金処分案又は損失処理案が法令又は定款に適合しているかどうかについての意見
(4)剰余金処分案又は損失処理案が当該組合又は中央会の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるときは、その旨
(5)監査のため必要な調査ができなかつたときは、その旨及びその理由
(6)追記情報
(7)監査報告を作成した日

  1. 前項第6号に規定する「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、監事の判断に関して説明を付す必要がある事項又は決算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。
     (1)正当な理由による会計方針の変更
     (2)重要な偶発事象
     (3)重要な後発事象

(監事の事業報告書に係る監査報告の内容)

第90条監事は、事業報告書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。

(1)監事の監査の方法及びその内容
(2)事業報告書が法令又は定款に従い当該組合又は中央会の状況を正しく示しているかどうかについての意見
(3)当該組合又は中央会の理事の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があつたときは、その事実
(4)監査のため必要な調査ができなかつたときは、その旨及びその理由
(5)監査報告を作成した日

  1. 前項の規定にかかわらず、監査権限限定組合(法第27条第8項に規定する組合をいう)の監事は、前項各号に掲げる事項に代えて、事業報告書を監査する権限がないことを明らかにした監査報告を作成しなければならない。

(監事の監査報告の通知期限等)

第91条特定監事は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定理事に対し、第89条第1項及び前条第1項に規定する監査報告の内容を通知しなければならない。

(1)決算関係書類及び事業報告書の全部を受領した日から4週間を経過した日
(2)特定理事及び特定監事の間で合意により定めた日があるときは、その日

  1. 決算関係書類及び事業報告書については、特定理事が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監事の監査を受けたものとする。
  2. 前項の規定にかかわらず、特定監事が第1項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、決算関係書類及び事業報告書については、監事の監査を受けたものとみなす。
  3. 第1項及び第2項に規定する「特定理事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。
    (1)第1項の規定による通知を受ける者を定めた場合当該通知を受ける者として定められた者
    (2)前号に掲げる場合以外の場合監査を受けるべき決算関係書類及び事業報告書の作成に関する業務を行つた理事
  4. 第1項及び第3項に規定する「特定監事」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。
    (1)第1項の規定による通知をすべき監事を定めた場合当該通知をすべき者として定められた者
    (2)前号に掲げる場合以外の場合すべての監事

  1. 役員(理事・監事)の任期の変更

    役員(理事、監事)の任期が変更されます
     理事の任期は、これまでの「3年以内で定款で定める期間」から「2年以内で定款で定める期間」に変更されます。
     監事の任期は、これまでの「3年以内で定款で定める期間」から「4年以内で定款で定める期間」に変更されます。

    理事の任期が3年である組合は任期の短縮(定款変更が必要)が必要です
     現在、定款で理事の任期を「3年」と規定している組合は、法施行後はそのままであると法違反となりますので「2年」に定款変更する必要があります。

    監事の任期の延長(定款変更が必要)が可能となります
    監事については、今回の法改正で監事の権限強化の観点から「4年以内で定款で定める期間」に任期が延長されています。こうした点を踏まえ、各組合で監事の任期を定めてください。ただし、現行の法規定では「3年以内で定款で定める期間」とされていることから、組合では「1年」、「2年」、「3年」のいずれかの任期が定款に規定されて、いると考えられ、これらは「4年以内で定款で定める期間」に該当します。このため、監事については定款を変更せずに現在の任期のままであっても法違反になりません。いずれにしても、理事の改選期と監事の改選期をどのように設定するか(例えば、理事の任期を2年とし、監事の任期を3年のままとした場合、理事と監事の改選期が一致しないこととなります)等を踏まえ、監事の任期をどのようにするか検討する必要があります。

