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月刊中小企業レポート
更新日:2007/01/09

健康を考える

よい眠りをとるために

健康を考える 毎日、人は眠る。よく眠れるかどうかは別にして、だれでも眠る。睡眠などという現象は、食べて排泄することと同じぐらいありふれている。乳児が泣けば、だいたい眠いか、空腹か、排泄したかのいずれかであるが、だれでも生まれてから一生くりかえしている生命現象である。このことは俗に「食う、寝る、たれる」といわれ、健康の基本的なバロメーターである。

 睡眠はいろいろな条件で損なわれる。代表的なものは、うつ病などの精神疾患であるが、とくに「うつ」やその他の精神科疾患がなくてもよく眠れない場合、「不眠症」という。厳密には、睡眠学会の診断基準があるが、ここでは触れない。コーヒー(あるいはお茶)はもちろん、アルコールでも睡眠が妨げられることがある。アルコールの脳に対する作用は睡眠薬に類似しているが、利尿作用による尿意や口渇などによりかえって睡眠が妨げられてしまうことがある。
 また、人は先回りしてものを考える能力をもつ動物である。このことにより、人間はすばらしい文明を築きあげたが、逆に苦しみを背負いこむことになった。眠れないのではないかという不安が、不眠を生じさらに眠れなくなる。これは、今あまり使われなくなった用語ではあるが、心気症と呼ばれるような状況である。
 高齢者にみられる例としてこんなことがある。患者(以下、患)「眠れないんです」。医師(以下、医)「どんなふうですか?」。患「ねつきが悪くて」。医「何時ごろ眠るんですか?」。患「クスリをのんでも12時ごろまで眠れないんです」。医「それは気の毒ですね、では何時ごろまで眠っているんですか?」。患「朝8時ごろです」。医「エッ、8時ですって。クスリをのむのは何時ですか?」患「夜9時ごろです」。
 この人は、クスリを飲んでグッと深く寝てしまいたいのであろう。しかし、朝8時ごろまで寝ているので、自然に寝付くのが夜1時ごろになったとしても不思議ではない。本人にしてみれば、クスリを飲んで2時間も3時間も眠れないので困っているのだろうが、実際には本来より1時間も早く眠れているのである。こういう人には、睡眠時間は6~7時間でよいことを何度も説明する。

睡眠 さて、よい眠りをとるためにはどうしたらいいか。まず、睡眠時間をなるべく規則的にすること。毎日、寝る時間がバラバラでは体がついていけない。朝おきたら、明るい光を見よう。これで、ほぼ16時間後に入眠するスイッチが入る。日中の昼寝は30分以内にとどめる。夕方以降のカフェイン飲料は避け、うたた寝はしない。
 最後に睡眠薬について。最近のクスリは量を守っている限りは安全性が高いので、安心してお使いください。

 

長野県保険医協同組合
監事 加藤 信
(松本市 かとうメンタルクリニック)

 

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