MENU

 月刊中小企業レポート
> 月刊中小企業レポート

月刊中小企業レポート
更新日:2007/01/09

イノベーション

不平等こそ成長の機会

 社長様、院長先生など経営トップから、近年の若い人はやる気があるのか?能力的にも下がってきているのでは?と伺う事がよくあります。ゆとり教育が原因だとか様々な事が言われていますが、第126回直木賞受賞作家である山本一力(いちりき)氏が、子供の教育方針について「平等などとは沙汰の限り」だとTKC発行の戦略経営者11月号に特別寄稿していました。子供を精神的に弱くしているのは、「悪しき平等」だというのです。学校では、運動会や成績で差をつけないなどという暴挙があるし、家庭でもカレーライスが子供に合わせて甘くなっている。仕事から帰ってきた親父は甘いカレーに文句を言わない。このような周りや大人との差を感じさせないようにする『悪しき平等』思想が子供の成長機会を奪うのだというのです。『差を認めて悔しい思いをすることこそ成長の原点なのではないか』という指摘だと感じました。かけっこでも、勉強でも、辛いカレーでも、どんなにがんばっても、かなわない相手がいる事を認めてこそ尊敬心が生じるのではないかという指摘とも言えると思います。
 企業等の組織において、新人などの経験の浅い人が、組織に思い入れせず、無気力に過ごす。あるいは、今までの先輩社員の努力を踏みにじるような言動をするような事があります。これは、組織に対する忠誠心、先輩社員に対する尊敬心の欠如とも言えるのかもしれません。このようなときに、『新人の目線でよく話を聞いて指導しましょう』と多くの書物にありますが、山本氏は、『大人の目線で話すべきで、子供は大人との差を思い知る』と言うのです。社員指導に置き換えれば、変に未成熟な社員に同調せずに、何が問題なのか差をハッキリと本人に意識させようという事でしょうか。
 サッカー日本前代表監督のジーコ氏は、日本は自立的に自分で考える事が出来にくい社会だと指摘しています。電車の中で眠るような事は日本以外では考えられない。多くの国々では、周りに常に注意を払い自分で行動を決めていかないといけない。車内アナウンスなどナビゲーションが便利すぎて何も考えなくても生活できる環境だと述べています。
 山本氏とジーコ氏の指摘を通して、私たちリーダーは、相手に合わせる事は大切ですが、部下を甘やかすのではなく、成長の為にあえて差を意識させ、日常の不便の中で、成長の機会を上手に作っていく事の重要性、そして、能力差など様々な差があり不平等は必ずどの社会にもあり、そこに果敢に適応していく事こそ大切なのだとメッセージを発していきたいと、つくづく感じました。

これも経営革新?!

みすみすチャンスを逃していませんか?
中小企業新事業活動促進法

 「新たな取り組によって経営を向上させたい」―そんなときに活用を考えていただきたいのが「中小企業新事業活動促進法」(以下、促進法)です。この促進法のもと、県から「経営革新計画」の承認を受けることによって、資金調達・税務面でメリットを受けられる道が開けます。「経営革新」に向けた設備投資など、これらのメリットを活用しない手はありません。

○資金調達のメリット
・政府系金融機関の低利融資を受けられる
(但し、承認された計画の事業に関する設備・運転資金について)
・信用保証枠が拡がる

○税務面のメリット
・設備投資減税の適用を受けられる
・同族会社の留保金課税の停止措置を受けられる

●取組を行った企業の割合●
取組を行った企業の割合


 平成18年度までの促進法の取得状況では、長野県は経営革新計画の承認数においては全国9位という実績を誇っています。それでも承認累計数は757件(平成18年7月現在)と、県内の中小企業約88、444社(平成16年現在)の1%にも及びません。それでは、果たして「経営革新」に該当するような取り組みが少ないのでしょうか?
 中小企業金融公庫の調査によると、経営革新に取り組んでいない中小企業は、全体の15・8%で、「経営革新」を広く捉えると、中小企業の実に84・2%が新事業を行っているのです。実際は「促進法」が活用できる事例に該当しても、十分に活用されていないと言えるのではないでしょうか。
 それでは、「経営革新」に該当する事例にはどのようなものがあるのでしょうか?

●こんなケースで承認が受けられる!●
●旅館業
 空室を改装して、リラクゼーションルームとして日帰り客向けのサービスを提供する。→②
●美容室
 スタッフの教育プログラムを実践する場として、新店舗を設置し、技術者を育成する。→②・④
●食料品店
 米、肉などの個別販売だけでなく、「お薦めメニュー」を開発し、家族向けの食材セットの販売を行う。→③
●自動車販売整備業
 新たな検査機器の導入により、短時間で安価な車検を行う。また環境に配慮した検査項目を設けるといったサービスを提供する。→②
  参考:TKC全国会、中小企業庁パンフレット掲載事例
※② 新役務の開発・提供
※③ 商品の新たな生産・販売方式
※④ 役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動

 事例のように、新店舗出店や新技術・機械設備の導入、商品メニューの開発のアイデアが「経営革新計画」に発展する可能性は十分にあります。  「経営革新」というと、なにか独創的な新商品を開発しなければならないのかと思われるかもしれませんが、促進法が対象とする「経営革新」には「新商品の開発・生産」に加え、「新役務(サービス)の開発・提供」「商品の新たな生産・販売方式」「役務の新たな提供方式の導入、その他の新たな事業活動」の4つがあり、左図のようにそれぞれの分野で取得実績を残しています。そして個々の中小企業者にとって「新たな事業活動」であれば、すでに他社で採用されている技術・方式を活用する場合でも、原則として承認の対象となり得ます。

●経営革新計画承認企業の取り組み状況●
●経営革新計画承認企業の取り組み状況●

 促進法の承認を受けるためには、「経営革新計画」を策定する必要があります。この「経営革新計画」は、まさに社長様の「夢」に日付を入れて目標を設定し、数値計画に落とし込んでいく過程です。「経営革新計画」を自分の手で作ることによって、何をすべきかという目的が明確になり、実際に業績が向上したという成果も出ていますのでご検討してみて下さい。

※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。

このページの上へ