    役員の任期の変更のタイミングを考える必要があります
    上記の任期変更に関しては改正法には「この法律の施行の際現に存する協同組合の、役員であって施行日以後最初に終了する事業年度に係る決算に関する通常総会の終了前に在任するものの任期に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による」という経過措置が置かれています。
     理事の任期が3年である場合や監事の任期を4年にしようとする場合は、事業年度や現在の理事、監事の改選時期によって任期を変更しなければならない時期が異なりますので注意が必要です。
     事業年度が4月に始まり翌年の3月に終わる組合の場合、この経過措置の対応関係を示すと次のようになります。
    (1)理事(任期を「3年」としている場合、どのタイミングで2年以内への任期短縮
    ・定款変更をしなければならないのか?
    ①平成18年5月に3年任期で改選した場合
       
    • 平成21年5月までは3年任期のまま。
    • 平成21年5月までの間に定款を変更して2年以内とする。
    • 平成21年5月の総会においては、2年以内に変更された定款の規定に基づき理事を選出する。これ以降、理事の任期は2年以内となる。
    • 平成21年5月の総会において、理事の任期を2年以内とする定款変更の議決をし、定款変更に係る行政庁の認可がなされることを停止条件として、その定款の規定に基づき、その総会において任期2年の理事を選出することも可能である。

     ②平成19年5月に3年任期で改選する場合
    • 平成22年5月までは3年任期のまま。
    • 平成22年5月までの間に定款を変更して2年以内とする。
    • 平成22年5月の総会においては、2年以内に変更された定款の規定に基づき理事を選出する。これ以降、理事の任期は2年以内となる。   
    • 平成22年5月の総会において、理事の任期を2年以内とする定款変更の議決をし、定款変更に係る行政庁の認可がなされることを停止条件として、その定款の規定に基づき、その総会において任期2年の理事を選出することも可能である。

    ③平成20年5月に2年任期で改選する場合
    • 平成20年5月の総会において理事の任期を2年以内とする定款変更の議決と同時に変更の議決をした定款の認可を停止条件として理事の改選を行う。これ以降、理事の任期は2年以内となる。

    総会において定款変更・理事改選(定款認可を停止条件とする予選)
    (2)組合員数1、000人以下の組合において監事(任期を「3年」としている場合、どのタイミングで4年以内への任期延長・定款変更が可能となるか?)
    ①平成18年5月に3年任期で改選した場合
    • 平成21年5月までは3年任期のまま。
    • 平成21年5月までの間に定款を変更して4年以内とする。
    • 平成21年5月の総会においては、4年に変更された定款の規定に基づき監事を選出する。これ以降、監事の任期は4年以内となる。
    • 平成21年5月の総会において、監事の任期を4年以内とする定款変更の議決をし、定款変更に係る行政庁の認可がなされることを停止条件として、その定款の規定に基づき、その総会において任期4年以内の監事を選出することも可能である。

    ②平成19年5月に3年任期で改選する場合
    • 平成22年5月までは3年任期のまま。
    • 平成22年5月までの間に定款を変更して4年以内とする。
    • 平成22年5月の総会においては、4年以内に変更された定款の規定に基づき監事を選出する。これ以降、監事の任期は4年以内となる。
    • 平成22年5月の総会において、監事の任期を4年以内とする定款変更の議決をし、定款変更に係る行政庁の認可がなされることを停止条件として、その定款の規定に基づき、その総会において任期4年以内の監事を選出することも可能である。

    ③平成20年5月に4年任期で改選する場合
     
    • 平成20年5月の総会において監事の任期を4年以内とする定款変更の議決と同時に変更の議決をした定款の認可を停止条件として監事の改選を行う。これ以降、監事の任期は4年以内となる。

    総会において定款変更・理事改選(定款認可を停止条件とする予選)
    (3)組合員数1、000人超の組合において監事の任期をどのタイミングで4年以内へ任期延長・定款変更することが可能となるか?
    • 組合員数が1、000人超の組合においては、監事に対する業務監査権限の付与が義務づけられることとなっている
       一方で、改正法においては、監事の権限が会計監査のみから業務監査にまで拡大された場合(定款変更が必要、その時点で監事の任期は一旦終了する。)
       監事に対する業務監査権限の付与は、平成20年5月の総会において定款変更の決議を行うこととされており、このため、その時点で監事の任期は一旦終了し、改選を行うこととなる。その際、監事に対する業務監査権限の付与に関する定款変更に加え、監事の任期を4年以内とする旨の定款変更も行う。これと同時に、決議した定款の認可を停止条件として監事の改選を行い、これ以降の監事の任期は4年以内となる。
      総会において定款変更・理事改選(定款認可を停止条件とする予選)

    〈定款参考例〉

    (役員の任期)
    第○条役員の任期は、次のとおりとする。
    (1 ) 理事○年又は任期中の第○回目の通常総会の終結時までのいずれか短い期間。ただし、就任後第○回目の通常総会が○年を過ぎて開催される場合にはその総会の終結時まで任期を伸長する。
    (2) 監事△年又は任期中の第△回目の通常総会の終結時までのいずれか短い期間。ただし、就任後第△回目の通常総会が△年を過ぎて開催される場合にはその総会の終結時まで任期を伸長する。
     
    1. 補欠(定数の増加に伴う場合の補充を含む。)のため選出された役員の任期は、現任者の残任期間とする。
       
    2. 理事又は監事の全員が任期満了前に退任した場合において、新たに選出された役員の任期は、第1項に規定する任期とする。
    3. 任期の満了又は辞任によって退任した役員は、その退任により、前条に定めた理事又は監事の定数の下限の員数を欠くこととなった場合には、新たに選出された役員が就任するまでなお役員としての職務を行う。
     (注)
    役員の任期は、理事については2年、監事については4年を超えることができないので、それぞれの範囲で適宜定めること。

    〈改正法附則(役員の任期)〉
    第10条この法律の施行の際現に存する協同組合の役員であって施行日以後最初に終了する事業年
    度に係る決算に関する通常総会の終了前に在任するものの任期に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。

    〈中協法〉
    (役員の任期)
    第36条理事の任期は、2年以内において定款で定める期間とする。
     
    1. 監事の任期は、4年以内において定款で定める期間とする。
    2. 設立当時の役員の任期は、前2項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、1年を超えてはならない。
    3. 前3項の規定は、定款によつて、前3項の任期を任期中の最終の決算期に関する通常総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
    4. 前3項の規定にかかわらず、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、監事の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。

    経過措置期間中の任期変更のうち、特に監事の任期変更については注意が必要です
     この経過措置は標記のすべての組合に適用されます。
     理事の任期については、改正前の中協法においても理事の任期は「3年以内において」定款で定める期間とされており、例えば2年とすることも可能とされていることから、経過措置期間中であっても理事の任期を3年から2年に短縮することは可能です。
     この場合に現に就任している理事の任期はその時点で終了することに留意する必要があります。
     例えば平成20年5月に任期満了となる理事がいるにもかかわらず、前年の平成19年の5月の通常総会で定款変更して2年に短縮した場合には、現任者の任期はその段階で終了することとなることから、定款変更と同時に定款変更認可後に就任する旨の停止条件を付して役員改選を行うことが必要です。
     他方で、監事の任期については、改正前中協法の監事の任期は「3年以内において定款で定める期間」とされており、4年の任期とすることは不可能であることから、経過措置期間中に監事の任期を4年とする(行政庁に対して停止条件を付した定款変更の認可申請を行うことも含む)ことはできません。
  2. 理事による利益相反取引の制限

    理事による利益相反取引が制限されます
    これまで理事は、組合と契約する場合のみ理事会の承認が必要とされていました。
     平成19年4月1日以降、理事は「組合と取引しようとするとき」、「組合が理事の債、務を保証する等組合と理事の利益が相反する行為をしようとするとき」に理事会の承認が必要となり、取引後には重要な事実を理事会に報告する義務が課されます。
     なお、利益相反取引をしようとする理事は理事会の定足数に算入されず、議決権も停止されます

    〈中協法〉

    (理事の自己契約等)
     第38条理事は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
    (1)理事が自己又は第三者のために組合と取引をしようとするとき。
    (2)組合が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において組合と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。
    1. 民法第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第1号の取引については、適用しない。
    2. 第1項各号の取引をした理事は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を理事会に報告しなければならない。

    (理事会の決議)
    第36条の6 理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款又は規約で定めた場合にあつては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款又は規約で定めた場合にあつては、その割合以上)をもつて行う。
    1. 前項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。

改正組合法の補足説明について

 平成18年5月と平成19年4月の一連の組合法改正につき、全国中小企業団体中央会より、その改正内容の概要について説明がなされていますが、説明がわかりにくいところもあります。
 つきましては、これらの説明内容につき補足説明を付け加えたいと思います。なお、この補足説明は、長野県中小企業団体中央会朝間相談室長の判断に基づくものであることをご了解いただきたいと思います。

  1. 役員任期伸長規定

    Q:事業年度が4月1日から翌年3月31日までの組合で、5月に通常総会を行わないで、例えば7月頃に通常総会を行った場合、役員の任期は7月まで伸長するか。

    A:定款に「通常総会は毎事業年度終了後2ヶ月以内に理事長が招集する。」と規定されているので、5月31日をもって役員任期の伸長期間は終了する。(通説判例)
      なお、残任義務規定があるので、実際は7月の決算書等の承認総会まで現任者は役員の義務がある。(これは役員の「残任義務」を定めたものであって、役員の任期自体を伸長させる規定ではない。)
    役員任期伸長規定
    * 残任義務は、あくまでも残した義務をやるということであって、新しいことはできない。

  2. 役員任期の変更に伴う経過措置について

    付則第10条
     この法律の施行の際現に存する協同組合の役員であって、施行日以後最初に終了する事業年度に係る決算に関する通常総会の終了前に在任するものの任期に関しては、この法律の施行後も、なお従前の例による。

    (A)事業年度が、4月1日から3月31日までの場合において、監事の任期を3年から4年に変更するにあたっての注意点
    役員任期の変更に伴う経過措置について
    • 施行日以後最初に終了する事業年度は、平成19年4月1日~平成20年3月31日の事業年度である。
    • 上記の通常総会は平成20年5月11日であり、この総会の終了前に在任するものの任期は、旧中協法を適用するとあるので、平成19年5月10日の通常総会で改選された監事の任期は3年後の通常総会終結時(平成22年5月13日まで)である。
    • 平成20年5月11日の通常総会で改選された監事の任期は、平成20年5月11日の通常総会終了後から効力を有するので、4年後の通常総会終結時(平成24年5月15日まで)である。
    • では、監事の任期を3年から4年に変更する定款変更を、平成19年5月10日の通常総会でしてもよいか。
       この場合、仮に定款変更の認可が平成19年6月5日におりたとすると、平成20年5月11日の通常総会終了前までは、旧中協法の監事の任期を適用するという上記の経過措置に抵触する。(仮に監事全員が平成19年6月15日に辞任した場合、その時点の臨時総会で選ばれた監事は4年の任期になってしまう。)
       従って、平成20年5月11日の通常総会で監事の任期を3年から4年に変更する定款変更を行えば、定款変更の認可が平成20年6月5日に発効され、経過措置に抵触しないので、定款変更は平成20年5月の通常総会で行うべきである。

    (B)事業年度が4月1日から翌年3月31日までの場合において、理事の任期を3年から2年に変更するにあたっての注意点
    役員任期の変更に伴う経過措置について
    • 施行日以後最初に終了する事業年度は、平成19年4月1日~平成20年3月31日の事業年度である。
    • 上記の通常総会は、平成20年5月11日であり、この総会の終了前に在任するものの任期は、旧中協法を適用するとあるので、平成19年5月10日の通常総会で改選された理事の任期は、3年後の通常総会終結時(平成22年5月13日まで)である。
    • 平成20年5月11日の通常総会で改選された理事の任期は、平成20年5月11日の通常総会終結後から効力を有するので、2年後の通常総会終結時(平成22年5月13日まで)である。
    • では、理事の任期を3年から2年に変更する定款変更を、平成19年5月10日の通常総会でしてもよいか。
    • この場合、監事と同じように新協同組合法は適用されないが、旧協同組合法を適用しても違法ではない。
       従って、定款変更認可日を効力発生日とする、いわゆる停止条件付き定款変更を行うことができる。そうすれば平成19年5月10日に改選された理事の任期は、定款変更認可日から平成21年5月12日の通常総会終結時までとなる。

     *「本日選出された理事の任期の始期は、本日議決された定款変更の認可日より始ま   る。」
    Q:平成17年5月に改選された理事で任期が3年の場合、任期満了日は平成20年5月11日までであるが、平成19年5月10日の通常総会で定款変更を行い、理事の任期を2年にした場合どうなるか。

    A :平成19年5月10日の定款変更により、現理事は平成19年5月10日で任期満了になる(委任契約の解除とみなされる。)ので、平成19年5月10日の通常総会で新理事を選ばなければならない。(停止条件付き理事就任)

  3. 監事の業務監査権限の付与

    付則第11条
     この法律の施行の際現に存する協同組合については、新協同組合法第36条3の規定は、施行日以後最初に終了する事業年度に係る決算に関する通常総会の終了の時から適用し、当該通常総会の終了前は、なお従前の例による。

    事業年度が4月1日から翌年3月31日までの場合において、監事に業務監査権限を与えるにあたっての注意点

    • 施行日以後最初に終了する事業年度は、平成19年4月1日~平成20年3月31日の事業年度である。
    • 上記の通常総会は、平成20年5月11日であり、その総会終了前までは、旧協同組合法が適用する。
    • 従って、平成19年5月10日の通常総会で、監事に業務監査権限を付与する定款変更を行った場合、仮に定款変更認可日が平成19年6月5日になったとすると、定款の内容と経過措置第11条の内容が抵触する。(新協同組合法は、平成20年5月11日の通常総会後から発効する。)
       このため監事への業務監査権限付与の定款変更は、平成20年5月の通常総会で行うべきである。

    新中協法36条

     なお、監事に業務監査権限を付与する定款変更をした場合は、その定款変更の効力が生じた時点で、現監事の任期は満了する。

  4. 理事による利益相反取引の制限について

     利益相反取引とは(38条)

    • 理事が自己又は第三者のために組合と取引をしようとするとき「直接取引」(経済的効果が自己又は第三者に帰属するという意味)
    • 組合が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において組合と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき「間接取引」

    *正札による売買契約など、定型的な取引であって、組合に不利益を与える可能性のない取引は、利益相反取引には含まれない。(前田庸会社法入門)
     従って組合が共同購入した資材等も組合員企業に販売する場合、両者の代表者が同じ人であっても、利益相反取引にはならない。
     上記の金融事業であっても、通常行われているものは利益相反取引にはならないが、例えば商工中金で一括借入れをしている支払利息よりも低い貸付利息で特定の組合員に貸し付けるような場合には、その特定組合員については利益相反取引になる。(全中の見解)
     理事会の承認にあたっては、当該理事は、特別利害関係人として、議決権行使を排除される。
     [特別利害関係人の議決権行使の排除の規定の適用範囲については、会社との利益相反取引の承認決議において、会社とそのような取引をする取締役における当該取締役がこれに該当することはいうまでもない。(前田庸 会社法入門)]
    利益相反取引とは(38条)
    特別利害関係人(36条の6②)

     理事会の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決にかかわることができない。
     [理事が特別利害関係を有する決議に関しては、特別利害関係人として議決権行使を排除される理事の数は、定足数算定の基準となる理事総数にも、また出席理事数にも算入されない。従って、例えば理事総数6名として、そのうちに特別利害関係のある理事が1名(Aとする)いるときは、その決議に関する限り、Aを除いた5名の理事中、Aを除いた3名が出席していれば定足数を満たし、出席理事中、Aを除いた過半数(この場合2名)の賛成により決議が成立することになる。(前田庸 会社法入門)

 

 

このページの上へ